第3話化粧鏡

夜、テレビをつけようとリモコンを取りに行くと、バリッと音がした。

カーペットの上にママの化粧鏡が置いてあったのだ。

恐る恐る、化粧鏡を開くと見事に花火の様なヒビが入って仕舞った。

ママはお風呂に入っている。

よしっ、子供のせいにしよう。


夜、寝る前のパックの為にママは化粧鏡を開くとヒビだらけ。

真っ先に僕が怪しまれた。

「パパ、鏡、踏んだでしょ?」

「いや、踏んでない。さっき、セイタが走り回っていたから、その時に踏んづけたんじゃない?駄目だよ、床に置いてちゃ」

と、子供に罪を擦り付ける。

もし、僕だとバレたらビンタだ!


「セイタ、ママの鏡踏んだ?」

「……」

「正直に言いなさい」

「それ、パパが踏んだの。僕はずっと、トーマス見てたよ!」


……ま、まずい。


バチンッ!


グハッ!


「あんた、正直に言えば許してやろうと思ったのに、子供のせいにするなんて、最低。明日、同じ鏡買ってきてよ!」


「はい……」


「わ~い、パパが殴られた〜」

「……」

あれは、今から7年前の出来事。

それからと言うもの、セイタが壊したモノでも、僕が第一に疑われるようになった。

皆さん、正直者になりましょう。

決して、幼い子供に罪を擦り付けないように。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る