第5話 『あれ?薔薇色の人生は??』

「あーーーーーーー!!!!!!」


俺は勢いよく落ちている…これがひもなしバンジーってやつか!なんか案外楽しいぞ!これ。


「でも…どこまで落とすきだ!!早く戻せ!!」


すると下から土が勢いよく溢れ出してきた!!えっ…!?何?何!?何!!


「待て待て待て!!…ウォッ!!」


俺は勢いよく地上に押し出された。


ドスッ!!


「イてて」


「どう?これは土を操る本!!」


そう言って、里峰は自慢げに別の本を見せびらかした。俺に大丈夫?の一言もないこの女!!


「いいか!?過去の俺を大切にしないと未来のお前も危ないんだからな!!」


「大切にしてるわよ?だから付き合ってあげてるんじゃない!!あんたみたいな成績悪くて運動能力のない男子生徒、私じゃなかったら誰も選ばないわよ?」


「やめろっ!!そのラブコメのツンデレキャラの王道のセリフを汚すな!!」


「はあ〜!?誰が汚してるって?このセリフは男子なら一度くらいは言われたいはずよ!?」


「お前が俺じゃなかったらな!?俺に俺が言ってどうトキメクんだ!?俺はナルシストか!」


なんで未来の俺のくせにこんなに言い争いになるんだ??まあ…おそらく90歳くらいの俺との対談だから性格は変わるか…。すると背後から声が!!


「話が進まない…」


「「!?」」


二人で同時に振り向くと齋藤さんだった。コイツ俺の背後を!!敵だったら殺されてたな…お…恐ろしい!!


「勝手にバカな想像してルナにビビったんじゃないわよ…」


里峰はさっきルナが持っていた本を触りながら呆れて言った。そういえばその本は心の声が聞こえる…らしい…


「ごめんね、ルナ。この馬鹿のせいで話が進まなくて」


コイツ〜!!俺だけのせいにしやがって!過去のお前なんだぞ!つまりお前も馬鹿だ!!ハハハ馬鹿め!!と紳士な俺は心の中だけで思うことにす…


その時俺の指が凹んだ!!


ギュ〜〜〜!!!


「イッ!!!!!」


「あら〜??どうしたの?し・ん・しのしゅん君〜!?」


あっ…!そうだった。今は心の声が…

こうして俺は無事エセ紳士となったのだった…


「で?俺を呼んだ理由はなんだ?そんな本まで見せて…」


「あら?そんなに驚かないのね…」


「昨日の方がインパクトが強かったからな…そりゃあ…」


くっ…俺の初告白…!!


「これは能力書…」  


と齋藤さんが喋った!!いきなりだな…おい…


「能力書?」


すると齋藤さんは無表情で話を続ける。


「この本に触れれば、触れている時間だけ能力が宿る…」


「本は関係ないんだな、形だけか?」


俺の話は無視っ!!そして話を続ける…多分悪気はないのだろう…ないよね!?


「…魔女狩りの時に作られた…」


「魔女狩り!?」


それって俺でも知ってるぞ!?なんかあれだろヤバかったやつだろ?


「…」


「……」


「………」


えっ…齋藤さん?何この沈黙…俺あんまり静かのは、耐えられないんだけど。!?…まさか…


「説明、終わりかい!!」


齋藤さんは何言ったんだコイツは?って顔をしながら首を傾げていた。


「分かるか!!その説明で分かるか!!クールとかで片付けていい問題じゃない!!」


すると今回ばかりは里峰は同情してくれた。


「あのね?ルナ…流石にそれだと、なんも分からないと思うんから…私が言うわ。」


齋藤さんは静かにうなずいた。なんか少し寂しそうに思えた…


「まず魔女狩りっていうのは、中世以降、欧州で町の病気や穀物の不作が起こるとそれを魔女のせいにして、魔女と疑われた女性を次々と殺していったのよ。」


「でも、それは確か…嘘なんだろ?何かのせいにしたくて…それで勝手に魔女を作り出して…それで…」


「私も魔女狩りは空想だと思ってた…災いの原因が分からないから、勝手に魔女のせいにして罪のない女性達を…でも違ったの。魔法は本当にあったの!」


そう言って本を見せる。


「災いは確かに魔女達のせいじゃない…と思うけど、魔法があったことは本当。魔女達は殺される前に魔法を本に譲渡した。魔法をこの世から無くさないために…」


「でも、魔法が本当にあるなら殺されそうになった時、抵抗しないのか?魔法で倒せばいいのに」


「そんな事したら、本当に魔女が災いの原因扱いされちゃうじゃない!!だから多分未来の人達に託したのよ…」


そう言って本を見つめる。里峰はどこか悲しんでいたように思えた。なんか俺さっきから勝手に思い込んで…どうしちまったんだ俺?こんなに優しかったけ?…まあ、俺は優しいけど!!


「…あの…それで俺に…何をしろと?」


「本は全部ここにあるわけじゃないの…」


えっ!?ここに余裕で1000冊くらいはあるだろ!!まだそんなにあるの?魔女達はどんだけ作ってんだ!10冊くらいにまとめとけよ!!


「まさか…みつけろと?」


「当然!!」


即答された。一回、告白しただけでこんな事になるとは誰が想像できただろう…ここからは俺の本探しが始まる!?…えっ?青春は?俺の薔薇色の人生は〜!??




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