第6話 お風呂の時

 ランニングを終えた私と絵里奈は一緒に帰宅した。あの子のペースは遅かったけど、頑張って私に付いて行こうとする意志は感じられた。


やる気があるならとことん付き合うからね、絵里奈!



 「汗だくだ~」


玄関で一緒に靴を脱いでいる時に、絵里奈がつぶやく。


「私もよ。早くシャワー浴びないと風邪ひいちゃうわ」


「今すぐにお風呂入らないとね!」


「えっ? 一緒に…?」


「うん。お姉ちゃんも汗だくなんでしょ? すぐ入らないとダメだって!」


昨日の夜、絵里奈は言っていた。(2話参照)


<<「今のところお姉ちゃんを見てもレズりたい気持ちにならないけど、裸を見たらどうなるかわからないな~」


まさか私とお風呂に入る口実のために、ランニングするなんて言い出したの?


「考え事は後にしようよ♪」


絵里奈は私の背中を押して脱衣所に向かう。…仕方ないわね。



 脱衣所に入る私と絵里奈。入って早々、あの子は服を脱ぎ出す。


…ダメな事なのはわかってるのに、絵里奈の脱ぐ動作から目が離せない。さすがにガン見はマズいから、チラ見しながら私も脱ぎ始める。


「…えへへ♡」


先に全裸になったあの子が、ニヤニヤしながら私の脱ぐ様子をしっかり見ている。こんな事になるなら同じように脱ぐんだった!


そんな風に見られながら、私も服を脱いで全裸になる。


「お姉ちゃんの裸…♡♡」


「そんなのは良いから、早くシャワー浴びるわよ!」


今度は私が絵里奈の手を引き、浴室に誘導した。



 浴室に入り、私はシャワーを出す。ぬるま湯になるまで待たないと…。


「お姉ちゃんの裸は最高だね♡ 久しぶりにレズりたくなってきた♡」

そう言って、絵里奈は私の後ろから胸を揉みだす。


「ちょっと! 私はこれからバイトあるのよ? 遊んでる暇はないんだから!」


本当は意外に気持ち良いから、もっと揉んで欲しいかな…。でもそれを言うのは恥ずかしいので、何とか強がっている。


「わかってるよ。は夜じゃないとね♡ 今はちょっとしたおふざけ♡」


その割には結構揉んでるけど…。本番はどうなるの?


「…これぐらいなら良い感じかな?」

シャワーに手を当てて温度確認した絵里奈が、私に向かってかけ始める。


「私が先で良いの?」


「用事があるお姉ちゃんを優先するのが当たり前じゃない? あたしは今日どこにも行かないし、時間はいくらでもあるから」


「そう。それじゃ、お言葉に甘えるわね」



 絵里奈は体を洗い終わった私にシャワーをかける。洗い残しを防ぐために念入りにかけてくれるのは嬉しいけど、胸・お尻・股あたりに集中してたような…。


「はい、キレイに落とせたよ」


「ありがとう絵里奈」

あの子の変わったシャワーの使い方のせいで、ちょっと変な気分なのは内緒だ。


「洗濯はあたしがやっておくから、気にせずバイトに行ってね」


「そうさせてもらうわ」


私は絵里奈より先に浴室を出る。



 脱衣所にあるバスタオルで水気を取ってる時に思い出す。ランニング中、あの子は乳首が擦れると言っていた。もしかしてブラの状態が悪いのかも?


気になったので、脱衣カゴを漁って絵里奈のブラを取り出す。それから内側を観察する。


…別に問題ないわね。よく考えたら、乳首よりも筋肉痛を気にしたほうが良いかも。あの子は走り慣れてないんだから、どうなるかは簡単に予測できる。


「お姉ちゃん、何かあった?」

絵里奈が浴室の扉をちょい開けして、脱衣所を確認してきた。


私がいつまでも脱衣所にいるから不審に思ったのね。あの子のブラを持ってるこの状況はマズいわ…。


「ねぇ、何であたしのブラを持ってクンカクンカしてるの?」


「クンカクンカはしてない!」


「じゃあそれ以上の事してたの? …H♡」


誤解したまま、絵里奈は扉を閉めた。バイトの事を考えて追及しなかったようだ。


…って、あんまりのんびりしていられないわ。私は着替えるために部屋に向かう。

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