第7話靴が鳴る

僕は子供の手を繋ぎよく歩いていた。

小学生高学年になっても、横断歩道は危ないので手を繋いでいた。

中学生になると、僕が息子の手を握ろうとすると、

「パパ、僕はもう子供じゃないんだから、手を繋がないよ!」

と、言う。 

「横断歩道は危ないから、さっ、手を繫ごう」

「やだよ、恥ずかしい」

と、やり取りがありそれから手は繋いでいない。

しかし、セイタが成長すると身長も170cmを超えて、僕をもう少しで追い抜くくらい。

外食して、酔っ払って千鳥足で歩いていると、

「パパ、危ないなぁ〜、肩貸すよ。しっかりしろよ、パパ」

と、僕と肩を組んでバス停まで歩く。

そして、帰りのバスが来るまでベンチの隣に座る。

「セイタ、パパは子供じゃないんだから、帰っていいよ」

「パパが心配だもん」

今は逆転して、息子が僕の手を繋ぐ。

つくづく幸せ者だと感じる。後5年したら一緒に酒が飲める。

その時は誰が、我々の手を繋いで帰るのか?

その頃には、セイタには彼女が出来ているだろう。

セイタの手を彼女が繫ぐ。

僕は隅へ弾かれるのは時間の問題。


ちなみに、セイタとは仮名なので勘違いされない事をお願いします。

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