第3話 絵里奈はどっちもイケる?

 絵里奈えりなの裸を見た翌日、私は何とか布団から起き上がる。昨日の夜は全然寝れなかった…。


というのも、あの子の裸が頭から離れない。それに夢にも出てくる始末。今の時点でこんなに動揺してたら、夜一緒にお風呂入る時どうなっちゃうの…?



 リビングで、お母さんが作ってくれた朝食を3人で食べる。そんな中…。


満里奈まりな・絵里奈、2人にどうしても言いたい事があるの」


何を言う気なんだろう? 私と絵里奈は一瞬目を合わせる。


「実はお母さん、“再婚”を考えてるのよね~」


「再婚? 良いじゃん!」


「絵里奈の言う通りだよ。私も応援するから」


お母さんは40歳だし、新たなパートナーを探してもおかしくない。


「まだ考えてる段階だけど、2人が祝ってくれて嬉しいわ」


「考えてるって事は、気になる人はいるんだよね? どんな人なの?」

興味津々な様子の絵里奈。


「お母さんと同い年。その人も“バツイチ”だから話が合うの」


「へぇ~」


…再婚の話を聴いて、昨日の絵里奈の話を思い出す。


<<「レズの子は言ってた、『レズは遺伝する』って。あたしもあの時はノリノリでレズったから、お姉ちゃんがその気になったらヤバいかも♡」


まさか再婚相手は女性? …考え過ぎか。万が一そうでも、お母さんの気持ちを尊重するのが娘よね。



 朝食後、私と絵里奈は大学・お母さんは出勤するための準備を行う。そして、同じタイミングで家を出る。


マンションを出てからは、方向が違うのでお母さんと別れる。


「ねぇお姉ちゃん。お母さんの再婚相手どう思う?」

隣を歩いている絵里奈が尋ねてくる。


昨日の事について、私の意見を訊くつもりかしら?


「どうって言われても、何もわからないじゃない」

今はこれ以上答えようがない。


「再婚相手、女の人かもしれないよね~」


やっぱり思った通りだ。


「あたしは女の人のほうが良いな~。男の人の前だと、裸や下着姿でウロウロできないし…」


私は女性が良いというより、知らない男性と住むのに抵抗がある。だから絵里奈の意見に近いんだけど、この際だからあの子に確認しておこう。


「絵里奈。昨日クラスメートとレズったって言ったけど、もしあんたが恋人を作るなら女性になるの?」


あの時の絵里奈は楽しそうに話していた。もしレズになったなら、女性を恋人にするはず。


「ううん。男の人のつもりだよ」


「今のところ?」

意味深な表現ね…。


「あたしがレズったのは、昨日言った通り中学と高校の修学旅行の時だけ。雰囲気とノリに任せた結果なんだよね~」


「そうなんだ」


「普段お酒を飲まない人が宴会の時は飲む、みたいな感じだよ」


話を聴く限り、絵里奈はレズじゃないのかしら?


「だけど、これからはわからない。男の人が嫌いになってレズにハマるかもしれないし、また雰囲気やノリでレズったらハマるかもしれないし…」


今の絵里奈は印象ね。レズになりきってないから、私を見てもレズりたい気持ちにならないのか…。


…って、私と絵里奈は姉妹よ。普通のレズとは条件が違うじゃない!


「男の人だろうが女の人だろうが、今のあたしは恋人を作る気はないから。安心してね、お姉ちゃん♪」


突然私の腕にしがみ付き、胸を押し付けてきた。…柔らかくて良い気持ちね。


「……お姉ちゃん、ニヤけてない?」


「気のせいよ!」


心の中では浮かれながら、私達は大学に向かうのだった。

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