【本編完結済み】冤罪をかけられ大炎上し、個人情報まで特定された絶望寸前の人気Vtuber。自分のガチオタだったVtuber志望の金持ち美少女に匿われる!!【現在、同棲中】
第27話 Re;Re;Start(三度目のスタート)
最終章
第27話 Re;Re;Start(三度目のスタート)
《前書き》
いよいよ最終章です!本当にここまでお付き合いいただいてありがとうございます!!是非とも最後まで楽しんでいってもらえると幸いです!!
*タイトルのRe;Re;Startは三度目のスタートという意味で付けました。誤字って二回打ってしまったわけではございません。
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梅雨明けのジメジメとした湿気と始まったばかりの猛暑が人々の心を蝕む七月某日。
この日、
~~
【某ネット記事】
2Dまたは3Dのアバターを使って動画投稿や配信活動を行うバーチャルYouTuberことVtuber。
そんなVtuberの代表
この前、契約解除になった『
そんな彼の冤罪も解け、真実が語られた今、また新たなニュースが世間をにぎわせている。
それは、女性Vtuberである『
特定班によれば、合成の可能性はかなり低いとのこと。そして、彼女とはキャラクターデザインを担当したのがイラストレーターの『ぴかっそ』であるという共通点もある。
両ファンともガチ恋勢も多く、未だ認めきれてない人々や批判の声も多く上がっている。
果たして、その真実はいったい?彼らの口から何か語られるのだろうか。
~~
「この前もデマのことを本当のように書いてたくせに、まぁ~たすぐに……。はぁ、調子のいいことだね、まったく」
目の前に座る
「俺も暴露系YouTuberやネット記事とかの奴らは気に食わないです。けど、今は信じて待ってくれている人たちのためにとにかく頑張りましょう!」
「そうだね!せっかく、らくっちも前を向いて走り出してるところだし」
そうは言っても、自分のために毎回こうして怒ってくれている梨々香には本当に感謝している。だからこそ、本当の自分を知ってくれている人たちに恥じない自分でありたい。信じて待ってくれているリスナーに本当のことを全部伝えたい。改めて、洸が自分の中で決意を固めていると、隣に座っていた瑠璃葉が唇に人差し指を当てながら、お悩みポーズでこちらをチラッと見てきた。
「なんかもう一つ、私たちの気持ちをド~ンって、楽市リスナーや彦星の皆に届けるためのスパイス的なのが欲しいよね」
(か、可愛い……)
そして、破壊力もヤバい。これは確実に狙ってやってるのがわかる。でも、あざといのもそれはそれで可愛いし、何より瑠璃葉が洸に好意と信頼を向けているが故の仕草なので、めちゃくちゃ萌える。
「お前らもう付き合っちゃえよ……」
梨々香が乾いた目でこちらを見ているのを軽くシカトして、洸はふと思いついたことを三人にパソコンの画面を見せて説明した。
「実は瑠璃葉ちゃんには見せてなかったんだけど……」
「えっ、これは……」
瑠璃葉と仲直り大作戦で作った、本来であれば、仲直りをするために彼女に送ろうとしていた動画だ。
「ううぅ……」
じっと画面を見つめていた瑠璃葉は、次第に目に涙を浮かばせて、うるうるとし始めた。
「らくっち、泣かせちゃったねww」
「えっと……」
「う、嬉し泣きだから大丈夫。……ありがと、洸くん、梨々香たそ、ふわなたん」
瑠璃葉は頬へと零れ出た涙を拭う。ちょっとこちらもつられそうになったが、他三人は涙をこらえた。
「それで、この動画をどうすんの?」
それから、いち早く気持ちを切り替えた梨々香が洸にそう尋ねた。
「そうですね。この動画をちょっと弄ってリスナーにも配信内で見てもらえるように作り直します」
「なるほど、ことちゃんの頑張りをリスナーさんに伝えるためには、本当に持って来いの動画ですからね」
こうして、四人はそれぞれ早々に作業に取り掛かることにした。
●○●
日も暮れ、梨々香と優芽が帰った後――。
「瑠璃葉ちゃん、一応練習しようか」
「練習?」
夕食を済ませて、お互いにお風呂から上がったのを確認すると、洸が瑠璃葉に声を掛けた。
「ありのままの自分で話すって言っても、一応どういう話からしてって流れを決めといた方がいいのかなって」
「確かに。原稿をそのまま読み上げるような形になっちゃうと、それはそれで違うけど、話が詰まるのも確かに良くないのかなっていうのは私も思うし」
二人は防音室に入ると、話す順番や内容の確認をし始めた。
「ここからは梨々香たそとふわなたんも配信に参加して話してくれることになってるんだよね」
「うん。大体、ここぐらいまで話したら、Discordで二人も呼び込もうと思ってる。本人たちも了承済みだから大丈夫だよ」
「そっか」
そして、話す練習を一通り終えた後、また二人はそれぞれの作業に黙々と集中し始めた……のだが――、
「……」
「……」
(なんか、ちょっと配信のこととは関係無いたわいのない話がしたいな……)
仲直りした後も、三日間は事件の後処理等でいっぱいいっぱいであまり話せなかった。おかえりパーティーでも気まずさが少し残ってのか、瑠璃葉とは少ししか喋れてない気がする。
(いや、さっきもぴかっそママに指摘されるくらいイチャついてはいたんだけど……)
それでも、何か物足りない気がする。もちろん、今は真面目に頑張るべき時だというのは洸もわかってはいる。が――、
「あ、あのさ!」
「ひゃ、ひゃい!?」
咄嗟に話しかけてしまったのがいけなかったのか、洸の声が勢い良く出てしまったため、瑠璃葉を驚かせてしまった。
「ご、ごめん……」
「だ、大丈夫だよ。それよりどうしたの?」
「あっ、えっと、いやぁ~ここ最近っていうか、姫川ことがデビューしてからは配信関連の話をすることが多くなっちゃったじゃん。だからそのぉ~他愛のないこととか、しょーもない話とか瑠璃葉ちゃんと出来てなかったよなーって、思って……」
「うっ、ふふっ」
「ちょっ、笑わないでよ。結構言うの恥ずかしかったんだからさ」
「わかってるよ。きっと私たち、あの時もお互いに配信のこととかばかり考えてたから、それで頭がいっぱいいっぱいになっちゃって喧嘩しちゃったんだし」
「それじゃあ」
「うん。一旦作業は中断して下ネタ交えながら、最新のエロゲの話でもしようか」
「って、おい!!」
だが、こうしてボケツッコミのやり取りや、瑠璃葉のヲタ話聴けるのは久しぶりだから、なんだかとても嬉しく洸は感じた。
(そう言えば、初めてこの防音室に連れられたときも、あそこのタペストリー観ながらこんなやり取りしたっけ)
そう洸が感傷に浸っていると、不意に瑠璃葉が名前を呼んできた。
「洸くん」
「な、何でしょう、瑠璃葉ちゃん?」
「なんか、私たち夫婦みたいだね」
「!?」
「あっ、照れて固まっちゃてるww」
瑠璃葉が小悪魔のような笑みを浮かべる。
(ぐっ……してやられた。俺だってこのまま終わるわけにはいかない)
少しして冷静さを取り戻した洸は仕返しを検討するが……。
「瑠璃葉ちゃん」
「おやおやどうしたの、
下から、洸の俯いていた顔を覗き込むように、瑠璃葉が天使(小悪魔)スマイルでそんな台詞を吐いた。それと同時にお風呂上がりでパジャマ姿の彼女から、ふわっと洗剤やシャンプー石鹼のとても良い香りも漂ってきた。
「ぐはっ!?」
壮絶なまでの瑠璃葉の破壊力に呆気なく敗北したのだった。
●○●
翌日。この日も、洸と瑠璃葉のマンションのリビングで梨々香と優芽を呼んで、いつものメンバーで作業していた。
(おっ、なんか二人とも、前みたいに自然体な感じになってるじゃん。もう喧嘩した後の気まずさとかはなくなった感じか。良かった良かった)
梨々香が洸と瑠璃葉の様子を見てそっと胸を撫で下ろした。が、それも束の間のことだった。
「おやおや旦那さん。手が止まってますよぉ~」
「お嫁さんがDVしてくる家庭だぁ~」
「こらこら私たち付き合ってすらないでしょ」
「そうだった」
「うふふ」「あはは」
お揃いのエロゲキャラの描かれたTシャツを着た二人が、バカップルがやりそうなボケツッコミを永遠に幸せそうにしているのだ。
そう。と、まぁこんな感じで、二人の純愛甘々ラブコメ度も増していることにもすぐ気づいた。
(マジで頼むから、そこまでイチャイチャするならせめて付き合えや)
おそらく、あの二人の眼中には梨々香と優芽は入っていない。
「ねぇ、ゆめぴ。ウチらもあのバカップルの動画撮って、SNSに拡散させようか(冗談)」
「そうしましょう。
流石の優芽もMからSに転身してしまうレベルの甘々を見せつけられてるのだ。おそらく、このまま配信にこの二人を出させれば、リスナーは「百パーセントこいつら付き合ってるじゃん!!」となる。ここまでのバカップルぶりを見せつけられたら誰でもそう思うのが必然だ。
(というか、こいつらどうせ本当に夫婦になりそうだし)
もうそれなら、この二人を配信までに、もしくは配信中に本物のカップルにしてしまった方が良い。その方が、お互いのガチ恋勢たちにとっても踏ん切りがつくだろう。
「ゆめぴ、ちょっと相談があるんだけどさ――」
配信の世界じゃない。
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