騎都尉 曹操孟徳

張梁と張宝は敗残の兵を引き連れて、ほうほうのていで逃げておりましたが、突然一隊の騎馬軍が赤い旗を振りながら現れ、前に立ちはだかったのであります。


先頭には武将一人、その容姿は身長は七尺、細い目に長い髭をたくわえております。

官職は騎都尉、沛国譙郡の出身で、姓は曹、名は操、字は孟徳と申します。


さて、この曹操、父親曹嵩は本来の姓は夏侯氏でありましたが、中常侍の曹騰の養子となったため、曹の姓を名乗るようになったのであります。

そして、その子として生まれた曹操、幼名を阿瞞、別名に吉利。


幼い頃から、遊びや狩猟を好み、歌舞を通じて文化的な素養を身につけておりました。権謀術数に長け、機転が利き臨機応変に対応できる人物でありました。


彼には叔父がおりましたが、放蕩ぶりに憤慨、事あるごとに父曹嵩に苦言を呈しておりました。

曹嵩に振る舞いを咎められた曹操、恨みを募らせ一計を案じたのであります。

叔父が来ると、地面に倒れ、中風を患ったふりをしたのです。

驚いた叔父から話を聞いた曹嵩、急いで見に行きますが、曹操には何の異常も見られない。

曹嵩「叔父はお前が中風だと言ったが、今は治まったのか?」と尋ねると、

曹操「私はもともとそんな病気ではありません。叔父は私を好ましく思っていないので嘘をついたのでしょう。」と、素知らぬ顔で言ってのけます。

曹嵩、その言葉をすっかり信じ、それ以降、叔父が過ちを指摘しても聞こうとはしなくなりました。


こうして、曹操は思うままに放蕩することができるようになったのであります。

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