タトゥー

 私の彼氏の腕にはタトゥーが入っている。何語かもわからない文字列が四つ。意味を聞いても教えてくれない。あまり好きではないし正直言って少し気味が悪いけど最後に入れたのは私と付き合うちょっと前って言ってたから苦手な私のために増やさないでいてくれてるのかな。

 今日は彼氏の家に泊まりにいく日。ちょっと話してご飯を食べて行為を挟んでそのまま寝るようなよくある日常。そんな今が楽しくて幸せだったりする。結婚なんて考えてみたりして。

 彼の家に着いてご飯を済ませると彼は私に近づいてきて、


「大好きだよ」なんて一言。


愛情表現を普段しないだけにとても暖かい気持ちになった。そのまま小一時間ほどが過ぎて少し眠たくなってきたころ。彼はまた私の耳元で


「今までありがとう。」


やっと腕のタトゥーの意味がわかった。私の首に伸びる腕には五つ目のタトゥー。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る