第3話 探索

そうして、もやしを主食にして、たまにMPを使って急成長させた野菜を木をヤスリで削って作った鍋で煮て食べる暮らしを2週間ほど続けた。


俺自身、そろそろ限界に近かった。


「肉…食いてえ。」


そう、この半月俺は肉を食っていない。


だからこそ俺は肉を手に入れるために、そろそろこの森を探索しようと本気で思い始めていた。


ちなみに今の俺の強さはというと。


この結界内の木を結界の境界線近くの数本以外全部伐った結果、今の俺の斧スキルのレベルは68。


斧の性能としては〈斧装備時の攻撃力+105〉〈斧装備時の防御力+120〉〈斧耐久力+50〉〈斧切れ味+5〉と、ここに転移してきた時とは比べ物にならない。


それに加えて新しい斧の攻撃スキルを二つ。


まず一つ目は

〈かぶとわり 消費MP0〉

斧を上から下に振り下ろす…ただそれだけの攻撃スキル。しかし、使用者の全体重を使って振り下ろされるその一撃は食らうと致命傷になりかねない。


そして二つ目は

〈たつまき 消費MP5(+10~)〉

斧を自分の体ごと振り回して竜巻のように周りのものを切り刻むスキル。このスキルの特徴として風魔法との同時使用により威力、範囲を上げることができる。


まあこれだけのスキルがあれば最悪死ぬことはないだろうっていうのが俺の感想だ。


そう、ドラゴンにでも出会わないかぎりな。


…………


別にこれはフラグじゃないからな?


…………


まあ善は急げ。


今の時刻は朝の8時くらいだから「夜になっても戻ってこれませんでしたー」なんてことにはならないだろうし、早速行こう。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――



そんなわけで結界の境界線近くまでやってきた。


ここから外は俺が知らない



何が起こっても結界内に逃げられるようにこの枝や葉っぱをすべて切った木……と言うより木柱を目印にして探検しよう。



そうして、俺はついに結界の外に出た。


そこははっきり言って異様な雰囲気が漂っている。


結界内と違って空気は重たく、木が生い茂っているため太陽の光があまり入ってこない。


はっきり言って暗い森というイメージが最初に浮かんだ。



……止まっていても始まらないため目印の木を視界に入れつつ森を進んでいく。


すると目の前に鹿のような動物が現れた。


「鹿……鹿か。

 鹿って食べられたっけ?

 ……… 

 まあ、鹿はおとなしい動物だしこのままゆっくり通り過ぎて少し様子を見…は?」


俺がこんな風に考え事をして、一瞬鹿から視線が外れたスキになんとシカが猛スピードで突進してきた。


「おいおいおい。

 まじかよ、鹿はおとなしい動物だったはずだろ?」


そんなことを言いながら近づいてくる鹿にタイミングよく斧を振り下ろして攻撃したが、鹿はまるでそう来るのがわかっていたかのようによけ、俺の後ろに回り込んで後ろ足を挙げた…。


「やばい、。」


とっさにそう直感した俺はすぐにこういう時のためのスキルを発動した。


「スキル、〈たつまき〉!」


俺がそう言うと俺の意志より早く体が回転し始め、後ろに回り込んだシカを切り刻んだ。


「はあ、はあ、はあ

 やっべえ……今の…怖すぎだろ。」


今のシカ間違いなく俺の行動を先読みして動いてた。


「とりあえずこのシカを結界内に移動させよう。

 大けがする可能性のあった獲物が他の動物に横取りなんてされたらたまったもんじゃないからな。」


そうして結界からあまり離れてなかったのもあって、俺は無事に倒したシカを運んでこれた。



―――――――――――――――――――――



そうして俺が今結界の外に出てまで欲しかったは手に入ったわけだが…。


正直これで問題解決とはならない。

 

この森の危険性についてだ。 


前世の世界では草食でおとなしかったはずのシカが、俺を見て逃げるんじゃなくて襲い掛かってきたんだ、それだけでこの森のヤバさがわかる。


そもそも俺は神様にお願いして人のいない森に転移させてもらった。


そこが人がいない森じゃなくて、そもそもである可能性も否定できない。


もしこのまま1年がたって結界がなくなったら…。


……………


うん。


このままじゃだめだな。


せめて周りにいる動物や魔物は把握しておかないとどうやってここを守ればいいかもわからない。


今簡易だがシカを吊るして血抜きするための場所も作って血抜きも順調そうだし、今日はまだ探索を続けよう。



—————————————————————



というわけで本日二度目、結界外の世界にやってきた。


今は結界から50メートルほど離れたところを結界に沿って歩いている。


この森は落ち葉や木の根があまり表面にないためかなり歩きやすい。


そうして歩くこと30分ほど、今度は離れているがウサギらしき動物を3匹見つけた。


……………


ゆっくり近づき、木の陰からそのウサギを見てみたが、そこには想像以上の光景があった。


ウサギと思われる動物が俺がさっき狩ったシカを食べていたのだ。


「うわぁ」


かなり複雑な気持ちになったが、どことない危険を感じたためこの場を去るとするがうっかり地面に落ちていた枝を踏んでしまった。


バキッ!


「何やってんだ俺!」


そう俺自身に文句を言いたいがそんな暇はない。


そう考えてる間にもウサギはシカを食べるのをやめこちらをじっと見ている。


やばいと思い、俺も斧を出現させてウサギののほうを見る。


…………


この状態がしばらく続いたが、急にウサギがどこかへ消えていった。


……………


俺もなんだか嫌な予感がしてきたので結界のほうに走ったがどうやら遅かったようだ。


俺と結界の間に馬鹿みたいにでかい火の玉が飛んできた。


火の玉は俺が走ろうとしていた結界までの最短経路に着弾して、その爆風に当たった俺は今自分が走ってきた方向に吹き飛ばされた。


火の玉が飛んできたほうを見るとというほど近距離にでかいがいる。


だが見えたのはそれだけじゃない、その少し前をそのドラゴンから逃げるように走っているも見えたのだ。


—————————————————————————————————————



作者 インフルエンザの時の夢で、ドラゴンみたいな怪獣に追いかけられた経験があるの僕だけですか?

女神 ああ、その夢、私が見せてたよ。

作者 何してくれてんだよ!

女神 え、何?

作者 あ、いや…何でもないです。

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