第7話 絵里奈の告白

 バイトを終え、私は帰宅する。お母さんは今日も帰りが遅くなる事は朝の時に聴いている。絵里奈と2人きり、何かが起こる気がしてならない。



 「ただいま~」

家に帰るとホッとするわね。


「おかえり~」

絵里奈が嬉しそうに玄関に来る。


「お母さん、今日も遅くなるのは覚えてるわよね?」

念のため確認してみる。


「もちろん。…ご飯はできてるから、いつでもOKだよ」


「ありがとう。すぐ食べるわ」


バイト先を出る前に、絵里奈におおよその帰宅時間を知らせてある。だから帰宅してすぐ食べる事ができるのだ。



 私がリビングにあるテーブルの椅子に座って待っていると、絵里奈が夕飯を持ってきてくれた。あの子の分は私の後に持ってきた。


「今日はハンバーグなのね。おいしそうだわ」

デミグラスソースは既にかけられている。


「ランニングしたから、お肉食べたくなったんだよ」


「その気持ちわかるわ」


「わかってくれて嬉しいな~♪」


上機嫌の絵里奈に感謝しながら、私は夕食に手を付ける。



 「お姉ちゃんがバイトに行ってから、1人でずっと考えてたの」


食事中、絵里奈が話を切り出す。


「何を?」


「あたし…、これからもお姉ちゃんのそばにいたいな~」


「急にどうしたの?」

急展開過ぎて付いていけない。


「学食でナンパを追い払ったお姉ちゃんはカッコ良かったし、裸はエロかった♡ エロカッコいいお姉ちゃんに、あたしは虜になったの♡」


話を聴いてもよくわからない。私がエロカッコいい?


「何でポカンとしてるの? 男の人2人にビシッと言える女の人はそうはいないって」


「あれは絵里奈が困ってたからよ。他の人だったら絶対しなかったわ」

思わず本音を言ってしまった。幻滅するだろうな…。


「たとえそうでも、あたしを守ってくれた事に変わりない。惚れるには十分すぎる理由だよ」


「そっちはまだ納得できるけど、は意味が分からないわ」

私のスタイルは普通なはず。どこがエロいのよ?


「お姉ちゃんの裸は、今まで見た女の人の裸の中で一番エロく見えたの!」


「それは単なる過大評価よ」


絵里奈は、中学・高校の修学旅行時にレズったと聴いた。つまり相手はクラスメートで同学年だ。1歳上の私の裸は初めてだから、そういう評価になったんだろう。


「そんな事ないって! じゃあお姉ちゃんは、あたしの裸を見てどう思った?」


「……とてもドキドキしたわ。忘れられそうにない」

今日の夢にも出ると思う。


「それと同じ! 好きな人の裸は、とにかく最高なの!」


私は絵里奈と違ってレズの経験はない。他人の裸を見た回数がドキドキに関係していると思っている。


「お姉ちゃんのそばにいちゃダメかな…?」


上目遣いで訴えてくる絵里奈。こんなこの子を見て、断れる訳がない。


「良いけど、プライベートはキチンと守るのよ。お互い嫌な事はその時に正直に言って、居心地が良くなるようにしないと」


姉妹でも他人に触れて欲しくない部分はあるはずだ。


「わかった、ちゃんと覚えておくね」


この話も多分三日坊主になると私は予想している。絵里奈が三日坊主で終わる事はそこそこあるからだ。私のドキドキも三日坊主になるんじゃないかな?



 夕食を完食した私と絵里奈。ランニングとバイトの疲れが出て眠くなってきた。


「お姉ちゃん、一緒にお風呂入ろうよ! 背中流してあげるから」


もし今回も入れば、絵里奈の裸を昨日合わせて4回観る事になる。虫退治をお願いしてきた時・レズった話を聴く前・ランニングの後のお風呂・そして今回だ。


3回共ドキドキしたものの、さすがに4回目になれば落ち着いて考える事ができるはず。そこであの子の裸に関する気持ちをまとめる!


「わかったわ。一緒に入ろうか」


「ありがと~♪ 洗い物が終わるまで待っててね♪」


「それは私がやるわ。おいしいハンバーグを作ってくれたお礼をしないと」


「良いの良いの。ランニングの時はあたしが迷惑かけたし、お礼はいっぱいしてもらうから♡」


「じゃあ、お言葉に甘えるわね」


「ゆっくりしててね。よ~し、さっさと終わらせるぞ~!」


絵里奈は気合が入ってるわね。私はその間、テレビを観てのんびりしよう…。

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