第4クエスト タイヨー拳

 久しぶりに村を出た先は、荒野が広がっている。開放的な場所でサンが進んだ先は――小さな岩山だった。


 この岩山で昔、赤ん坊だったサンは捨てられ、シャンウィンに拾われている。最深部に人気のない暗い洞窟があり、そこにレーナが囚われているのではないかと考える。


 不安定な足場の岩山を登っていき急ぐ。レーナの身に何かあれば、サンを含む村人たちが悲しむ。段差の激しい足場に転びそうになるも踏みとどまる。遠方にある洞窟が見えると、サンは大きく目を開く。


「ようやく着いた……!」


 サンは近くまで来ると、足を一旦止める。乱れた息を整え、両手を膝に置いた。


 休憩していると、何者かが洞窟の奥から近づいてくる気配がする。誰が来たかと思うと、昨日の親玉である大柄の山賊だった。


「あぁ? 誰が来たかと思えばガキじゃねえか。一体、こんな所に何の用だ?」

「決まってる! レーナを取り返しに来たんだ!」

「……お嬢ちゃんを救いに来たってことは、村長を殺して金目の物を持ってきたんだろうな?」

「悪い大人にあげるものなんかない!」

「はぁ?」

「オイラ、レーナを助けるためにここまで来たんだ! お前の言うことも聞かないし、誰も殺させない! オイラの育った大切な村を無茶苦茶にさせないぞ!」


 サンは人差し指を勢いよく相手に向けると、大柄な山賊は笑いを堪えている。


「くくく……なんて馬鹿なガキだ」

「何がおかしいんだ?」

「あの脅した兄ちゃんは素直に聞いてくれたが、お前も言うことを聞いてくれたら簡単に解放したのによぉ! おい、お嬢ちゃんをここに連れてこい!」


 大柄な山賊が洞窟に向かって叫ぶと、部下の一人がやって来る。連れてきたのは――縄のロープで両手を後ろに縛られているレーナだった。


 彼女はこちらの姿を確認した時、喜ぶ表情を見せている。


「サン……来てくれたのね!」

「レーナ! 遅れてごめん、今すぐ助けるからな!」


 大柄な山賊が大笑いし始めると、もう一度サンは視線を向ける。


「ははは! まったくよぉ、この再会で簡単に返すと思うか?」

「えっ?」


 サンが声を漏らすと、もう一人部下がやって来る。男の手には一本のロープを持ってモンスターを連れているようだった。薄暗い洞窟から出てきて姿がはっきりすると、サンは驚愕した。


「あれは……オイラが昨日倒したシッコクグマ! どうしてお前らが捕まえてるんだ?」


 サンが昨日倒した子供のシッコクグマ。両腕と上半身をロープできつく縛られ、身動きの取れない状態のようだ。


「なに、ただの偶然だ。昨日の夜、俺達がここで作戦を練っていた時にこいつが現れてな。最初は必死に抵抗していたが、数人がかりでやれば捕まえたってわけさ」

「それで、そいつをオイラと戦わせるのか? 残念だけど、強さはオイラのほうが上だぞ! 昨日はオイラがそいつを倒したんだからな!」


 サンは胸を張って答えると、大柄な山賊は首を振りながら斧をこちらに向けた。


「この俺が考え無しにこいつを捕まえたと思うか? こっちには奥の手があるんでな!」


 大柄な山賊が斧を地面に突き刺した瞬間――僅かな地響きが一瞬起こる。


「な、なんだ?」

 洞窟から聞こえる重々しい足音。人間ではない。何か大きいモンスターだ。サンが目を細めて眺めていると、姿を見て心臓が飛び跳ねた。


「どうだ! 今回、お前が戦うのは……このシッコクグマの母親だ!」


 四足歩行で歩くが、洞窟の天井にぶつかりそうなほど巨大な体格。2メートル半は超えている。昨日の子供より、恐れるほどに覇気のあるシッコクグマだった。


 「で、でかい! こんなの見たことない……!」


 その迫力にサンは一歩だけ後ずさりしてしまう。大柄な山賊は悪い笑みをこちらに向けて言った。


「実はこいつもな、この子供を餌に脅しててよ。俺の言いなりになってんだ。ただお前たちが勝負してもつまらないから、勝った方が片方の人質を解放してやるよ」


 大柄な山賊が服の中から見せつけたのは、赤いスプレー。あれは、吹きかけるだけでモンスターを興奮状態にさせる代物だ。


 シッコクグマの母親の様子を見る限り、既に我をほとんど失っているようで、スプレーを吸い込んでしまっているらしい。


 相手の言葉を聞くと、人質のレーナが大柄の山賊に心配そうな目で訴えかける。


「そんな……! そんなことしたら、サンが死んじゃう!」

「まあ、言うこと聞けねえなら……お互いの人質は今すぐ俺が殺すってことで。おっと、妙な真似はするなよ。何か怪しい行動でもしたら、すぐに両方ともどうなるか……分かるよな?」


 極悪非道な大柄の山賊に、サンは怒りを覚えるしかなかった。今ここで感情をぶつけても何も変わらない。サンは決断するしかなかった。今の状況を。


「わかった……オイラ、戦う! それでレーナが助かるなら、何がなんでもやってやる!」


 サンは拳を構えると、母親のシッコクグマが近づいてくる。歩く度に響く振動、お互いの距離が近くなるとシッコクグマはその口を開いた。


「グルルルル!」


 唾液を垂らしながら睨むシッコクグマ。


「おい、ガキ。もし、お前が負けたら……分かってるだろうな? お前の大切な村人全員皆殺しだ!」

「くっ……」


 サンは歯を食いしばり、大柄な山賊を睨みつける。そして、覚悟を決めるとシッコクグマに向かって走り出した。


 シッコクグマの鋭利な歯がむき出しになる。次の瞬間、サンの元へと勢いよく突撃する。一回り大きな獣の右手が振り下ろされると同時、こちらも左拳を真っ直ぐに振り抜くのだった。


 お互いの拳が激突し、周囲に突風が巻き起こる。奥歯を噛み締めて全身に力を込めると、自身の体は後ろへ大きく吹き飛んだ。


「うわぁ!?」


 一体、何が起きたのか。ただ、分かったのはシッコクグマの右手から衝撃波のようなものが放たれたということだ。突然の事にサンは気が動転し、地面へ転がり落ちるのだった。


「……こりゃ、手強い戦いになりそうだ!」


 サンは地面を強く蹴り上げ、シッコクグマへと飛びかかる。右足を伸ばして蹴りで反撃すると、シッコクグマは冷静な雰囲気で微動だにしない。


 こちらの攻撃が直撃する直前、シッコクグマは簡単にサンの体をはたき落とした。地面に叩きつけられ、声を漏らすサン。衝撃に痛みが走るが、今は休んでる場合ではない。


 後ろへ転がり込んで、立ち上がる。サンは雄叫びをあげながら、シッコクグマの腹部に拳を振り抜くのだった。


 シッコクグマは右手を前に出す。サンが一生懸命に攻撃を当てようとするも、体が後ろに吹き飛ばされる。相手の掌から放たれた突風。サンは抵抗する暇もなく、地面へ引きずるように倒れ込む。


「くっ……まだまだ!」


 サンは倒れた体に力を込めて、後ろに向かってバク転する。体勢を立て直すと、シッコクグマを睨みつけて走っていく。


 このままではやられるのは時間の問題だ。


 魔法をまだ使えない自分にとって、今はこの肉体で勝負するしかなかった。サンの正拳突きが放たれると、相手も拳を振り抜いた。お互いの攻撃が合わさると、僅かに地面が揺れる。


 サンが少しよろけると、シッコクグマの蹴りが襲いかかる。思わず横に転がりながらなんとか回避すると、サンは左拳を振り上げた。


 対し、シッコクグマは後ろへと軽いステップで移動する。攻撃が空振りに終わると、サンは右足を地面に着地させる。同時に足に力を込めて、対象に飛びかかった。


 右肘を曲げて、相手の顔面へとお見舞いしようとするが、シッコクグマはしゃがみ込んで回避していた。


 サンが狙いたかったのはここじゃない。相手の頭上を超えて飛び上がると、サンは右脚を強く振り下ろす。かかと落としがシッコクグマの頭部を襲う。


 決まると思った瞬間、手応えを感じられない。よく見ると、シッコクグマが両腕を組んで頭部を守っていた。相手が両腕を広げると、サンの体は後ろへと軽く飛ばされる。


 難なく着地して、サンは歯を食いしばる。今度はシッコクグマが突撃すると、サンは全身を右に捻って思い切り左腕を振り抜いた。


 シッコクグマが高く飛び上がると、姿が見えなくなる。サンは集中し、気配をなんとなく感じ取る。後ろだ。左脚を振り上げると、その場にいたシッコクグマに防御されてしまう。


 今度は相手の叩きつけようとする左脚がやってくる。潰されるわけにもいかず、右回転して自身の体が何事もなく終わった。


 相手が油断している――今がチャンスだ。サンは両足を力いっぱいにこめて、相手に向かってもう一度向かう。今までより速い速度で襲いかかり、ついにシッコクグマの腹部に左拳が炸裂する。


 相手の重心が後ろにずれ、攻撃が効いたのか声を漏らしていた。


 サンは息をあげて、シッコクグマを見つめる。その強さに思わず、ワクワクした気持ちで笑みを浮かべるのだった。


「やるな……お前! オイラ、今までこんな強い奴、初めて見た!」


 シッコクグマは右手で腹を撫でながら叫ぶ。


「グルアアアアア!」


 サンは思わず身構え、次の攻撃に備える。シッコクグマは鋭利な爪を立て、右腕を横に広げた。


「なんだ……?」


 サンが疑問に思うと、次の瞬間だった。シッコクグマが振り払った右手から、半透明な爪模様の真空波が襲いかかる。サンは驚愕し、咄嗟に右横へとダイブする。避けたと思った瞬間、右の脇腹に痛みが走る。


 思わず声を上げると、シャツの脇腹が切り裂かれたように破けてしまう。

 地面に倒れ込むと、見上げて唾を飲み込む。


 シッコクグマの迫力ある睨んだ眼光。休んでいる暇もなく、次の攻撃を相手は準備していた。


「グルル、グルアアア!」


 鋭い爪から繰り出される真空波。食らったら、サンの体は引き裂かれてしまう。慌てて走りながら避けると、次の攻撃が襲いかかる。


 シッコクグマが流れるように両手を交互に振り下ろしていく。こちらが反撃する暇もなく、この状況を認めるしなかった。


(このままじゃ、やられてしまう……! 一体、どうすれば――)


 思わず両腕を前に出して、目を瞑ってしまう。何かが目の前に近づく気配がして、もう一度目を開くとシッコクグマはいた。


 サンは避けようとするが、既にその剛毛なたくましい右腕がサンの腹部を直撃してしまった。


「うっ……!」

「サン!」


 囚われているレーナの声が、サンは上空へ吹き飛びながら聞こえた。激痛に歯をかみしめ、背中から地面に激突する。脳が揺れたのか、目眩がする。サンは立ち上がることさえできない。


「はははは! いいぞ、シッコクグマ。お前がそいつを殺したら子供は解放してやる。さあ、さっさとやっちまえ! おい、ガキ。いい加減諦めたらどうだ? 最初からこの勝負、お前に勝てるわけねえんだよ。さっさとくたばっちまいな」


 大柄な山賊の言葉に意識がはっきりして、サンは両腕に力を入れながら立ち上がろうとする。


「まだ……オイラは負けてないぞ」

「お前、馬鹿か? このまま続けたら本当に死ぬことになるぜ」

「助けるってオイラは決めたんだ。レーナも……シッコクグマの子供も……! レーナはオイラの大切な幼馴染だ。絶対に悲しい顔なんかさせたくない! シッコクグマの子供も、母ちゃんがそいつの為に戦っている姿を見て泣いてるんだ! オイラはあんな怖い思いをさせているお前らを許さない!」


 さっき気づいた。シッコクグマの子供は大粒の涙を流して母親を見ている。この戦いを見て苦しみ、悲しんでいるのだろう。ここにいる全員が生き残ってほしいと思っているはずだ。サンが教えたおかげで、母親は驚いた表情をしていた。


「グル……!?」

「ククーン……」


 シッコクグマの子供が弱々しそうに鳴く。これ以上は戦わないで。そう懇願しているのか、何を言っているか分からないが――サンにはそう聞こえた。


「分かんないのか! あいつは、今すぐにでも母ちゃんに甘えたいんだ! それなのに、お前らは幸せな愛情さえも壊そうとしている!」


「……それで?」

「レーナや子供はオイラが助ける! こんな戦いやめて、もうあいつらの悲しむ顔を見たくない! お前の命令なんか聞いてたまるかー!」


 サンは大声を上げて大柄な山賊に突撃する。自分はどうなってもいい。今は相手を倒すことしか考えていなかった。


 大柄な山賊の眼前まで近づくと、相手の右頬を力強く殴りつけた。少しだけよろめく相手。


 次の瞬間、大柄な山賊の悪い笑みが見える。相手は斧を持ちながら、右腕を振り上げていた。


「イライラするガキだ……だったら、お前から死ねーっ!」


 こちらに向かって斧を思い切り振り下ろした大柄な山賊。その速度はあっという間に、こちらへと襲いかかっていた。


「サン、危ない!」


 レーナの大きな叫び。


 当たったら、斧が自身の体に突き刺さってしまう。サンは右拳を握りしめてはたき落とそうとする。力を込めた瞬間――誰かが隣に駆けつけた。


「はああっ!」

「ぐはっ……!?」


 ついにやって来た。あの人物の右拳が大柄な山賊の体を後ろへ吹き飛ばした。相手の大斧が転がるように地面へ落ちると、サンはその人物の顔を見て喜ぶ。


「じーちゃん!」


 優しい表情を見せて、頭を撫でてくれたのはシャンウィンだった。


「サン、遅くなってすまなかったね。村長から聞いて駆けつけたが……深刻な事態らしい」

「グルルルル!」


 シッコクグマの母親は、シャンウィンへ今にも襲いかかろうとしていた。それを見たサンは、思わず目を丸くする。


「あ、そうだった! じーちゃん、今すぐ避け――」

「大丈夫さ、後は私に任せなさい」


 シッコクグマの母親の振り下ろされた左拳。しかし、それは当たることはなかった。なぜなら、シャンウィンは既に相手の懐に入っていたからだ。そして、軽く握られた右の正拳突きを相手の腹へめり込ませた。


「グルァ……!」


 悲鳴を上げるシッコクグマの母親。そのまま倒れ込んで気絶すると、サンは呆然としてしまう。


「お、オイラが苦戦したシッコクグマを……たった一撃で!」


 シャンウィンは人差し指で眼鏡をかけ直すと、ふっと笑う。


「駆けつけたのは私だけじゃないんでね……そろそろ頃合いだ」


 シャンウィンが視線をシッコクグマの子供に向けていると、サンも同じ方向を見る。その時だった。シッコクグマの子供を縛っていた縄が緩まるように解けた。自由になった瞬間、子供は遠吠えをしながら、レーナの元へと突撃するのだった。


「ひ、ひいい!? なんで縄が――」

「グルル!」


 山賊の部下が怖じ気ついて離れると、

「それは、俺がこいつの縄をほどいたのさ!」


 先ほどシッコクグマの子供がいた場所には、なんとカイルがいた。どうやら手に持っていたナイフで、縄を切ったようだ。彼は近くにいた山賊の部下へ向けて、ナイフを突き出していた。


「こ、こいつ! いつの間に!」

「カイル! お前も来てたんだ!」

「サン、さっきは悪かったな。ようやく俺も気づいたよ。前に進まないと、目の前にある大切な事さえ救えないってな! だから山賊……もうお前らの言いなりにならない。サンが勇気を出して戦ったんだ、俺も自分なりの勇気って奴を見せてやるよ!」


 カイルの覚悟を決めた表情に、サンは思わず頬が緩む。


「グオオオオオッ!」

「に、逃げろー!」


 山賊の部下たちが、シッコクグマの子供に恐怖し逃げていく。ついに囚われのレーナが解放されると、彼女はその場に膝から崩れ落ちた。


「レーナ!」

 サンは思い切り走っていき、レーナの元へと駆け寄る。後ろに両手を縛られていた縄を解くと、彼女は思い切り抱きついた。


「ごめんね……こんなに頑張って戦ってたのに、サンが死ぬんじゃないかって……怖かった」


 サンは元気づけるように、レーナの頭を優しく撫でる。


「オイラなら大丈夫だ。それより、レーナが助かってオイラは何百倍も嬉しいぞ! なあ、レーナ。遅くなったけど今度こそ……オイラが絶対に守るから」


 シッコクグマの子供がこちらに近づいてじっと見ている。サンは優しくその巨体を撫でるのだった。


「お前も昨日、食材にしようとしてごめんな。これから母ちゃんと元気に暮らすんだぞ!」

「グルル!」


 どうやら、シッコクグマの子供はお礼を言っているようだった。


「礼ならじーちゃんに言ってよ! オイラはただ、みんなが無事ならそれでいいんだ!」

「お前さんたち、まだ戦いは終わってないよ。残るはあと一人……まだ懲りてない様子だ」


 その場にいた者が一斉に視線を変えると、大柄な山賊は鬼の形相で怒り狂っていた。右脚を何度も地面に叩きつけ、太い右手を力強く握っていた。


「どいつもこいつも使えない奴らだ……! 俺がこんなジジイに負けるわけがねえ、何が勇者の仲間だ! そんなものに怖気づく……俺じゃねえええええ!」


 大柄な山賊はシャンウィンに向かって殴りかかってくる。足は遅い、こちらへやって来るまで時間がかかりそうだが迫力は凄まじい。


「……サン、今からお前さんに新しい技を見せる」

「えっ?」


 サンが首を傾げると、シャンウィンは右拳を構えている。


「サンがこれから成長するための技だ。しっかり――覚えておくんだよ」


 言葉を残した、シャンウィンの表情は柔らかい。

 黄色のオーラが螺旋状に回転し、シャンウィンの右拳を覆う。一体、何が起こるのかサンは唾を喉奥まで飲み込むことしかできなかった。


 大柄な山賊が目の前まで襲いかかり、シャンウィンに右腕を思い切って振り下ろした瞬間だった。育ての親は狙っていたかのように――。


「タイヨー拳!」


叫んだとき。拳は見事に命中する。大柄な山賊の巨体は勢いよく吹き飛ばされ、地面を抉りながら遠くへ飛んでいく。砂埃をあげながら、やがて岩壁へ激突した。その衝撃で岩石が崩れ、地面へ落下していく。大きな音が響き渡る中、誰もが唖然としていた。


 拳が命中した相手の腹部をよく見ると、螺旋状の傷がついている。大柄な山賊はその傷を残したまま、白目を向いて気絶していた。

しばらくの沈黙の中、サンは呆然としている中で口を開いた。


あの一撃を見た時、頭の中で何かが弾けたような感覚があった。これが奥義なのだろうか……? 疑問を抱いた途端、シャンウィンはこちらへ向かって歩いてくる。


 タイヨー拳。


 これが、サンに見せたかったシャンウィンの技。あまりの衝撃に、サンは口を開けたまま驚くことしかできない。

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