第2話 レズについて教えてあげる♡

 ふとした事をきっかけに、妹の絵里奈えりなの裸を見た私。あの子の裸はとても魅力的で、脳裏に焼き付いてしまった。忘れる事は出来なさそうね…。



 食器洗いを済ませた私は絵里奈がお風呂から出るまで、リビングでソファーに座りながらテレビを観る。自分の部屋にいると、お風呂を出た音が聞こえにくいのよね。


「お姉ちゃ~ん、お風呂出たよ~」


絵里奈はバスタオル姿でリビングに来た。今まで何度も見た姿なのに、裸とは違う嫌らしさを感じる…。


「お姉ちゃんは、こっちのほうが良いかな?」

あの子はニヤニヤしながらそう言って、バスタオルを取った。


…再び、絵里奈の全裸が私の目の前に晒される。


「何してるの? はしたないでしょ!?」

なんて言いつつ目を逸らすも、本当は直視したくてたまらない。


「そんな事言っても、さっきの嫌らしい目は正直だったよ~。と一緒だったからすぐわかった」


「あの時って何?」


絵里奈はバスタオルを再び体に巻いた後、私の隣に座る。


「実は中学と高校の修学旅行の時に、クラスメートとレズった事があるんだよ」


「そうなの? 初めて聴いたわ…」


「そりゃ初めて言ったからね。同じ部屋で寝るメンバーにレズの子がいて、その子が悪ふざけで他の子のおっぱいを揉んだのをきっかけに、だんだん飛び火してエスカレートしていったの」


たぶん修学旅行で気分が舞い上がってる上に、男子がそばにいないからそうなったのね。私は経験ないから全然共感できないわ…。


「その反応、お姉ちゃんは1回もやった事ない感じだね?」


「普通はないから!」


「ふ~ん。とにかくあたしが言いたいのは、“さっきのお姉ちゃんの目は、レズの子の目と同じだった”って事だよ」


とんでもない事を聴かされたせいで言葉が出てこない。


「レズの子は言ってた、『レズは遺伝する』って。あたしもあの時はノリノリでレズったから、お姉ちゃんがになったらヤバいかも♡」


私が絵里奈の裸を忘れられないのは、レズの素質? があるからなの?


「お姉ちゃん。レズに興味あるなら教えてあげる♡」


「興味なんてないから…」


自分でも驚くぐらい、強く否定する事ができない。どうして?


「気が向いたらいつでも言ってね~♪」

絵里奈はソファーから立ち上がり、リビングを出て行く。


私もすぐお風呂に入らなきゃ! 急いで準備しないと!



 湯船につかりながら、絵里奈が言っていた言葉を振り返る。あの子が他の子とレズったなんて…。一体どこまでやったんだろう?


もし絵里奈の指が、私の体のを触ったとしたら…。って、何を考えてるの私! これだと本当に望んでるみたいじゃない!


第一、私と絵里奈は姉妹だ。姉妹でそんな事するなんてあり得ない! あの子もそういうつもりで言ってないはず!


私が絵里奈の裸を忘れられないのは、この歳で同性の裸を見たという珍しさに決まってる! 深い意味なんてないんだ!


私は体の汚れと煩悩を一緒に洗い流すため、湯船を出た。



 お風呂を済ませて脱衣所を出ると、すぐそばで絵里奈が待ち構えていた。普段は自分の部屋にいるはずなのに…。


「お姉ちゃん、いつもよりお風呂の時間長くなかった?」


「気のせいよ…」


そう反論したけど、多分気のせいじゃない。絵里奈はわかって言ってるわね。


「そっか。さっき言い忘れた事があるから伝えに来たんだ~」


「言い忘れた事?」


「そう。今のところお姉ちゃんを見てもレズりたい気持ちにならないけど、裸を見たらどうなるかわからないな~」


わざわざこんな事言いに来たの? どういうつもり?


「だ・か・ら、明日一緒にお風呂入ろうね♪ 今日乱入しようと思ったけど、心の準備がいると思って止めといた♪」


絵里奈とお風呂? …余計な事を考えなければ大丈夫なはず。


「用事はこれで終わり。お休み~♪」

絵里奈は軽い足取りで自分の部屋に戻って行った。


明日のお風呂は、さっきと違ってあの子の裸を長い間見る事になる。そこでしっかりした様子を見せれば、絵里奈は2度とこんな事を言わなくなるはずだ。


姉として誘惑に打ち勝とう! そう決意した後、自分の部屋に戻るのだった。

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