三人のち三百人あまりで飲み会

「私の荘の裏には桃園があり花が満開だ。明日はその園で天地に祭りを捧げ、私たち三人で兄弟の契りを結び、力を合わせて心を一つにし、それから大事を成すべき計画を立てようではないか」

張飛が誠心誠意を込めて言い放つのでありました。

これに玄徳、雲長「それはとても良いことだ」と応えたのであります。


翌日、桃園に黒牛と白馬など祭りの備品を用意し、三人で香を焚き再び拝んで誓いを述べるところ「劉備、関羽、張飛はいつまでも心にとどめる。姓は異なるといえども、既に兄弟として結ばれた以上、心を一つにして力を合わせ、困っている人々を救い、危機に瀕している人々を支える。上は国家に報い、下は民を安んずることを誓う。」


この三人の言葉、我々も胸を熱くするではありませんか!!

今さら同じ年月日に生まれることを求めることはできないが、ただ同じ年月日に死ぬことを願うとまで誓ったのでございます。

皇天と后土は、この誓いを見守ってくださいますでしょうか。


「恩を忘れ義を背けば、天と人によって共に罰せられるだろう」

言葉通り、この三人は自らが掲げた理念に反すれば、天地人から罰せられるのでありましょう。


ここに義兄弟の契が交わされ、誓いが終わりますと玄徳を兄として拝み、関羽は次で、張飛は弟となったのであります。

どうしてこのような兄弟順になったかはわかりかねますが、一説には桃の木に登る競争をしたとかありますが、おそらくは年齢の順であったのでしょう。「同じ年月日に生まれることを求めることはできない」と言っておきながらと私めは思うわけですが。

さて、天地への祭りが終わりますと、再び牛を屠って酒を用意しまして、桃園には郷中の三百余人の勇士が集まり皆で一杯飲んだそうでありますが、ここでも玄徳のカリスマ性が遺憾なく発揮されるのであります。

一人ひとりと酒を酌み交わしては心を鷲掴みします。惚れ込んで彼のためなら命をも厭わないと慕う者、遊侠無頼の徒たちが続出するのです。


翌日、軍備を整えまして玄徳を先頭に、いざ城内の義勇兵募集窓口へ赴こうとしましたが、はたと気づくのであります。残念なことに乗る馬がない。それいま気づくか?!

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