第5話夏休みの宿題

息子は小学6年間、必ず夏休みの宿題を放ったらかしにして、ママの命令で僕が宿題が終わるまで教え続ける。

昼の2時から宿題を始めて、夜中の1時までかかるのが恒例。

途中、食事や僕のタバコ休憩を挟んで。


1番困るのは、日記。

毎日書かなくていいのだが、その日記の天気が分からない。


「パパ〜、工作もするの?」

「えぇ〜、工作もしてないの?明日、ママと作りなさい」

「アサガオの観察があったんだけど、枯れちゃった!」

「何ですと?枯らした」

「うん」

「分かった。パパがアサガオの成長過程を教えてあげるから、花の絵を描きなさい」

と、スマホでアサガオの写真を見せた。


「パパ〜残りは明日にしない?」

「バカか!お前は!この長い夏休みにずっとゲームしてた罰だ!終わるまで寝せないぞ!」

「鬼!」

「どっちが悪いのか理解してないのか!セイタッ!!」


グスン


「それくらいで、泣くな!来年から宿題は計画的にしろよ!」

「……あい」


こうして見事に、6年間夏休みの宿題を溜めて、パパが教えるのが風物詩になった。

これが、風物詩とは情けない。


中学生になってからは、もう、諦めた。やる気スイッチがONにならなければ、いくら言っても無理だと言う事を理解しているからだ。

通知票も見せない。

「運動会か?」

「運動会って何?」

「イッチニー、イッチニー。1と2だけだろ?」

「パパすげぇ。当たってる」

「当たってるだと〜!私立の高校なら働いてもらうからな!ママにも言っとく」

「パパの高校は?」

「公立。当たり前だ!パパは大学まで行ったんだぞ!」

「その割には、給料安いよね?」

「うるせぇ〜、できる男は転職する」

「パパ、テキトーだからな」

「お前、殴るぞ!」 

「あい、ついまて〜ん」

「……」


息子は野放し状態。だが、真面目に宿題はしている。お年寄りに席を譲る。

育て方は間違えてないと確信している。

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