第8話 魔法の訓練

 なんやかんやでルナが来て1週間が経った。


 この1週間、俺はコショウを使えるようにして料理革命を起こしルナに絶賛されたり、斧や農業、建築などの俺が一番使っているスキルの強化、後はお手伝いゴーレムことゴレさんに作ってもらった釘を使ってベットや食器棚などの家具を作ったりした。


 ちなみに俺がせっせと頑張っている間ルナはゴレさんと一緒に木を削って木彫り細工を作っていた。


 まあ、木を削って遊んでくれてると建築スキルの経験値が入るから別にいいけど…


 おかげさまで木彫り細工を置く為の小屋を作る羽目になったけどな。


 っと今はそんなことどうでもいい。


 今の俺のスキルは〈斧スキル レベル74〉〈農業スキル レベル52〉〈建築スキル レベル66〉とここまではだいぶレベルが上がっている。


 じゃあ、残りの〈水魔法スキル〉と〈風魔法スキル〉はどれくらい育てたのかと言うと…


〈水魔法スキル レベル8〉〈風魔法スキル レベル2〉だ。


 ……うん、これはやばい。


 魔法って言ったら異世界系の定番なのに俺はここに来て1ヶ月近くも経ってもまともに使えてない。


 そう思った俺は朝ごはんを食べた後、ルナと一緒に魔法の訓練をすることにした。


「えー、魔法の訓練ってなにするの?」


「んーまあそうだな。

 俺とルナじゃ目指すところが違うからな。」


「う〜ん?どう言うこと?」


「…俺としてはルナに治癒以外の魔法を覚えて欲しいんだ。」


「治す以外のまほう?」


「そう、出来れば攻撃に使える魔法がいいけど、強化系の魔法でもいいから自分の身を守る為の手段を手に入れて欲しいんだ。」


「でも、私の爪とか噛みつきの攻撃はこの森でも戦えるほど強いよ?」


 多分、魔法の訓練なんてしたくないのだろう


 魔力が多いせいで群れから追い出されたりしたみたいだし、魔法にあんまりいい印象を持ってなさそうだ。


 さっきから木の方をチラチラ見ており、早く木彫りしたいって行動から滲み出いる。


「確かにそれはそうだけど、この前みたいにドラゴンとかの強い魔物に追いかけられたら今のままじゃなにもできないだろ?」


「うっ…それはそうだけど……。」


「それに、水魔法が使えたら水に困らないし、火魔法が使えたら肉だって焼ける。

 前まで生で食べてたって言ってたけど、これから何かあった時生で食べれるのか?」


「うっ…うっ…たしかにそれは困るかも…

 でも、魔法…」


「考えてることはわかるぞ?


『もしルナが魔法を使ったら俺が怖がってここから追い出されるんじゃ』的なこと考えてるんだろ?


 それなら大丈夫だ、俺はお前を怖がらないから。

 それにルナが魔法使えるようになったら俺に教えてくれよ。」


「…………」


「それにさ、せっかく他の奴らが羨む能力を持ってるんだ。

 食わず嫌いせずに、せっかくならいろんなことして楽しんで生きようぜ。」


 そんなこんなでルナを説得すること数分…


「…うん、わかった。

 私、やってみる。」


 まだ少し不満そうだが、納得してくれたようでまずは水魔法を使えるように訓練するらしい。


 ルナは水を触ったりしているが、俺には何をしているのかよくわからない。


 まあ、俺は俺の訓練をしよう。


 と言っても俺が魔法のことなんて知ってるはずもないので、なんとな〜くの訓練をするしかない。


 というわけで、まずは俺の魔法スキルについて説明しておく。


 俺の魔法には〈創造魔法〉と〈詠唱魔法〉の2種類がある。


〈創造魔法〉は俺が今までずっと使っている魔法で、文字通り頭の中に使う魔法を想像して使うというものだ。


〈詠唱魔法〉はスキルパネルから習得できる魔法で、魔法名を言ったり、呪文を詠唱することで使うことのできる魔法だ。


 一見すると〈創造魔法〉の方が便利で強そうだが、〈詠唱魔法〉は使う魔法によって形や大きさ、効果が決まっている為、〈創造魔法〉に比べて消費MP《魔力》が最大〈201〉で使うことができる。


 つまり〈創造魔法〉は応用力があり自由に使えるが燃費が悪くて、逆に〈詠唱魔法〉は一つのことしかできない代わりに連射ができてコスパがいい、みたいな感じでしっかり差別化出来ている。


 ちなみに今、俺が覚えている〈詠唱魔法〉は水の初級魔法の〈アクアショット〉だけである。


「……まあ、〈詠唱魔法〉は強い魔法を覚えるまで時間がかかるし、今は〈創造魔法〉を訓練するか。」


 俺は魔法の訓練方針を固めたので、顔を上げて訓練を始めようとした時、ルナの方を見るとすでにルナの体の前にデカい水球が浮かんでいた。


「!みて〜みのる。

 おっきい水、できた!」


 …う〜ん、薄々分かってたけどルナ、天才だな。


「すごいな、ルナ。

 いや、ほんとにすごいな。」


「えへへ、次は火で肉を焼けるようにするね。」


 そう言うと、ルナは燃えている焚き火をじっと見始めた。


 …相変わらずルナが何をしているかわからないけど、それは気にせずにこっちの訓練を始める。


 そうして、俺は予め掘っておいたデカい穴の前にやってきた。


〈創造魔法〉を使う上で重要なのことはいろいろあるが一番は使う魔力量だ。


 ただ、俺は自分がどれだけの魔力を持っているか知らない。


 と言うわけで今回は1秒間にコップ1杯の水をこの穴に魔力がなくなるまで注ぎ、俺の魔力がコップ何杯分あるか測ろうと思う。


 まあ女神様がステータスみたいなの作ってくれるのが一番楽なんだけどね。


 …………


 できないものは気にしない方がいいかと思った俺は、さっそく穴に魔法で作った水を流していく。



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 そんなこんなで1時間くらいの時間が経った。


 俺の魔力はまだあるみたいでだいぶ余裕がある。


『まだまだ時間かかりそうだな〜』と思っていると、急に俺が放出している水の量がめちゃくちゃ増えた。


「なになにナニ?」


 俺が何が起きたか分からずに混乱しているうちにも、俺の魔力は壊れた蛇口のようにあふれ出ていく。


 水魔法を止めようとしても全く止まる気配がなく、そうして俺の魔力はものの数分でなくなり、ドラゴンを斬った時と同じような頭痛と酔いが回ってきて俺は気絶してしまった。


 最後にルナが不安そうな顔をしてこっちに向かってきてたのが少し気がかりだった。



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「う、またこの感じか。」


 目が覚めると、俺は頭痛と酔いがまだ残っているが気にせずに起き上がる。


「みのる……だいじょうぶ?」


 俺が起き上がるとルナが不安そうな顔をしてこっちをみている。


「ええっと、大丈夫。

 だけど、さっきのあれ、なんだったか分かる?」


 俺がそうルナに聞くと少しビクッとしたが、ポツポツと事情を話し始めた。


 どうやら魔法の訓練を始めてたった1時間で火、水、土、風の魔法ルナはをある程度使えるようになったそうだ。


 ここでルナは、俺が初めに言っていた『強化系の魔法』が気になって、いろいろな魔法を試していると、ものすごく魔法を強化する魔法を創り出したらしい。


 そして、その魔法で俺を驚かせたくて俺に使ったら…まあ、ご覧の通りだったわけだ。


 ……………


 事情を話し終えるとルナは尻尾やと耳を下げて悲しそうにしている。


 …ハア、全くこいつは。


「ルナ、別に気にしなくていいんだぞ?


 俺たちはもう家族みたいなもんだ、だからこの程度のことじゃ別になにも言わないよ。」


 そう俺はルナを撫でながら言う。


「………みのるが気絶するような目に合っても?」


「ははは、流石に何回もされるのは俺も困る。」


 この頭痛や酔いをあと何回も体験したくないしな。


「わかった、気をつける。」


 ルナは耳を上げ、尻尾を振りながらそう言った。


「それじゃあ、覚えた魔法、俺に教えてくれない?」


「うん!任せて!」



 そうして俺はルナが覚えた魔法を見せてもらいながらやり方を教えてもらったんだが、


「ええっと、この魔法はまずギュッとして、ズ〜ン、バーンですればできるよ。」


「…………」


 っと、こんな感じで天才特有とくゆうのわけのわからない説明だった。



 後日、魔力切れにならないようにもう一度俺の魔力量を測ってみたのだが、コップ1杯の水を大体2時間作れるくらいの量だとわかった。


 これが多いから少ないかは分からないが、俺の隣で俺の5倍くらいの量の水を入れていたルナが4時間で飽きて辞めたのを見て『ああ、俺、別にすごくはないな』と悟った。


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作者 魔法名考えるのめんどくせ〜

   〈特大風魔法 あああああ〉でいいかな?

女神 ……………

作者 嘘です、ごめんなさい。

女神 〈バギ〇ーチョ〉なんてどうですか?

作者 いやアウト!

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