第13話 錬金術

 ドラゴンをアイテムボックスに収納した俺はその足で畑に植えておいた薬草を収穫しにいく。


 正直この1週間体に負荷をかけ過ぎたせいで動きたくないが〈錬金術〉を少し触っておきたい。


 なぜ俺が〈錬金術〉をしようとしてるのか?

 ……ゴレさんがこの1週間ずっと服、正確には布をずっと作ってるんだよ。


 まあ、まだ雑巾ぞうきんにしか使えなさそうなものしかできてないけど…しょうがないよな。


 ……スキルポイントを使って能力を開放したらある程度の布は作れるようになるんだけど、ゴレさん…スッゲー嫌そうだったんだよ。



 ………………


 まあゴレさん昼夜関係なく頑張ってるし、ここは黙って応援しときますか。


 …ただ、一緒に遊べなくなったルナが俺に文句を言ってくるのだけはどうにかしてほしいな。



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 そんなこんなでゴレさんは〈裁縫〉、俺は〈錬金術〉と役割分担することになったわけだが、


「みのる…ゴレさんは?」


 う〜む、ルナどうするか。


「ゴレさんは裁縫する為に建てた家の中にいるだろ。」


「えー、じゃあみのるでいいからあそぼ。」


 俺でいいって何だよ。


 まあ、俺の作る木彫り細工がスキルとこの世界に来る前に見たアニメやらの影響で無駄に美味いからあんま一緒にやりたがらないのは知ってるんだけど…


 ……ていうか、いつまで木彫り細工作ってるんだよ。


 もう1ヶ月だぞ?

 木彫り細工入れてる小屋も5個になってるんだぞ?


 いくら丸太がいっぱいあると言ってもこのペースじゃなくなるわ!


「…と言うわけで、ルナは俺と一緒に錬金術をしよう。」


「えっと……れんきんじゅつ?ってなに?なにかのまほう?」


 ……あれ、そう言えば錬金術って何だ?


 いや、何となくはわかるけど、ここで『薬草とか作れるやつだよ』とか言ってもルナの関心引けないじゃん。


「……えっと、…あーそう!石を金に変えれる技術だぞ、錬金術は。」


「きん…ってなに?」


 そうだわ、ルナは今まで野生で生きてたからそんなの知るわけないじゃん。


「…まあ、とりあえず一緒に錬金術、やらないか?」


「うん。私もどんなことするか興味あるから手伝う。」


 よかった、ルナが興味持ってくれたわ。


〈建築〉スキルのヤスリで木彫り細工作っても〈建築〉のレベル上がるけど、今はあんまり需要がないんだよな、レベルも184まで上がったし。


 しかもポイントも余りまくってるし、出来ればルナには他の新しい趣味?を錬金術で作ってほしい。


 俺はそんなことを思いながら、薬草を採取して、あらかじめ大きめに建てておいた錬金術用の小屋にルナと歩いて行った。



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 小屋に入った俺はスキル〈錬金術〉を起動してスキルパネルを解放を開放しなくても使える〈錬金術〉の初期設備を設置していく。


「いろんな道具を使うんだね、れんきんじゅつ?って。」


「まあ確かに、道具多いな。」


 今、俺が出した道具は『回復ポーション』を作るための道具だ。


 薬草をすりつぶすたまに見るやつとすりつぶした薬草を茹でる大釜おおかま、さらにその茹で汁をろ過する理科の実験で使うような道具に出来たポーションを入れるビーカーみたいな容器、この4つが俺の前にある。


 一番簡単な『回復ポーション』ですら3行程も必要なのだ。


 正直に言ってめんどくさい。


 ただ、スキルレベルを上げないと何が出来るかわからないしやらなきゃいけないんだよなー。


「じゃあルナ、今から俺は『回復ポーション』を作るけど、見とく?それともやってみる?」


「…うーん、やってみようかな。」


「わかった。

 じゃあこの動画を使って薬草をすりつぶしてくれ。」


 俺はそう言いながらもう一つ出した薬草をすりつぶす道具をルナに渡して、やり方を見せる。


「うん、わかった。」


 俺たちはそれなりの量あった薬草を不慣れながらもすりつぶしていった。



「みのるーこっち終わったよ?」


「ああ、ちょうどこっちも終わったぞ。」


「えーっと、次はどうするんだっけ?」


 ルナがそう言いながらすりつぶした薬草をこっちに持ってくる。


 親が子供に手伝いをさせる時って多分こんな気持ちなんだろうな、まあ知らんけど。


「うーんと、次はこれを茹でるんだよ、っと言うわけでルナ、あそこの大釜に火をつけてくれないか?」


「………みのるも早く火魔法使えるようになってよ。」


 ルナが大釜に火をつけながら、俺が火魔法を使えないことに若干の不満を漏らしているが無茶を言わんでほしい。


 まともと、俺はのまの字も知らない人間なんだから、スキル以外に魔法の覚え方なんて知らないんだよ。


「まあ、気が向いたら練習してみるよ。」


 俺はルナに生返事をしながら薬草を茹で始めた。


「……そろそろいいかな?」


 俺は大釜の中を見ながらそう口にする。


 そうするとやることがなくて木彫り細工を作っていたルナがこっちに来て、土台の上に立って大釜の中を見る。


「……ねぇ、ほんとにこれ飲めるなの?」


 うん、ルナがそう言いたい気持ちもわかる。


 だってこの茹で汁、めっちゃ緑色だからな。


「ていうかみのる聞きたいんだけど、回復するなら私の魔法使えば良くない?

 こんな不味そうなポーション、飲みたくないよ?」


「ルナ、出来ればそれは言わないでくれ。」


 ただでさえ低いモチベーションがなくなっちゃうから。


「まあ後は、ろ過して容器に入れたら完成だから。」


 俺はそう言うと大釜の茹で汁を〈水魔法〉の応用で触れずにろ過装置に流し込む。


 ポチャンポチャンとゆっくり茹で汁がろ過されて容器に落ちてくる。


「「……………………」」


 な、長え。


 これ茹で汁の量から20杯分くらいはあるけどどれくらいかかるんだよ。


「…ねぇみのる、終わったら呼んでくれる?」


「…あ、ああ、わかった。」



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 そうして待つこと3時間強、やっと全ての茹で汁をろ過することができた。


「……ルナ、飲んでみるか?」


「……いやわたしはいい、いらない。」


 まあですよねー。


 色が緑なだけじゃなくて臭いもくさいし。


「みのるはのまないの?」


「……………え、あ、じゃあいってみる…か?」


 俺は手に持っているポーションを口に近づけていく。


「ウッ…」


 口…いや正確には鼻に近づくほど俺はポーションのにおいをじかに感じて相当辛い。


 ただ、誰かが味見はしなきゃいけないので俺は勇気を持ってポーションを口にする。


「ウッ…」


「うっ?」


 ピーーーーーーーーーーーーー



「はあはあはあ、マジかこれ。

 生ゴミ食ったみたいな味だぞこれ、いや生ゴミ食ったことないけど。」


「みのる大丈夫?」


「大丈夫ではないけど大丈夫。」


「いやどっちなの?」


「まあちょっと休ましてくれ。」


「じゃあ私遊んでくるねー。」


 ルナはそう言うと木彫り細工を作りに行った。


 …ちなみに俺はこのポーションのせいでしばらく食べ物の味がしなかった。


 あと、今回、ポーションを20個作ったので〈錬金術〉のレベルは13まで上がっていた。


 まあしばらく錬金術なんてしたくなかったから何も弄らなかったけどな。


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作者 錬金術はめちゃくちゃむずい、これが世界樹クオリティー。

女神 まあ石を金にする技術だし簡単だったらそっちの方が問題でじゃない?

作者 ちなみに錬金術はどんなことができるようになるの?

女神 今作ったポーションはもちろん、魔道具とかの便利なアイテムが作れるようになるよ。

作者 …どのくらいのレベルで?

女神 まあ100以上くらいじゃないですか?

作者 そりゃ、大変だな。

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