僕の彼女

 僕には彼女がいる。容姿端麗で性格もよくおまけに料理も上手でいつも家に行く時は毎回料理を準備して待ってくれる。ついついいっぱい食べてしまうせいか最近はだんだん太ってきてしまった。これが幸せ太りってやつだろうか。そんなことはさておき僕と彼女との間には一つだけルールがある。それは彼女の家の冷蔵庫の中を見ないと言うことだ。彼女の家と言っても彼女は実家暮らしなので他の家族もいる。そんな生活感のある空間を見て欲しくないのだろう。彼女の家族もとてもいい人ばかりだ。彼女の家でご飯を食べる時は決まって両親も同じ席について談笑をする。両親は「もう食べたから」と言って同じものを食べるわけではないが、僕がご飯を食べるところを見て「美味しそうだね」なんて笑ってくれる。僕の前にも付き合っていた人が何人かいたらしいけど彼女も両親も僕が一番だって言ってくれる。僕はなんて幸せ者だろう。

 今日も彼女の家に行く日だ。さっきも言ったけど最近太ってきちゃったから少しは痩せなきゃななんて思いながら家に着いた。玄関を開けると彼女と両親が出迎えてくれた。なんだかいつもより嬉しそうに見える。リビングに入ると彼女が


「今日は一緒に料理つくろ?」


なんて言ってきた。そんなこと今までなかったし驚いたけどいつもと少し様子の違う彼女にちょっとドキドキしてキッチンに向かった。すると彼女は


「冷蔵庫に材料入ってるからとって欲しい」「今日からずっと中見てもいいからね」


って。ずっと見ちゃダメなんて言われてきた冷蔵庫を開けていいうえに「ずっと」だなんてついに家族の一員として認められちゃったかな。

そんなことを考えながら冷蔵庫のほうに行って僕はそれを開けた。一目見て今までの全ての辻褄が合った。



後ろには彼女と両親。

「次ここに入るのは僕か。」

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