絶望くんと自爆れい
砂歩
はじまり
「ふふふ…ふふふ…」
身体が動かない…。
「今楽にしてあげますよ」
息が苦しい…。
「貴方を呪い殺す事によって」
これが、金縛りか…。俺は、ゆっくりと目を開けて目の前にいた幽霊に告げた。
「あの、重いんで降りてもらってもいいですか?」
「えっ…?」
何を言われたのか分からない、と言った感じで当惑する幽霊。
「いや、え?じゃなくて重いんで降りてもらってもいいですか?って思ったけどよく見たら可愛い顔してますね、むしろもっと密着してもらってもいいですか?」
俺の言葉を受けて幽霊が慌てて距離を取る。
「なんで、そんなに落ち着いてるんですか…?普通幽霊を見たらもっと怖がったり驚いたりすると思うんですけど…。」
そんな不思議な事を言ってくる。
幽霊が離れた事により身体が自由になった俺は、上体を起こし改めて幽霊を見据える。
やはり可愛い。文字通りの透き通るような白い肌。大きめの二重に、スっと通った鼻。形のいい唇が小さめの顔にそつなく収まっている。髪は肩口にかからないぐらいのショートボブでとても良く似合っている。
そんな幽霊に先の質問の回答をする。
「何でって、常に死にたいと思っている俺が幽霊如きにビビる訳ないじゃないですか」
それを聞いていっそう当惑顔を深めた幽霊が。
「いや、でもまだ20代ですよね…?人生これからって言うか…、その、生きてればきっといい事あるだろうし…」
と毒にも薬にもならないような事を言ってくる。
「たった今呪い殺そうとしてきた奴にそんな事言われても」
「そうですけど!!確かにそうなんですけどっ!!私にも事情がありまして…」
「事情?」
「はい…。実は私自爆霊なんです…。」
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