9.電気ショックの気付け (※R18G的要素あり)
ドアが閉まるのとほぼ同時に、九玲は機械──彼女達の言うところの“魔力量増加訓練用負荷装置”が動き出したのを感じた。
最初は、何か活力のようなモノが体内から抜き取られていくのを漠然と感じただけだった。
(なるほど、コレが“魔力”なのか。というか、僕に魔力って有ったんだ)
ココに至ってはジタバタしても仕方ない、24時間後に解放されて学院長とやらの前に連れて行かれた時に、改めて真相を訴えよう──そう考えて、九玲は丸一日の“苦行”に耐えることを(半ばヤケクソながら)覚悟する。
だが、その程度の安易な“覚悟”など、本物の“苦行”、否“地獄”の前には、段ボール製の盾ほども役に立たなかった。
最初は「疲労に伴う倦怠感」があっただけだが、僅か十分ほどで体内の魔力残量が尽きた。九玲は、本来魔術のマの字も知らない世界の人間なのだからこれは当然で、むしろ下手な“この世界”の一般人よりもった方とさえ言える。
けれど──魔力が尽きたその瞬間、倦怠感は明確な「苦痛」に変化して、少年を苛んだ。
叫び出すほどの激痛ではないものの、眠気と偏頭痛に交互に襲われ、下腹部には鉛を飲んだみたいに重い鈍痛が居座り、さらに両胸の乳首もジクジクと地味に痛む。胸自体も、なんだか張っているような気がする。
──もし、九玲が本物の女の子だったら、それらの症状が「月経時の生理痛」と酷似していることに気付いただろう。
というのも、訓練用負荷装置が意図的に被験体の身体を“そういう状態”にしているからだ。
ここは“魔女”のための学校で、女性魔導士の魔力は月経時には不安定になる。一般的に、制御力は落ちるが、魔力回復力は逆に増すケースが多いのだ。
ならば、被験体を魔導術式で疑似的に月経に近い体調にすることで、(搾り取れる)魔力量を増やせる──という
そして本来、そんな魔法は、見かけは少女っぽくても肉体的には(まだ)♂である九玲には効かない──はずだったのだが、ふたつの要因から発動してしまう。
ひとつは、アンナが発動した術式「
そしてもうひとつは、九玲がアンナの
魔法というものが廃れて久しく、魔力に乏しい地球の環境では発現しなかったものの、九玲も環境&心理状態次第では女性化する可能性があったのだ(20世紀末から地球各地で問題になっている“TS病”というのも、実はこのトリプレ因子のせいだったりする)。
そんなワケで、
そして、さらに数時間が過ぎ、疑似月経化状態でも魔力生成が頭打ちとなった時からが、本格的な“地獄”の幕開けだった。
排泄処理のために肛門部に挿し込まれたはずのノズルが伸展し、直腸の奥まで侵入してきたのだ。
(ひぐッ……なにこれ……?)
押し込まれたホースのような物体の圧迫感が苦しい。
抜きたい、それが無理なら腹を押さえてうずくまりたいが、既に両手を壁面に完全固定されてしまっているため、僅かに身悶えすることしか出来ない。
「──むぅぅぅぅぅ!!!」
そして、先端部のノズルが特定の部位──いわゆる前立腺を刺激した瞬間、九玲は苦痛と快楽が表裏一体の未知なる感覚に襲われ、ビクンと身体を跳ねさせた。
さらに、変化はそれだけではなかった。
前の方──尿道孔に挿し込まれたノゾルも、九玲の体内へのさらなる侵攻を開始したのだ。
元々女の子の身体に合わせて作られたスーツだからか、こちらは気持ちいいというより痛みの方の成分が強く、九玲は悶絶しかけた。
しかし、後孔からの刺激が、気を喪うことを許さず──そうこうしているうちに第三のアクションが発動する。
胸部──それも乳首を対象とした圧搾だ。密着したスーツ内側の組織が変形し、絶妙な加減で、強く弱く、
「んんっ!! ……あふうンッ……♪」
こちらはもともと男女共に持っている器官であり、前述の通り九玲の体が徐々に女性化しつつあること、疑似月経化の影響で敏感になっていることも重なり、後孔以上に快楽の成分が濃い。
それら3ヵ所からの刺激によって、全身がガクガクと震える。
中学生とは言え、やや性的な方面の知識に疎い(たまに自慰くらいはしていたが)九玲にとって、「女性として攻められる快感」は未経験過ぎて、まともに反応が出来なかった。
念のため説明しておくと、これらはただの拷問等ではなく、立派な「魔力生成」のための方策だ。
地球でも、性交その他の性的快楽を利用する(と称する)魔法や祭礼の類いは多いが、こちらの世界アレフ・ジールでは、それがより体系的に解明・整理されているのだ。
さらに──九玲は気付いていないが、スーツの一部が収縮、いや変形を始めていた。
股間部分は、標準よりやや小さめの陰茎(不思議なことにこの環境下でも勃起していなかった)や睾丸を、体内に押し込めるよう内向きに隆起。
逆に胸の部分は、脇や腹の脂肪や肉を押さえて胸部の方へと押しやり、乳房らしき
その結果、このアンナ・クレー用魔導制服に生体登録されたアンナ本人と、ほぼ瓜二つの体型へと、男子であったはずの九玲の身体が“
締め付けが進む毎に、本来性差がある部分の変形が少しずつ進んでいるのだが、苦痛と快感の狭間に喘ぐ着用者本人は、そのことに気付く余裕がなかった。
そもそも、この“快楽地獄”は、まだあと十数時間も続くのだ。
視界の端に表示された残り時間に絶望しかかる九玲だったが、今の“少女”には気絶して逃げることすら許されない。そうなったら、マギアスーツに備わった電気ショック機能で無理やり叩き起こされてしまうからだ。
しかも、その電撃さえも、苦痛と紙一重の悦楽をもたらすよう工夫されているのだから、弱冠13歳のお子様にはたまらない。
せいぜい失神しないよう気を張って耐えるのが関の山だった──それでも、24時間後に解放されるまでに、合計3回意識を失うハメになったが。
* * *
そして24時間後。
懲罰室から解放され、学院長室に連れて来られた“少女”が目にしたのは……。
いかにもやり手な感じのタイトスカート姿のアラサー女性の苦々しげな表情と、見覚えあるふたり(自分を捕らえた少女達)が自分に向かって土下座してくる姿だった。
「いや、なんでさ!?」
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