第12話 ドラゴンの肉と新スキル
「みのる〜起きて〜」
俺は耳元で叫びながら体をゆすっているルナによってまだ眠たいながらも目を覚ます。
「う…ん、おはようルナ。」
「おはようみのる…じゃなくて!
私お腹減った。」
なんか最近どんどん俺に容赦無くなってきたなルナは。
俺はそんなことを考えながらまだ布団にいたいと言っている体を上げて料理を作るために外に出る。
すると俺の目の前にとんでもないもの…いや考え方によってはそこにあって当たり前のものがある。
「…なあルナ、このドラゴンの死体どうする?」
そう、ドラゴンの死体である。
おそらくあの幽霊オオカミ(名前はユキだったか)が運んで来てくれたんだろう。
「う〜ん……ドラゴンの肉って美味しいのかな?」
ルナは当たり前のようにそんなことを聞いてくる。
「………じゃ食べてみるか?」
「うん!」
あの幽霊オオカミが持ってきた以上毒があるなんて事はないだろう、そう思った俺は早速ドラゴンから肉を剥ぎ取り触ってみる。
「うーむ、触っても何の肉に近いかわからん。
…まあハンバーグにしたらあんまり関係ないか。」
どんな肉でも美味しくなる魔法の料理〈ハンバーグ〉を作ることにした俺は早速ドラゴンの肉とたまに狩りに行っている鹿の肉を木の包丁でミンチにして混ぜる。
その間、ルナが『まだ〜まだ〜?』と言い続けたのでとりあえず適当に収穫してきた野菜でサラダを作って食わせた。
ルナがサラダを食っている内に玉ねぎをみじん切りにして、それを柔らかくなるまで炒める。
そうして作ったドラゴンと鹿の肉ミンチに炒めた玉ねぎを入れてこねる。
こねるのが終わる頃にルナがサラダを食べ終わってこっちに来た。
手伝いたいみたいなので2人で肉を左右の手でキャッチボールしながら、よくみるハンバーグの形に成形する。
「みのる、これでいいの?」
そう言いながらルナが見せてきたハンバーグの元は少し不恰好だが、よくできていた。
…ただ、俺のより大きいのは少し納得できない。
ホント、どうやってあんなに食うんだよ。
…………
まあ、あとは肉を焼くだけ。
俺はハンバーグを焼く時は『じっくりコトコト派』なので、うる覚えで作ったオリーブオイルもどきをひいて、弱火で蓋をながら時間をかけてじっくり焼く。
その間にトマトを潰した少し焼いたトマトソースもどきを作っておく。
少し時間をおいて、ハンバーグが焼けたのを確認したら出来上がり。
さっそく俺たちはハンバーグを皿に盛り付けて早速食べる。
「………うん!ちゃんと美味しい。」
調味料があんまりない関係で正直微妙なのが出来ると思っていたが、いや美味しい。
この肉を食べるためなら俺はもう一度命をかけれるかもしれん。
「……恐ろしいな…ドラゴンの肉。」
俺はそう呟きながらドラゴンの肉のハンバーグを味わって食べた。
____________________________
ご飯を食べて腹も膨れたので、俺は女神様から貰ったスキルを確認することにする。
今回、新しく貰ったのは〈アイテムボックス〉〈裁縫〉〈錬金術〉の3つだ。
とは言え、〈裁縫〉と〈錬金術〉のスキルは今すぐ何かできるというわけじゃない。
それに、これは夜に送還してないゴレさんが畑を耕して種を植えたり、木彫り細工を作ったりして、スキルのレベルを上げてくれている。
この2つはずっと同じような作業でつまらなそうにしていたゴレさんの新しい趣味と言うか仕事のために今回貰ってきた。
……まあ、冬を超えるための服やずっと同じワンピースを着ているルナの着替えを作りたいという思惑はあるけどな。
とりあえず〈裁縫〉に使う綿花と〈錬金術〉に使う薬草の畑を1面ずつ作って後はゴレさんに丸投げすることにした。
新しく出来ることが増えたのでゴレさんは喜んでくれたが、ルナの服を作れると聞いた途端、一緒に木を掘って遊んでいたルナをおいて綿花の方に走って行ったのは驚いた。
まあ、まずは綿花をうまく布にしなければならないし、着れる服ができるようになるのはだいぶ先のことだろうけど。
————————————————————
ゴレさんがいなくなって不機嫌になったルナの機嫌を直すために一緒に遊び始めてから2時間くらい、ルナが昼寝を始めたので今回貰ったスキルのトリ、〈アイテムボックス〉についてどんな性能か確認する。
〈アイテムボックス〉は異空間を作って、その中に生き物以外のものを収納することができるというものだ。
なお、〈アイテムボックス〉には収納できる量の基準があり、スキルパネルを1つも開放してない今だと100kgの重さを収納することができる。
まあ100kgを超えても収納はできるんだが、超えた分の重さが自分にかかってしまう。
そして1番便利…というか絶対に必要なのが、最短レベル100で解放できる『ボックス内時間停止』だ。
この能力を手に入れたら、俺とルナの2人じゃ食べきれない量あるドラゴンの肉を腐らないように収納することができる。
…というわけで〈アイテムボックス〉のレベルを速く100にするための行動に出る。
その方法というのが重さの基準を超えて物を入れるというものだ。
というわけでこの目の前に置いてある130kgほどに重さを調節した丸太を〈アイテムボックス〉につっこむ。
アイテムボックスに丸太が入るのと同時に俺の体に30kgの重りが付いたように重くなる。
「うっつ…予想はしてたけど、きついなこれ」
ただその辛さを耐えてる間、大量の経験値が入ってくる。
「ふふふ…はははははは」
俺はこの短時間で一気にレベルが上がった〈アイテムボックス〉のスキルを見て思わず笑いが出てくる。
そうしてポイントが貯まると重さの上限を増やして、また重さをオーバーさせると言うのを繰り返して1週間ほど重りをつけて生活していると、〈アイテムボックス〉のスキルレベルがついに100になった。
そうしてボックス内部の時間を止めた俺はドラゴンの肉や素材をアイテムボックスに突っ込んだ。
ちなみにこの1週間、ドラゴンの肉が腐らなかったのはルナが氷魔法を使うことができるようになったからだ。
まあ何はともあれこれで〈アイテムボックス〉の準備は整った。
もっとも、ドラゴンの肉と素材を入れただけで重さを少しオーバーするくらいの重さしか収納できないんだけな。
———————————————————————————————————————
作者 アイテムボックスみたいな便利スキルあげてもよかったのか?
女神 まあただ物を入れれるだけだからそこまで必須ってスキルじゃないでしょ
作者 うーむ、確かにそうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます