第21話 ベルセルク
以前、「片手が武器」という記事でも取り上げましたが、今回は漫画のベルセルクについて書いてみます。
最初に読んだのは大学生の頃。その後かなり時間を空けて、大人になってからコミックスで読み始めたのですが、ぼくの創作にはこの漫画の影響がかなりあると思います。今回はその辺を少し分析してみようかなと。
この漫画、ご存知の方がほとんどだと思いますが、「剣と魔法の世界」とか「ヒロイック・ファンタジー」、「ダーク・ファンタジー」と言われるようなジャンルに区分されるのだと思います。
何で、こんな書き出しかというと、その作り込まれた設定・世界観、そして主人公ガッツとグリフィスの愛と絆、そして憎しみの物語に、他に似たようなものを思いつかないからかもしれません。(※ダークでファンタジーな世界観や凄惨すぎる描写に対するフォロワーはいるんじゃないかと思いますが)
ぼくを夢中にさせる要素はいくつかあると思うのですが、一つ目は設定や世界観ですね。中世ヨーロッパを下敷きにしていながら、魔法の術理や霊的な世界の説明が東洋的に感じます。ただ、昔のヨーロッパにはそんな東洋的な要素もあったのでしょうね。万物に魂は宿るっていう、いわゆるアニミズムってやつです。
表向きは、キリスト教的にただ一人の神様を信奉する宗教が幅をきかす中、世界はもっと混沌として、日本の神様のような精霊的な神々がたくさんいて、多重的に様々な霊的な世界が存在していて……と、ベルセルクはそんな世界です(後にとんでもないことになるのですが)。何というか日本人的には腑に落ちるんですよね。
他にも、主人公ガッツの装備する武器のギミックがかっこよかったり、人でありながら人外の使徒どもを屠っていくガッツに痺れたり、とまあ色々と魅力はあります。あ! もちろん、主人公だけで無く脇を固めるキャラも魅力的で……。
ただ、この物語の一番の魅力は、主人公であるガッツとグリフィスの絆と対立にあるのだと思っています。
主に次のような感じです。
・ガッツとグリフィスの間にある友情と信頼関係、そしてお互いに負けられないというプライド
・ガッツは武人としての成長や仲間との幸せな生活(後に愛するキャスカとの平和な生活)、グリフィスは貧困や争いの無い理想の国造りの実現という、求めるものの違い
・そして、理想とする世界が違うが故に、仲間を捨てていったグリフィスに対し、ガッツが最終的に抱いてしまったグリフィスへの復讐心――
この辺りは、ぼくの小説であるキハチ正伝に最も影響を与えているところです。
物語の最初の導入は、ざっくり次のような感じです(ぼくなりにまとめてみました)。
*
娼婦から生まれたガッツは、呪われた子どもとして疎まれ、親のように慕った男からも疎まれます。そして、ただ、ただ生き抜くことだけを考えながら成長していきます。
およそ人並みの幸せと縁遠かったガッツが、傭兵として戦場を旅する中で出会ったグリフィスら仲間たち。そして、その気の置けない仲間たちと駆け抜けた眩しいばかりの青春。
暗闇のような人生の中で、信頼できる仲間とともに暮らし、成長していく黄金のような記憶。ガッツは人間らしい気持ちを取り戻し、人としても成長していきます。
ある日、ガッツは武人として、人として更なる成長を求め、仲間の元を去り一人旅立ちます。しかし、そのことが、かけがえのない仲間たちを失うことになる
*
これ以上はネタバレなのでやめておきます。
以前の記事でも触れましたが、作者の三浦健太郎先生は、2021年5月6日に急性大動脈解離のため54歳で急逝しています。現在は、高校時代からの親友である森恒二先生が三浦先生から生前に聴いていた最終回までの話を元に、スタッフらの手により作品が描き継がれています。
森先生も大好きな漫画家ですので、きっと三浦先生のやり残した仕事を完遂してくださるものと信じています。
未読の方がいらっしゃったらぜひ。ただ、残酷な表現が苦手な方はやめておいた方がいいかも、と一応忠告はしておきます(^^ゞ
今回はこんな感じですね。 では!!
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