第三節-新しい世界と新しい支部長(下)アンドロイド探索隊
スコルとアカが運命的な出会いをしている一方、地球の台湾ではHSAフォルモサ支部の新任支部長が正式に就任し、どのような変化をもたらすのか見てみよう。
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黒いオフィスチェアに座り、オフィスに入ってくる二人の男性を注視しながら、私は緊張を抑えた。
来たのは大物ばかりだ。
まず一歩前に進んできたのは、黒髪の短髪を持ち、純白の研究服を着ている男性で、彼は昇龍天国の著名な研究者である吳振慎院士だった。
「新任の支部長ですね?私はHSAの外派研究者、吳振慎です。
支部の研究の仕事を支援するために参りました。
よろしくお願いします。」
彼はまた、30年前の火星殖民計画の中心人物でもあり、見た目からは60代とは思えない。
こんな大物が台湾の山奥の辺鄙な場所に来てくれるなんて、しかもこの特殊な時期に。
「よろしくお願いします。吳院士、お名前はかねてから存じ上げております。
このような時期にお力添えいただき、感謝いたします。」
「天女陛下と龍王殿下のために、これが私の使命です。」
吳院士と挨拶を交わした後、私は隣にいる金の三七分けの短髪を持ち、黒いスーツを着た男性に目を向けた。
「私は翔鷹連邦のベンジャミン・ウィルマン、新しい副支部長です。
お会いできて光栄です、支部長。」
ウィルマンは笑顔で挨拶してくれた。彼が副支部長か?
見た目は若いが、彼は世界トップ10の財閥『ウィルマン国際』の当主だ。
24歳で自身のビジネス帝国を築き上げ、多国語にも堪能。
並外れた人物だ、侮れない。
「お会いできて光栄です、ウィルマンさん。
今日の会議で支部の未来について話し合えることを楽しみにしています。」
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「ふぅ~、無事に終わった。」
オフィスの机に伏せ、先ほど閉まったドアを遠くから見つめ、緊張がようやく解けた。
もう少し長引いていたら耐えられなかったかもしれない。
会議の雰囲気があまりにも厳粛で、落ち着かなかった。
「だめだめ、こんなところで休んでる場合じゃない!」
椅子から立ち上がり、頭を振って顔を叩き、気を引き締めた。
仕事、仕事、まずは探索隊の様子を見に行こう。
これからの裏世界の調査は彼女たちにかかっているのだから。
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広い灰色の倉庫前に到着。中には探索隊の訓練場と休憩所がある。
先ほど探索隊の隊長とここで会う約束をしていた。
時間が来ると、赤いサイドポニーをした、火アカ色の機械風軍服を着た少女が倉庫内から出てきた。
「私はHSAフォルモサ支部戦術探索隊隊長、戦術アンドロイド紅冠です。
支部長、お迎えいたします。」
紅冠は私の前で完璧な敬礼をし、訓練場へ案内してくれた。
同時に、私は持っていた資料を紅冠に手渡した。
「これが次の探索隊の任務です。
裏世界の日月潭地域の状況を一週間で調査してきてください。」
紅冠は真剣に資料を読み始めた。
すると、黄色の中長髪で淡緑色の機械風軍服を着た少女が横から駆け寄ってきた。
「あなたが新しい支部長?
私は黄葉。よろしくね~」
黄葉は元気よく挨拶し、私の前で興味津々に私を見つめた。
好奇心旺盛な明るい少女のようだ。
「黄葉、無礼はやめなさい。」
紅冠が厳しく叱ると、黄葉は「うぅ…」と声を上げて大人しく紅冠のそばに立った。
少し可哀想な気もする。
「どうしたの?どうしたの?
黄葉がまた何かやらかしたの?
え、新人?可愛いね。」
黄葉の後ろから、淡緑色の長髪をツインテールにした、深緑色の機械風軍服を着た少女が出てきて、私をじっと見つめた。
驚いて飛び上がった。全く気づかなかった。さすが探索隊のメンバーだ。
可愛いと言われるのは嬉しい。ふふふ。
「綠芽、彼女は新人ではなく、新しい支部長だ。」
私が喜んでいると、情報室から眠そうな声が聞こえ、欠伸の音も混ざっていた。
中から橙色のふわふわした長髪をした、淡黄色の機械風軍服を着た少女が出てきた。
どうやら寝起きらしい。
突然、背後から寒気がした。
振り向くと、淡い青の腰まである長髪で、氷青色の機械風軍服を着た少女が紙傘を持ってこちらを見ていた。
「こんにちは、あなたも探索隊のメンバーですか?」
少女は頷き、扇子を広げて口元を隠しながら静かに私を見つめた。
うーん、何も話さないのか?
「藍鵲は相変わらずだね。」
いつの間にか私のそばに来ていた綠芽が嬉しそうに言った。
どうやらこの少女は藍鵲という名前のようだ。
話すのが苦手なのだろうか?
その時、紅冠はどう対処すべきかわからない様子で、機体が少し発熱しているように見えた。
気のせいだろうか?
「お前たち、支部長の前で失礼だぞ!」
ついに、紅冠の怒りが爆発し、機体から水蒸気が凝結して白い煙が立ち上った。
「隊長が怒ったぞ~逃げろ~」
「待って、置いて行かないで、綠芽~」
綠芽は訓練場に向かって走り出し、黄葉も後を追った。
「私には関係ないし、戻るね。
何かあったら呼んで。」
橙髪の少女は欠伸をしながら、のんびりと情報室に戻っていった。
まるで何事もなかったかのように。
藍鵲は何も言わずに私と紅冠を見つめた後、静かに背を向けて去っていった。
「いつも大変ですね、紅冠。」
同情の眼差しで紅冠を見つめた。
本当に以前はどうやって彼女たちを管理していたのかわからない。
想像するだけで疲れる。
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