初めての同棲生活
美少女との同棲生活と聞いて、皆さんはどんな事を連想するだろうか?
見てる側が恥ずかしくなるような甘酸っぱい日常?
仕事で疲れて帰ると「お疲れ様」なんて優しく出迎えてくれたり?
「先お風呂にする?いい香りのする入浴剤買ってきたんだ?」なんてやりとりまでしちゃったり?
大抵の人はそんな微笑ましくも羨ましい光景を想像するのではないだろうか?
そして俺は、そんな考えをしてる人達に一言言いたい。
——ガチャッ——
「あっ、お帰りなさいお仕事お疲れ様です。水風呂出来てますよ!いい香りのするお線香も焚いてあるので、ゆっくり疲れを癒して下さいね」
ただし生者に限る!!!
「どうしたんですか?そんな所でじっとして、あっ、お部屋真っ暗でしたね!今鬼火だしますね!」
大事な事なのでもう一度言おう
ただし生者に限る!!!!!
「なんでそんな微妙そうな表情してるんですか?疲れてるんですか?木魚叩きますか?」
「いや叩かねーよ、なんで木魚だよ」
「銅鑼(ドラ)の方がよかったですか?」
「そういう問題じゃねーよ!!」
俺は、とある理由からこの美少女幽霊と同棲する事になったのだ。
そう、あれは丁度1週間前の事。
——————
「地縛霊ってこの世に未練があるせいで成仏出来ずにいる死霊の?」
「違います。地縛霊ではなく、自爆霊です」
「…何が違うんだ…?」
幽霊はコホンと咳払いをすると説明を始めた。
「私が言う自爆霊というのはですね、自爆死してしまい、神様から成仏する事を禁止されてしまった霊の事です」
自爆死とは自殺の事だろうか?自殺をすると神様が怒って成仏を許してくれないとかそんな所だろうか?
仮にそうだとしたら、現在進行形で死ぬ事を考えている俺も人事とは言えなくなる…。
それにしても、自爆死が自殺であるならば、この幽霊も生前は、人には言えないような何かを抱えて居たのかもしれない。
「お前も大変だったんだな…。」
「はい…。まさか唐揚げであんな事になるなんて…」
ん?唐揚げ?よく分からないが飲食店か何かで働いていて、唐揚げに関する事で酷い目にでも合わされたのだろうか?
「まあ、世の中何があるか分からないからな」
「そうですね、まさか唐揚げブリッジで死ぬとは思いませんでしたが、しょうがないですよね」
幽霊が儚げに微笑む。
「………は?」
こいつは今なんて言ったのだろうか?唐揚げブリッジとかいう単語が聞こえてきた気がするのだが。
「どうしたんですか?」
首を傾げる幽霊。
「聞きたいんだけどさ、死因って自殺じゃないの…?」
「自殺?私が自殺なんてする訳ないじゃないですか。唐揚げを5個口の中に入れたままブリッジしたら、唐揚げが喉につまって窒息死しました」
「自爆ってそういう自爆かよ!!!」
思わず絶叫してしまった。そりゃそんな死に方したら神様も怒るだろうよ。
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