一ノ瀬陽菜@マジカル✩サンライズ(2)

(前回のあらすじ)

 親友の恵美から相談があると言われてやって来た教室で、一ノ瀬陽菜ことマジカル✩サンライズは彼女がクラスメートの男子から性的暴行を受けている現場に遭遇する。

 陽菜が呼び出された理由。それは親友を盾に、彼女を新たなとするための、男たちの悪巧みであった。

 怒りに震え、非道を止めようとするサンライズ。しかし男たちのスマホには、親友の哀れな姿が記録されており、下手に動けば動画が世界中に拡散されると脅された……



 ◆



「……卑怯ね」

「何とでも言え。おおそうだ、一ノ瀬の代わりにサンライズちゃんに相手してもらうってのはどうだ。なあみんな?」


 外道が妙案とばかりにそう言うと、周りの男も口笛を吹いたり指を鳴らしたりして、ニヤニヤとサンライズの身体を舐め回すように見ている。


「ふざけたことを言わないで」

「ふざけてなんかいねえさ。俺たちはそろそろ新しい玩具が必要と思ってよ、だから一ノ瀬を呼んだってのに、なんでか来たのはテメエだ。なら、代わりにテメエの身体を使わせろって話よ。言っとくがそっちに選択肢は無え。断ればこの女の人生が終わるぜ」


 外道は意地の悪い笑みを浮かべながら、何度か動画の投稿ボタンを押すフリをする。


 それを見たサンライズはふうっとため息をつくと、肩を落とした。


「交渉成立だな。お前ら、好きに犯れ」


 その動きを抵抗を諦めたものと判断した外道が指示を出すと、男たちがサンライズにじりじりと近付いてきた。




「うひょ、まさかマジカル✩サンライズとヤれるとはな」

「あのデカいおっぱい、揉みがいがありそうだぜ」

「だな。一ノ瀬も顔は悪くねえが、そっちは見るからにペッタンコだからな」

「まな板の上に干しぶどうってやつ?」

「ひでえw」


 男たちの欲望に塗れた手がサンライズの身体に触れようとしたそのとき……


「……誰が貧乳じゃコラ」


――バシュッ!!


「へ?」

「う、腕がぁー!!!」


 そのとき、男たちは何が起きたか理解できていなかった。


 確実に言えることは、サンライズの胸に手を伸ばした男の片腕が消し飛び、本来ならその先に腕が付いていたであろう肩口から鮮血が吹き出しているということだ。


「ぎゃああああー! 痛えぇー! 痛えぇーよおぉー!」

「あはは、そりゃ痛いよねぇ」


 片腕を失った男がもんどり打って床を転げ回る姿を見て、ケラケラとサンライズが笑い始めた。


「悪いけどさ、アンタたちに気安く触らせるほど、私は安い女じゃないのよ」

「テメエ……何しやがった!」

「何って? こうよ(ヒュンっ!)」


 激高する男に向け、サンライズが手刀のような形で空を斬る仕草をすると直後、別の男の腕が切られて飛び散った。


「風魔法で悪さをするその汚い腕を斬らせてもらっただけよ」

「テメエ、なんてことを!」

「なんてこと? あのさ、何をどう解釈したのか知らないけど、まさかアンタらみたいなショボい男の腐れチン○で気持ちいいことが出来るとか思ったわけ?」

「この女がどうなってもいいのか!」

「無駄無駄、どうにもならないわよ」

「後悔しやがれ!」


――ボンッ!!


「うぎゃーっ!!!」


 サンライズが攻撃してきたのを見て、外道はためらわず動画投稿のボタンを押そうとした。


 しかし、その指が画面に触れる寸前、手に持っていたスマホが爆発し、跡形も無く消え去る。


 外道の手首から先も巻き込んで……


「がはあっ……手が……ぐわあああ、いでえええーっ!」

「ったく、どいつもこいつも痛い痛いって煩いわね。近所迷惑もいいところよ……防音魔法かけておくか(キラン✩)。オーケオーケー、これで外には声が届かないから、好きなだけ泣き叫んでいいわよ」

「な、なんなんだテメエは……」

「なんなんだと問われれば、答えてあげようじゃないの! 『天高く登る希望の光、マジカルサンライズ!』……って言うかさ、さっき自分たちで『マジカル✩サンライズだ!』って言ってたじゃない。私さ、魔法少女なのよ。腕を切り飛ばすのも、スマホを爆破するのも魔法ならこんな感じよ」


――ボンッ!

――ボンッ!

――ボンッ!


 サンライズがステッキをくるりと回すと、男たちのスマホが時限爆弾のように次々と爆散してゆく。


「これで彼女の動画は全部消え去ったわね」

「……本当にそう思うか?」

「ああ、クラウドに保存してあるから大丈夫とか思わないでね。そっちはそっちで消去デリートしちゃったから」

「なっ……」

「だーかーらーさあー! 魔法少女舐めんなよ! テメエらみたいなクズが脅したくらいで股開くとか考えてる時点で、頭綿菓子かって話なのよ!」


 サンライズの怒号に絶望の表情を浮かべる男子生徒たち。


 腕を失った者は痛みでのたうち回り、そうでない者も全員腰を抜かしてお股は濡れ濡れ。


 ……何で濡れているかは想像にお任せする。


 そしてそんな彼らに向かい、サンライズが一歩一歩と近付いてくるが、逃げようにも足がすくんで動けないようだ。


「さあ……処刑おしおきの時間よ」




 悪を許さぬその瞳はまさに捕食者の目。


 処刑の時間だサンライズ! 行け、魔法少女プリティ✩マジカル 

 出来ればレイティングに引っ掛からない描写で始末しろ! (つづく)

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