第4話 『目的を聞かせてもらおうか?』
「うわー!!綺麗な空!!…って!いけないんだ!!屋上に無断で!!」
…そう俺達は屋上に来ていた。屋上のドアの建て付けが悪いからって簡単にドアが開いちゃうなんて…学校を訴えたら勝てるんじゃないか?
そんなくだらない事を考えているとルンルンな顔で呑気に弁当をひろげる女が目にとまる…
「そんで?…お前は何のために俺を呼んだんだよ?お前の目的は放課後に教えてくれるんだろ?」
「別に…意味なんてないよ?」
「はっ?」
「だから特に深い意味なんてないよ?カップルなんだから当然でしょ?」
「えー…そんな当然って…言ったって俺と俺なんだろ?偽のカップルだろ?」
「偽って言ったってカップルなんだから皆んなから不自然に思われちゃうよ?」
そう言って弁当を食い始めた。
「はあー…偽の恋人って、いったらラブコメの定番になりつつあるコンテンツなのに。全然嬉しくない。」
「ムッ!!ほら…食べて?美味しいよ?あ〜ん」
そう言って箸で唐揚げを食べさせてくれた。俺は料理作れないけどな…未来の俺は作れるのか…俺が俺に食べさせてもらうなんて昨日までの俺は思いもしなかったんだろうな…。
「ウッ!!辛っ!!!」
唐揚げを食べたはずだよね?!まるでわさびの固まりを食べたような…やっぱり俺は料理を作るのは下手なんだな。
「へへへ…わさびを入れてみました!」
「バカか!隠し味に入れてみました、美味しいでしょ?みたいに言うな!」
「あらっ?不味かったな?」
「不味いわ!激不味だわ!!こんなの食うなら望月と学食を食ってた方がいいわ!!」
すると里峰はガッと俺の足を踏んだ。
「痛っー!!」
なんたる理不尽!!別れてやる!コイツと別れてやるよー!!
〜放課後〜
校舎裏に里峰が呼び出されていた。なんで俺も待たされてるんだ。まさかこれが目的!?
すると男子生徒がやってきた。
「っ!?里峰さん!!その男は…」
「そう、私の彼氏。だからその、ごめんなさい」
「うっうっー!」
男子生徒は泣きながら走っていった。えっ…なんかごめんね。少年!君の青春は、まだ長い!こんな怪物女のことは忘れなさい!
…すると俺の足が勢いよく凹んだ!!
「ぎゃあーーーーすっ!!!!!何すんだ!ババア!」
「はぁぁ!?あんたが失礼な事、考えてるからでしょ!それにババアって何よ!!」
「俺より年取ってんだろ?精神的には?いや正確にはジジイか?」
また俺の足が凹んだ。
「ぎゃあああああああ!!!!……ったくよ〜〜!これが目的か!?俺が彼氏役を演じることによって他の男が寄りつかないようにするあの虫除けのような役割のためなのか!?」
「違うよ。そんなんじゃないよ?これから二人で向かうから!」
それはデート!…ではなく俺は里峰と裏山に向かっていた…ったく、なんで俺が裏山に向かってるんだ。体育の評価2の俺を動かすなんてな…特別だぞ!!
「なんだ?どこに行くんだよ…行き先くらい言ってくれよ…」
「着いたからのお楽しみだよ!!」
まあ…いいか。なんか青春っぽいし、俺の青春がここから始まるってことなのかな???なんて、この時の俺は呑気に考えていた。
「着いたよ!」
見ると裏山に木の小屋があった。古いしコケとか生えてるし…でもなんか秘密基地みたいでいいな!!これは青春!!そう青春だよ!これ!
小屋の戸を開けると小屋の中は図書館のようになっていて沢山の本があった。
そして机と椅子があり一人の少女が本を読んでいた。同じ制服だ。同級生かな?
その少女はウルフカットで眼鏡をかけていて、俺が入ってきたのに驚きもせずにチラッと俺を見ると本をまた読んだ。
おかしいでしょ…喜怒哀楽を中学校に置いてきたのか?
「ああ!その子はルナよ!!齋藤ルナ!ちょっとクールな子だけど悪い子じゃないから!」
クールで片付けていいのか?あきらかにダメだろ?自己紹介ぐらい自分でしないと将来が大変だぞ…
っ!!
すると齋藤さんが俺に顔を近づけた。えっ何!?可愛い!!
「あなたが前世…すずねの…」
カタコト!?まあ…シャイな人はいるか…うん
しょうがないんだよね…多分ね…うん!
「この子が私の前世を当てたのよ!」
えっ!?まあ確か不思議な女の子ではあるけどさ…何?そんな能力があるの?
「ある…」
「えっ!?今カギカッコついてないよ?何??
返事してんの??」
「その本の力なのよ…」
はっ?そう思ったが本が光っている。なんか本が光ってる。ホタルみたい…。
「その本は人の心を読める本すごいでょ??」
「その本は?…ってことは、まさかここにある本全部…」
「そう!能力が宿る特殊な本ってわけ」
「本当??」
すると里峰が違う本を持った。何する気だ?
そしたら本が光!!片手を広げ
「いくよ。ほら」
「えっ?」
落とし穴が出現…ん?そういう能力??
もっと能力らしいのを見せてもらいたいものだ。そんなトリッキーなのじゃないのにして!!
そう思いながら俺は勢いよく落ちていったのだった。
「あーーーーーーーーー!!!!!!!」
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