利害の一致

はっきり言って幽霊を家に置いておくメリットが何一つない。

確かに見た目は可愛いが、幽霊だからそういう事が出来る訳でもないだろうし。

かと言って追い出そうにも、追い出すすべがない。

先程から成仏してれ、と念じてみてはいるものの、成仏する気配がまるでない。

今更この幽霊相手に怖がる事なんてできそうにもないし…。いや、ある!あるじゃないかこいつを置いておくメリットが!!

「なあ、あんた幽霊って事は他の幽霊と会話出来たりもするのか?」

幽霊は俺の質問にキョトンとする。

「えっと、そうですね。幽霊どうしなら会話が可能ですし、幽霊にもコミュニティのようなものがありますので、定期的に集まって情報交換したりしています」

やはり、俺の考えは間違いではなかった。

「1番苦しくない死に方を、幽霊達から聞いて貰えないか?その見返りとして、ここに居てもらってもいいし、なんなら成仏出来るように協力するよ!」

それを受けパっと顔を輝かせる幽霊。

「本当ですか!?ぜひよろしくお願いします!! …というか苦しくない死に方ですか?そんな事聞いてどうするんですか?」

「後学のためにちょっとな」

俺は、死にたいとは思っているが苦しい思いはしたくないのだ。それこそ唐揚げブリッ死なんて論外だ。

ネットで調べれば苦しまない死に方はいくらでも出てくる。だがその情報が正しいかどうか分かるのは死ぬ時だ。

実際試してみてやっぱり苦しかった、じゃ洒落にならない。

だが1度死を経験してる幽霊の意見となれば話は別だ。のんせ自分で体験したやつの意見だからな。

「後学?ですか、まぁ、なんにせよこれからよろしくお願いします。私は鈴白玲(すずしろれい)って言います。17歳です」

「桑原真栗(くわはらまくり)21歳だ」

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