5話目 悪夢



目が覚めるといつもの学校が目に入った。


「あれ?いつの間に学校にいたんだろ、まぁいいか」


そう思いながら下駄箱で上履きに履き替え教室に向かう。

向かっている最中に生徒たちから多数の視線を浴びる、それは、冷たい視線だった。僕がなにかしたんだろうか…そう思いながらも教室にドアを開けた。


ドアを開けると、話が静まりこちらを見ていた。まるで、軽蔑するかのような目を。少し、怖気付いていたが、気にせずいつものように輝空に話しかけようとする。


「輝空おはよ!」


そう、声をかける、すると


「……」


反応をしなかった。聞こえなかったのだろうか、そうおもい、もう一度挨拶する。


「輝空?おはよ」


もう一度そう声をかけた。


「うるせぇ!話しかけてくるんじゃねぇよ!」


そう、輝空は怒鳴り散らかした。周りの人達はクスクスと小さく笑っていた。


「え?」


僕は困惑した、昨日まではいつも通りに話していたし、喧嘩した訳では無い、でもなんで?


「え、え?き、輝空…?どうしたの?」


「あぁ!?なんだよ!話しかけんなって言ったよな!?気持ち悪いんだよお前!」


「えっ、あ、あ、ご、ごめんなさい…」


僕は怖気付いてしまい、咄嗟に謝った。

何か…してしまったんだろうか、分からない…

わからない、わからない、わからない、わからない

いやだ、いやだ、いやだ、きらわないで…


僕はここにいられなくなり、クラスから離れた。


クラスから出て歩いていると、雨色さんと出会った。


「あ、雨色さ…」


僕は挨拶しようとしたが、さっきの光景が浮かび咄嗟に呼ぶのを辞めた。


雨色さんが口を開く


「─────」


何かを発していたが何を言っていたのかは分からなかった。ただ、何となく嫌味を言ってると思った。


でも、何故か輝空よりも、何も聞こえていないはずの雨色さんの言葉の方が心にくるのは、どうしてなのだろうか…


心の中が不安定になり、僕は逃げるようにこの場を去った。ふと、誰もいないと思われる場所を思いつき、足を一歩一歩と踏み出していく。


たどり着いたのは『屋上』だった。もちろん誰も居ない。屋上にたどり着くと、チャイムが鳴り響き、授業が始まろうとしている。だが、行くつもりは毛頭ない、だって、行ったところで冷たい視線を浴びるに決まっているから…なら、ずっと独りでここにいた方がいい。そう思って、僕は屋上で眠りについた。




──────────


目が覚め、知らない天井だった。


「あ、夜桜くん目が覚めたんだね」


そう、声をかけられる。


学校にいたのは夢なのかと、思いながらも声をかけられたほうに向く。そこには普段着だと思われる雨色さんがいた。


ただ、頭の中に、あの夢の内容が脳にこびり付いてて、思い出してしまい、ベットの上で後ずさっていく。


「夜桜くん…どうしたの…大丈夫?」


「あっ…いや、あ、へ、平気、大丈夫…多分看病してくれたんだよね、ありがとう。邪魔にならないように帰るね、」


そうして、そそくさと帰ろうとしたが


「あっ……」


立ち上がり足を1歩踏み出したら、力が入らず転んでしまった。


「大丈夫じゃないじゃん…まだ、安静にしといた方が良いよ、まだ完全には熱下がってないしね」


そう言って彼女は動けない僕をお姫様抱っこして持ち上げた


「ふぁっ!?えっなんで…なんでお姫様抱っこしてるの…??」


「え?だってこの方が運びやすいし…夜桜くん軽いもん…」


そんなことを言う雨色さん、だんだんこの状況は恥ずかしくなってくる。


「あの…この状態恥ずかしいからおろして……」


手で少し顔を隠しながらそういった…


「あ、えっとごめんね!すぐ下ろすね」


そう言って、雨色さんは僕をベットの上に置いた。


「…あぁ普通なら逆なのに…どうして……」


「あはは…まぁいいじゃん、可愛いし…」


「え???可愛い??」


「あ、まぁまぁそんなことは置いといて、ご飯って食べれそう?」


「……誤魔化したな…まぁ食べれるよ」


「そっか、じゃあ何か作ってくるね、待ってて」


そういい雨色さんは、そそくさと出ていった。


「何して待ってよう…」


…この部屋って多分雨色さんの部屋だよね…ベットの上にぬいぐるみ置いてあるし、勉強机もあるから…


そこで、僕は大変なことに気づいた


まって!?このベット雨色さんがいつも寝てるところなのでは!?……やばい…どうしよう…なんか、とんでもない罪悪感に襲われてる。マジで、俺みたいなやつが寝てしまい本当に申し訳ございません、ほんと…どうすればいいんだろ…一応確認とって、そうだったらちゃんと謝るか…


そんなことを考えていると、ノックが響いた。


「料理出来たから、入るねー」


そう言いながらできた料理を持ってくる。


「と、言うことで〜作ってきましたー!お粥です〜口に合えばいいけど…」


「あ、いただきます。」


スプーンですくって食べる。ちゃんと味がしていて美味しかった。


「おいしい…作ってくれてありがとう」


「そっか…それなら良かった…」


そう言ってご飯を食べ進めたのだった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る