第3話 『もう…いないんだな……』
母が美少女に興奮している…
「まあ、まあ、そんな興奮しないで…」
俺の言葉を無視し、母はドアを開けた。すると里峰は深々と頭を下げ
「初めまして!!里峰すずかです!この度しゅん君と付き合うことになりました。」
うわー完全に猫かぶってる〜!!…俺だってこんな美人な子が彼女なら嬉しいけど…流石に来世の俺を名乗られると…ちょっと…ねぇ?
「あら〜、しゅん!とても礼儀正しいお嬢さんね!」
お嬢さんってか…俺なんだよ?その人…どうやら…俺もまだ半信半疑だけどな。
「で?何しに来たん…」
バシッ!
俺が言いかけた時、母さんは俺の頭を叩いた。結構、痛かった…
「何すんだよ!」
「あんたねぇ!何も聞いてなかったの?耳掃除をしなさい!」
「はあ?母さんに頭を叩かれてバカになっちまったんだよ!」
「はあー…あんたは…」
?…いつもならもっと言ってくるのに…そうか!里峰がいるからか!
「ごめんねぇ、すずかちゃん…すぐにしゅんに準備させるから!」
そう言ってドアを閉めると、母さんは俺に微笑んで
「あんたのこと見直したわよ!」
そう言ってリビングに向かっていった。
おい!以前の評価を聞かせてもらおうか!!そう思ったが時間がせまってるので、俺は慌てて支度をして家を出た。
「お前な!なんでここにいるんだよ!」
「なんでって、恋人になった男女は最初の頃は一緒に登校するもんじゃないの?」
「やめろ!そのどんどん冷めていく感じに言うの!それに俺らは付き合ってない!」
「告白した人が何言ったんだか…」
「俺もお前が頭のおかしい人だと知らなかったら付き合ってたよ!」
すると里峰はムスッとした顔になった。くっ…やっぱり可愛い…待て!落ち着け!俺!!こういう時はおばあちゃんを思い出せ!!
「私が君の家を知ってるって事が何よりの証拠でしょ!」
「っ!!…それは…」
ぶっちゃけ、そうである…俺は電車通学だし、高校の友達に住所も教えた事ないし…
「もしかしたら先生から聞いたとか…」
「そんな事、今の時代はアウトだよ…」
くっ…俺はどうやら認めなくてはいけないようだ。里峰すずかは俺の来世だと…
「なら…お前の目的はなんだ??俺と付き合って何する気だ?」
里峰は少し考えて俺の顔を見て言った。
「それは放課後に言うよ。行きたい場所もあるからね。」
まあ確かに…今言われたら授業が頭に入らないもんな…。
ガラガラッ
学校に着いて俺が教室を開けると望月がマッハで近づいてきた。
「うぉっい!!しゅん!どういう事だ?何が起こったんだ!?」
「はあ?」
教室を見回してみると教室の生徒も廊下にいる生徒もさらには先生までもが俺を見ていた。
…?…はっ!!まさか!あの数学のハゲ教師、俺がテストで3点だったのをバラしたんじゃ!
「違うんだ!俺もやる気をだせば…」
「やる気!?すげぇ!すげえよ!!しゅん!」
望月は泣いた。なんだこいつ?すると周りの男子達も泣いていた。
「俺も早く告白していたら里峰さんと…クソッ!」
そう男子生徒Aが言っているのを聞いて俺はハッとした。
「まさか…」
「すげえよ!しゅん!朝からラブラブ二人で登校なんて!」
!!…迂闊だった…この学校では里峰は有名人だった!…ん?…あっ!思い出した!!
「おい〜望月!!後で昼飯、奢れよ〜」
「くっ!!俺がリア充に飯を奢る日がくるなんて…」
おいおい…リア充をなんだと思っているんだ。普通の人だったら、この注目されている状況に最悪と感じるだろうが俺は違う!!あーなんて気持ちのいい日でしょう!!優越感が溢れてくるぜ!!
「ハハハハハ!!苦しめ!モブ共!!今日から俺は勝ち組…はっ!!」
華園さんも俺を見ている…俺は当初の作戦を思い出した…そりゃあ、華園さんか里峰さんかと聞かれたら、前世の俺がやどった女より美人で誰にでも優しい女神のような華園さんが良いに決まってるわけで………最悪だ…最悪だ!!!!
「なんでこうなるんだ!!こんなはずじゃ!!」
「おい!しゅん?情緒不安定になってないか?」
「ハハハ…俺に奢れよ望月。とびきり高いやつにするからな」
「は?…まあ、学食だからいいけど。」
〜昼〜
「しゅん君!私と食べよ!!」
そう言って猫を被った里峰が近づいてきた!!すると望月は少し涙を流し
「しゅん君!?…そうか…いや、そうだよな…もうお前は一人じゃないんだもんな…」
「おい??望月?いや今日は望月と食うからそういう約束してたから、ごめんな?里峰!」
俺は顔で帰れ!と、うながした…すると里峰はニヤリと笑い…
「そうなんですか!?すみません、私しゅん君のためにお弁当、作ってきたのに…」
ゲホッ!!
望月は口から血を流した。すると周りの男子生徒達も…次々と…
…おい?どういう体の構造してんだ!コイツら!!
「あ…愛妻弁当だと!?」
「いや、違うぞ?望月…結婚してないから愛妻でもなんでもないぞ?」
しかし望月は何も聞いていなかった。
「そうか…俺の親友だった、しゅんはもういないんだな…」
「いるよ!?ねえ!いるよ?!彼女ができると親友は失わなきゃいけないのかよ!?」
って元から親友か?俺達…??
「お大事に!!!!!!!!」
望月はそう叫びながら廊下を出て行った。
お大事にって…看病しに来たわけじゃねえんだから…
ツン
俺の頬を指でツンツンしながら里峰は笑顔だ。
「面白い友達だね。さあて、しゅん君?屋上で食べよっか!!」
あの〜屋上は使えないはずですが……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます