第2話 スキル

 さて。


 今日からここでサバイバル生活が始まるわけだが……

 

 まず死なないためには水と食料が必要だな。


 水に関しては女神様にもらった水魔法を使えば問題ないと信じたい。


 ………


 まあとりあえず、使ってみるか。


 というわけで、小さな水球を思い浮かべると、手の平の上に小さな水球ができた。


「…これちゃんと飲めるよな?」


 …………


 ええいままよ!

 女神様だって俺が飲む可能性のある水を有毒なんかにしないだろ。


 …………ゴックン


「……うん、普通の水だわ。」



 ――――――――――――――――――――――――――――――――――


 まあ、水は確保できたし次は食料って言いたいけど……


 そこらへんにいる動物を捕まえる自信はないし、かと言って農業?


 ……これ、もしかして結構ヤバい?


 …………


 うん。

 動物狩るには今持ってる唯一の武器の斧スキルを上げなきゃ多分無理だし、農業するにはこの木ばっかり生えてるこの場所を畑にしなきゃいけない。



 今できることはとりあえず木を伐ることか。


 というわけで、さっそく斧を出して近くの木を伐ってみることにした。


 振りかぶってー

「せーの」


 掛け声を言った後に斧が木に当たったが、木はまったく傷ついていない。


 いやむしろ………


「痛ってえええええええ

 手がぁ、手がぁ~」


 俺の手が反動で傷ついた。


 え、この木ダイヤモンドでコーティングでもされてるのか?


 …いや、弱いのは斧の方か。


 ………


 いや落ち着け。

 こういう時のためのスキルだろ。


 斧スキルで一番最初にとれるのは…

 


「でもスキルポイント3もいるのかよ。」


 ポイントをゲットするにはスキルのレベルを上げなきゃいけない。


 さっきの木に思いっきり斧を切りつけるので経験値は50もらえた…


「うん。

 さすがにもうやりたくねーな。

 まだ手がひりひりしてるし。」


 つまりそこから導かれる答えは…


「まじかー。

 異世界にきて斧で一番最初にやらなきゃいけないことが素振りとはな。」


 素振りは1回するごとに経験値が1もらえる。


 そういうわけで俺はスキルレベルが3になるまで素振りした。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――


 素振りをすること300回。


 やっとスキルポイントが3まで貯まった。 


「さあ、これでスキル〈特攻斬〉ゲットだな。」


 にしても俺、結構素振りしたのに全然疲れてないな。


 もしかして斧使ってるときは疲れないとか?


 ………


 女神様ホントにありがとうございます。


 まあそんなわけで特攻斬についてなんだけど。


〈特攻斬 消費MP2~∞〉 

 すべての武器で最初に手に入れるスキル。

 剣ならドラゴン、弓なら鳥、斧なら木などの武器ごとに有利な魔物や動物、魔法、植物に致命的な一撃を加えることができる。


 これやばくない?


 ていうか消費MP∞って何?


 無限に威力上げれるってこと?


 え、斧だと木しか効果ないけどぶっ壊れじゃん


 ………


 なんかMPめっちゃ持ってかれそうだけど使ってみるか。


 というわけでさっき傷一つつけられなかった木の前で斧を振るかぶる。


「スキル、〈特攻斬〉!」


 するとさっきはすぐ弾かれたのにするする木に斧が入っていく。


 なんとあの硬い木を豆腐みたいにスパッと切ってしまった。


「…いやスゲーなこれ。

 しかもMPそんなに減ってないし最強じゃん。」


 そんなわけで、〈斧スキル上げ〉〈木材の確保〉〈家や畑を造る場所確保〉という一石三鳥の状態が出来上がり、気づけば俺は自分が転移した結界の中心から半径500メートルくらいの木を伐採していた。


_______________________________________________



 っと言うわけで、今俺の前には大量の丸太がある。


 もちろん俺が夢中になって伐った木の残骸たちだ。


 ちなみに切り株は残っていない。


 なぜか木を伐ったあとに全部土になって消えてしまった。


 これが俺の斧かこの森特性かどちらかはわからないが、ありがたく利用させてもらう。


 というわけで今の俺にはまっさらな土しかない大地と大量の木材がある。


 これはもう造るしかないないだろ。


 ……そう、だ。


 雨が降ったらびしょ濡れになってしまうからな、雨風を凌げる場所は必要だ。


 というわけで早速〈建築スキル〉を起動してみる。


 すると、俺を中心に半径10メートルほどの光が円状にうっすらと現れた。


 どうやらこれが今の建築スキルの範囲らしい。


 そして今、この建築スキルでできることは…だ。


 ………


 もう一度言おう。


 俺が、使える道具は紙ヤスリだけだ。


 …………


 まあ、このヤスリが本当にただの紙ヤスリだったら、俺は何もできずに雨風にさらされていただろう。


 そう、このヤスリはだ。


 ただの薄い紙ヤスリなのに、そっとなぞるだけで自分が削りたい場所を簡単に削ることができるし、すぐに木材として使えるようになる。


 というわけで、この紙ヤスリと何の建築知識のない俺が造れる家……それはもうあれしかないな。


 というわけで早速作業に移る。


 1 まず丸太を2個重ねる。


 2 そしたら、下の丸太に上の丸太がすっぽり入るようにヤスリで削る。


 3 これを俺の頭2個上ぐらいの位置まで繰り返す。


 4 丸太を重ね終わったら、丸太を固定する棒を入れるための穴を3か所ほど開ける。


 5 丸太を細く削った棒をさっき開けた穴にぶっさす。


 6 この1~5をあと3回繰り返し丸太の壁で正方形を作る。


 7 その中の壁に自分が中に入るための穴をあける。


 8 屋根に使う少し長い丸太を二つの対面した壁の上に置く。


 9 屋根用の丸太をはめるために壁の一番上をヤスリで削る。


 10 これを隙間なく屋根ができるまで繰り返す。


 というわけで、作業はこれで終わり。


 某ゲームで初心者が必ず建てるの完成。


 窓もない、何なら扉もついてない雨風を耐えるためだけの家だ。


 ………


 大丈夫、住めば都だから。


 それに季節はたぶん春だし、冬になるまでにはもっといい家も建てれるようになるだろ。


 ――――――――――――――――――――


 さて、家……そう、家も一応建てたし次は食料の確保。


 田舎暮らしの定番、農業をやっていこう。


 というわけで、さっそく農業スキルを使う。


 すると、建築スキルの時と同じようにうっすらと光が現れた。


 ただ建築スキルと違ったのはその光が一辺10メートルほどの正方形だったこと。


 しかし、このうっすらと現れた光の中がスキルの有効範囲ってことには変わらない。


 そんなこんなで、さっそく農業をやっていく。


 今の農業スキルでできることは2つ。


 1つ目はクワを使って土を耕すこと。


 2つ目は自分で選んだ4種類の種をMPを消費することで作ることができる。


 まあ、まずできることはクワで土を耕して畑を作ることか。


 でも一つだけ気になることがある。


 この馬鹿みたいに固い地面で農業ができるのかってことだ。


 …………


「まあ、とりあえずやってみるか。」


 というわけで俺はクワを出現させて地面に振り下ろしてみた。


 するとゼリーにスプーンを入れるようにサックと地面にクワの先が入っていった。


「うん、大丈夫そうだな。」


 問題なく土を耕せそうなので農業スキルの範囲すべてを耕すことにした。


 ――――――――――――――――――――――――――――――



 さて。


 一応畑を作ったことだし次は種植え。


 今は4種類の種を選んで作ることができるからな…


 とりあえず大豆は確定だな。


 もやしが確か1週間くらいで収穫できるようになるという記憶がある。


 あとシンプルに俺、枝豆好きなんだよ。


 それで種はあと3種類……


 まあ無難にニンジン、玉ねぎ、ジャガイモでいいか。


 これなら簡単な野菜スープが作れるし……。


 植える種も決めたことだし早速種を作って植えていく。


 1 まずは畑を半分にしてその片面に大豆を敷き詰めていく。


 これならしばらくはもやしだけで生きていけそうだ。


 2 次はもう片面、これは三等分してニンジン、ジャガイモ、玉ねぎをそれぞれに植えた。


 どの野菜も収穫までに数カ月はかかるからじっくり世話をしていこう。


 ちなみにだが、農業スキルで作った植物は俺のMPを消費することで成長させることができる。


 試しにすべての野菜を収穫できるまで成長させてみたが、ぶっちゃけそんなにうまくなかった。


 1週間ちゃんと自然に育てたもやしはめちゃくちゃおいしかったので、この植物を急成長させる裏技は食料に困ってる今ぐらいしか使うことはなさそうだ。


ちなみに風魔法スキルも貰ったが、これは夏の扇風機用に貰ったものなので今は使うつもりはない。



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作者 コミカライズ化したら担当の人に「スキルパネルの全てのパネルに文字を入れてね〜」とめんどくさい指示をするのが作者の夢です。

女神 くだらない夢ですね。

   賞を取りたいくらい言いましょうよ。

作者 いや、かなわない夢をいうのはちょっと…

女神 自信持とうよ!

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