護送中の盧植を見送る
張飛はこれを聞いて、全身を震わせるほどの怒りに震え、しばらくの間真っ赤に染まった目で護送する兵士たちを睨みつけたのであります。そして「ギュッ」と蛇矛を握る腕に力を入れます。
護送する兵士を斬って盧植を救おうとしたのです。
玄徳、それに気づき慌てて制止し、冷静沈着に言うのです。
「朝廷には公正な判断があるのだから、お前は軽率な行動を取るべきではない」
しかし玄徳の眼差しには、張飛以上にいつ爆発してもおかしくない激しい怒りが宿っております。良き師である盧植が不当な罪を着せられ捕らえられてしまうとは、玄徳にとって耐え難い事実であったことでしょう。
しかし下手に立ち回れば、朝廷に反逆する者として扱われ、せっかくの義兵活動も台無しになってしまう。玄徳としては静観するという苦渋の選択を余儀なくされたのであります。
それを察した張飛、歯を食いしばりながら怒りを堪えたのでした。
関羽はこの事態を、静かに見つめていたのであります。感情を表に出すことなく、状況を分析しておりました。
兵士たちが盧植を連れて行くのを、三人は無言で見送りました。
姿が見えなくなると、関羽「盧植中郎は捕らえられてしまった。他人が兵を率いることになった今、我々はここに居る意味がなくなったので、涿郡に戻ったほうが良いでしょう」と提案します。
玄徳はこの言葉に従い、軍を引き連れて北へ向かうのでした。
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