第41クエスト 作戦開始
あれから数分後。
サン達はもう一度カルディアの塔に向かい、侵入を試みようとする。やはり、入口前には先ほどの門番たちがおり簡単には行かせてくれない状況だった。
全員が建物の物陰に隠れながら作戦を立て直す中、サンは早く突撃したくてしょうがなかった。
「ちょっと……そんなソワソワしてたら見つかるじゃない!」
アクリアに頭を掴まれジタバタするサン。今もアクロ達を助けたくてしょうがなかった。
「アクロ先生たちが危ないんだ。早く助けないと……!」
「アタシも助けたい気持ちはいっぱいよ。そのために今から、レイミー先生が作戦の説明をするんじゃない」
「では皆さん。今から、作戦をお伝えしてもよろしいですか?」
レイミーが声をかけると、全員が一斉に振り向く。
「レイミー先生、今回はどんな方法で乗り込むんだ?」
サンが尋ねると、レイミーは言った。
「まず入口の門番ですが、あれはマイヤさんチームで倒しましょう。そのスキにサンくんチームは地下にある本部へと乗り込んでください」
地下? とサンは疑問に思う。隣にいたキバッグが質問する。
「カルディア軍の本部って、あの塔じゃねえのか?」
「水晶玉で調べたけどあそこは危険なモンスターや犯罪者を収容する牢獄みたいだ。その中に恐らくアクロさん達も……」
マイヤがそこまで説明すると、塔を見上げるサン。あの中にアクロ達がいるのであれば、マイヤ達が助けてくれるのを信じるしかない。
「マイヤのねーちゃん、アクリアにシルフィ。オイラ達がブレイブクリスタルを見つけ出す間、絶対に助け出してくれ!」
「もちろんです! アクロ先生たちの事は任せてください。サン達も気をつけてくださいね」
シルフィの笑顔にサンは安心する。彼女たちなら大丈夫だろう。目指すはカルディアの地下にある本部。サンは胸に拳を当てた。
「みんな。オイラ達はアクロ先生たちを助けるためにここまで来た。だから、お互いの役割を果たして今日限りの特別なパーティで救い出すぞ!」
キバッグがこちらの肩に手を置く。
「ああ。そして、ブレイブクリスタルも一緒にな。オレ達の腕の見せ所だぜ」
「では、そろそろ作戦開始と行きましょう。皆さん、無事に生きて帰りましょう」
レイミーが立ち上がると、サン達も作戦の準備を整える。入口を見ると、門番は相変わらず動かない。
「みんな……行こう!」
最初に動いたのはマイヤだ。彼女は手のひらに白い玉を出現させ、門番たちの前に投げつける。軽い音を鳴らして玉が転がると、彼らはすぐに気づく。
「ん? なんだこれは?」
門番たちが眺めた次の瞬間、玉から白い煙が吹き出して周りを見えなくする。
「て、敵襲か!?」
「今だ!」
マイヤの合図でサン達は一斉に走り出す。白い煙で見えなくなった視界に入り込むと、扉へと向かう。門番たちが混乱している中、なんとか扉を見つけ出し開けて入る。後からレイミー、キバッグが現れるとサンは扉を強く閉めるのだった。
「ふう、なんとか入ったぞ」
中に入ると壁に松明しか置かれておらず、微妙に暗い部屋だった。奥には上がるための階段があるが、地下へ行くための手段がどこも見つからない。
「地下があるって言ったけど、そんな階段どこにあるんだよ?」
キバッグが辺りを見渡していると、レイミーはある箇所を指さす。
「あの壁を見てください。小さな魔法陣が描かれていますよね」
レイミーの言うとおり、遠くの壁を眺めると鳥の絵が描かれた魔法陣があった。歩いて近づくと、サンはじーっとその魔法陣を眺める。
「なんだろう、これ。うーん……もしかして!」
サンがある事に気がつくと、レイミーは笑みを浮かべる。
「この魔法陣は簡単な仕掛けになっています。手を前に出すと――」
レイミーが手をかざすと、鳥の絵が描かれた魔法陣が強く光り輝く。その時、ただの壁が凹んで動き出す。地面を僅かに揺らしながら、壁がなくなった先は――地下へと続く階段だった。その仕掛けにサンは思わずテンションが上がる。
「壁が動いて階段が出てきたぞ!」
「なるほどな、そういう仕掛けだったのかよ」
レイミーが先頭に出て、階段を降りていく。
「さあ、行きましょうか。目指すは狙われたブレイブクリスタルですよ」
彼女の後に続いて、サンは後ろを歩く。ここから一体、どんな敵が待ち受けているのか。サン達は慎重に進んでいくのだった。
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