第二節-青楓の家(下)こっそり後をつけたメコ

 

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 スコルが人間のロボットの動向を調査し、メコリアの怒りを避けるために日月潭へ向かっている途中。

当のメコリアは今何をしているのだろうか?


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「まったく、スちゃんは毎回口実を作って外に出るんだから。

私はそんなに怒っていないはずだけど?

それとも、あの過去の件のせい?

まさか、普通ならスちゃんはそのことを覚えてないはず。」


 独り言を言いながら荷物をまとめ、急いで追いかけなければならない。


 最近、また人間の飛行艇が付近に現れていて、スちゃんが一人で何かに巻き込まれないか心配だ。


 店に置いてある雑誌の表紙の日月潭を見て、スちゃんがどこに行くのか大体見当がついた。


 あの雑誌はスちゃんのお気に入りで。

いつも彼女の後をこっそりつけていると。

最終的に彼女がこの雑誌の表紙に紹介されている場所に行くことがわかりました。


 表向きは調査だと言うけれど、実際には自分が行きたい場所に行くのだから、今回もきっとそうだ。


「メコ、スコルを探しに行くの?一緒に行ってもいい?私が護衛を手伝えるよ~」


 緋が腰から打刀を抜き、威風堂々とした姿勢をとる。目が星のように輝いていて、とても断れない。


 最近、人間のロボットの活動が再び活発になっている。前回は二十年前だっただろうか。緋の武芸は確かだから、護衛が多い方がいい。


「助けがあった方がいい。」


「やった~これでスコルが無事か確認できる~道中で危険がないといいけど…寂しくなければいいな…」


 緋は嬉しそうに跳ね上がり、窓の外を見つめる。

何かを考えているようだが、スちゃんのことだろうか?


 二人が出会ってまだ二十分も経っていないのに、緋がこれほど親しくなるのは不思議だ。


 私と彼女も数時間しか一緒にいないが、緋のそばには人を引き寄せる魔力があるのかもしれない。


 孤独だろうか?

以前、スちゃんが家出したときは楽しそうだったから、寂しさは感じていないはず。


「ただし、スちゃんの後をこっそり追うんだ。

見つかってはいけないよ。」


 長期間こっそりと追いかけていることがバレないように、緋にしっかり説明しておく必要がある。


「わかった、メコ。」


 緋は真剣な口調で答えた。

もしその眼が窓の外の蝶を追っていなければ、本当に聞いていると思えたのだが…


「出発するよ。」


 荷物を背負い、青楓の家の扉を開け、外出中の札を掛ける。


「え?私の財布だ~窓のそばに置いてあったんだ。ん?メコ、待って~」


 今回もいつものようにうまくいきますように。

あの人間の上陸艇が邪魔をしないことを祈っている。

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