マッサージ店開店までの軌跡

第14話 店名を決めよう

 お母さんと上原さんが、マッサージ店の開店に協力してくれる事になった。わからない事ばかりだけど、2人の期待に応えられるように頑張りたい。



 見送りを済ませ、私と絵里奈はリビングに戻ってきた。さっきまで4人で過ごしてたから、2人になると広く感じるわね。


「お姉ちゃん、掃除の時にあたしが言った事覚えてるよね?」

絵里奈は待ちきれない様子を見せる。


「“ご褒美が欲しい”でしょ? 何して欲しいか言って」


「それじゃ~、赤ちゃんのように吸いたい!」


どうやら今は、胸を責めたい気分のようね。


「はいはい」

私はブラを外し、絵里奈に次の行動を委ねる。


あの子は、私をソファーにゆっくり押し倒す…。



 絵里奈は力加減と緩急をつけながら、ひたすら吸い続ける。責め方がワンパターンじゃないから、私の体は気持ち良さでビクビクしっぱなしだ。


「気持ち良い? お姉ちゃん?」


「…ええ♡」


絵里奈はクラスメートとレズった経験があるから、私より上手なのよね。マッサージ店は、この子の責めが軸になりそう。


「良かった♡ よ~し、最後の一押しだ~♡」


…その一押しが強烈だったので、私はすぐやられるのだった。



 Hが一段落したので、私と絵里奈はソファーに座る。マッサージ店を開店するまでに決めないといけない事がたくさんある。少しずつ進めないと。


「絵里奈、マッサージ店の考えないとね。何が良い?」

店名を決めない事には、スタート地点にすら立てない。


「う~ん。『満里奈&絵里奈』とか『まりりんとえりりん』とか…」


この子、ネーミングセンスないのかしら? ひどいと思う…。


「じゃあ、お姉ちゃんは何が良いの?」

私の呆れた顔を見て、絵里奈が不機嫌そうに言う。


「そうね…。『ネックロン』はどう?」

これなら子供らしさを感じないし、嫌らしさもないはず。


「ネックロン? どういう意味なの?」


「私達が普段触る“乳首とクリ”を英語にして合わせた造語よ。今から解説するわ」

うまく伝わると良いけど…。




 「乳首を英語にすると“ニップル”になるんだけど、それだと嫌らしい店になっちゃうじゃない?」


つまり第一印象が悪い。店名を見て拒否反応を出されるのは避けたい。


「そう? “アップル”の親戚になるんじゃないの?」


乳首とリンゴが親戚…。nippleとappleって、スペル似てるかしら?


「…とにかくニップルはダメだから、代わりに『首』だけ日本語訳したのよ」


「だからネックなんだね。じゃあロンは何?」


「マロンのロンよ。私達女にあると食べる栗は意味は違っても、言葉は同じでしょ? だからそのまま使ったの」


「ネックロン…。一見普通でも、理由を聴くと嫌らしさそのものだね。さすがお姉ちゃん」


「店名は多くの人に知ってもらう必要があるわ。だから無難にしないとダメなのよ」


実際は、Hなマッサージが大半を占めるんじゃないかな…。


「首じゃなくて乳を日本語訳したら『ミルクロン』になるけど、そうなったらミルクの由来が気になるよね」


「絵里奈もそれに気付いたか。だから避けたのよ。マッサージ店で首をマッサージするのは普通だから、店名に“ネック”が入るのは自然なはずよ」


そのあたりも計算に入れてある。


「なるほどね~。けどさぁ、もし“ロン”の由来を訊かれたらどうするの?」


「それは正直に『クリが好き』って言えば良いわ。モンブランに置き換えても良いかも」


「クリが好きって、すごい嫌らしい♡」


「…そういう解釈もアリね」

そう結論付ける可能性があるのは、常連さんになってからだと思う。


「お姉ちゃん、店名は『ネックロン』にしよ!」


「絵里奈も気に入ってくれたし、そうしましょうか」



 こうして、マッサージ店の店名は“ネックロン”に決定した。店名決めは始まりに過ぎないけど、それでも決まったのは嬉しい。


これからも少しずつコツコツ頑張っていこう!

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