第8話 初めてを卒業

 私と絵里奈は、今日2回目のお風呂に入る。このお風呂の時間で気持ちの整理をつけないと! その結果次第では、あの子との関係が変わりそうね…。



 私達は脱衣所で服を脱ぎ、一緒に浴室に入る。…やっぱり、絵里奈の裸から目が離せない。その理由は珍しさから? それともあの子の裸だから?


「あたしとお姉ちゃんが一緒に入れたらな~」

あの子が湯船を見てつぶやく。


「そんな大きいのは、お金持ちじゃないと無理よ。手っ取り早いのは銭湯かしら」


「だよね~。お姉ちゃんの裸を他の女の人に見られたくないから、銭湯はナシかな」


私と絵里奈の考えに違いはあるものの、人前で裸になりたくないのは変わらない。行くとしたら、デリケートゾーンの脱毛をしてからね…。


「よ~し、お姉ちゃんの体を洗う準備をするよ~」


そう言って、絵里奈はスポンジにボディーソープをつけて泡立てる。それからスポンジの泡を自身の手に移動させた。


「何で泡を手に移すのよ?」


「手で洗うからだよ。手で洗う方が肌へのダメージが減るじゃん?」


「そうだけど…」

その代わり、くすぐったさや嫌らしさは増える。


「汚れは上から下に落としたほうが良いから、最初は頭を洗ってね。あたしはゆっくり待ってるから」


「わかったわ」


とはいえ、待たせすぎるのも悪いわね。ランニングの後のお風呂で大体は洗ったし、手短に済ませよう。



 私は頭を洗い、シャワーでキレイに洗い流す。次は体ね。


「やっとあたしの番だ~♡」


絵里奈の手はたくさんの泡に包まれている。その手で私の背中を洗うのね。


「あの時のお風呂で思ったけど、お姉ちゃんの洗い方はイマイチだったな~。だからあたしがを念入りに洗ってあげる♡」


「ちょっと待って、あの時はバイトの前だから適当に洗っただけよ。普段は洗い忘れなんてしないわ」


「その油断が命取りじゃない? 体はいつでもキレイにしないと」


「確かに…そうね」

洗い忘れが臭いの元になったら最悪だ。


「でしょ? お姉ちゃんは立ってるだけで良いから。後は全部あたしに任せて♪」


「…お願いするわ」


普通の姉妹関係なら、手で洗う事を提案された時点で断ると思う。でも最初のお風呂で絵里奈に胸を揉まれた時、意外に気持ち良かったのよね。


その気持ち良さをまた味わいたい考えが、断る選択肢を消し去る…。



 絵里奈の手が私の全身に触れていく。これが予想以上に気持ち良く、声を抑えるのに必死だ。


「お姉ちゃん、声出して良いよ♡」


耳元で囁かないで、それだけで私は…♡


は念入りに洗わないと♡」


「…あっ♡」

絵里奈の指さばきに、つい声が出てしまう。


「今の声良いね~。もっと聴かせて♡」


一度出た声は簡単には抑えられない。私は絵里奈に洗われてる間、ほとんど声を出すのだった。



 「念入りに洗ったよ、お姉ちゃん♡」


長かったような短かったような時間が終わる。


「ありがとう…」


これだけ絵里奈にやりたい放題されて黙ってはいられない。今度は私の番だ。


「絵里奈。今度は私が同じように洗ってあげる」


「良いの?」


“待ってました~”と言わんばかりの顔ね。


「もちろん。お返ししなきゃ気が済まないもの」

今度は絵里奈の可愛らしい声を聴かせて♡


「すぐ頭洗うから待ってて!」



 絵里奈が頭を洗い終わり、私は手にスポンジの泡を移す。あの子と同じようにしないとフェアじゃないわね。


「…お姉ちゃんの手と指が嫌らしすぎる~♡」


「それ褒めてるの? 貶してるの?」

反応に困るんだけど…。


「褒めてるに決まってるじゃん。好きな人に嫌らしい事をしてもらえるなんて最高だよ♡」


それぐらいわかりやすい言葉にしなさいよね。私達は女同士だから、当然体のつくりが同じだ。絵里奈にしてもらった洗い方をそのまま活かす事ができる。


「気持ち良い~♡」


「力加減も問題なさそうね」

こればかりは、そっくりそのまま真似できない。


「うん♡ さすがお姉ちゃんだよ~♡」


絵里奈の喘ぎ声を聞きながら、私はこの子の体を洗う。



 「はい、洗い終わったわ」

絵里奈の全身を触る事が出来て満足だわ♡


「ありがと~、お姉ちゃん」


今度は洗い流さないと。1回目のお風呂のように、シャワーを絵里奈にかける。それが済んだ後、あの子も同じようにかけてくれた。


「お姉ちゃん、あのさ…」

何故かモジモジしてる絵里奈。


「他にして欲しい事があるの?」


「うん…」


歯切れが悪いわね。お互いこれだけしたのに言いづらいって、何して欲しいのよ?


「あたしクラスメートとレズったけどさ、は触らせなかったんだよね…」


私の勘が正しければ、絵里奈がして欲しいのは…。


「だからお姉ちゃん、あたしのを奪って!」


思った通り。これは確かに言いづらいわ。


「私で良いの?」


「お姉ちゃんじゃなきゃヤダ!」


覚悟は決まってるようね。私もそろそろ覚悟を決めないと。


絵里奈に体に触られた時、気持ち良さに支配された。普通は多少の不快感や抵抗感があるはずだけど、それらはまったくなかった。


相手が絵里奈だから成立したに違いない。私は…、あの子を求めてるんだ。それを正直に伝えて、このお風呂の場で私達は“姉妹以上の関係”になろう。


「絵里奈のお望み通り、を奪ってあげる…」



 ……思いの外、あっさり絵里奈のを奪えた。“中”も良い感じだったし、この子の気持ちは本物ね。


「絵里奈。今度は私のを奪ってちょうだい」


「うん♡」


………ついに、私達は“姉妹以上の関係”になった。お母さんにバレないようにするけど、言い訳は考えておいたほうが良いかもしれないわね。


「あたし達、これからもずっと一緒だね♡」


「そうね。お互い大学を卒業して社会人になったら、2人で住みましょう」


「約束だよ♡」


私達は少し冷えた体にあったかいシャワーをかけてから、浴室で気が済むまでキスするのだった。

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