第4話 DT達の勢力図
少女の家は村の中心にある大きめの木造住宅だった。
村は電気も無くかなりの田舎という印象を受けた。
(そもそも電気があるのかは謎だが)
家の中に案内され、リビングのテーブルに座りお茶を出してもらった。
「ご紹介が遅れました。私はハンス・ベルウッドと申します。
この子はルナ・ベルウッド、先程は娘共々助けて頂き本当にありがとうございました。是非何かお礼をさせていただきたい。」
「俺は玲王だ。それに礼はいらん、代わりにこの世界について教えてくれないか?」
「そんなことで良ければ!」
そう言ってこの世界について語りだした。
「どうやらこの世界は、前世でDTだった人達が魔法使いとして生まれ変わる世界のようです。かくいう私も元魔法使いなんですけどね!」
「元、とはどういう事だ?」
「どうやらこの世界でDTを卒業すると魔法は使えなくなってしまうみたいです。」
「そうなのか。」
「元魔法使いの人は街に行くと結構いますよ!それに本当の愛を見つけることの代償だと思うと安いものです」
娘を撫でながらニッコリと微笑むお父さん
「あ、そうだ、この世界にはいくつか組織があるのでこれは覚えておいて下さい!
まず【聖剣騎士団】
この世界の秩序を守る為に結成されました。
大体のDTが魔法を使えるようになっても、さっきのように私利私欲のためにしか力を使わなくなっちゃうので、そういう奴らから人々を守っています!
ちなみに私も聖剣騎士団に所属しております。魔法が使えなくなってからは、この村で警備の仕事をしております!」
聖剣騎士団である事に誇りを持っているようだ。
それにしても悪い事をするやつらばかりじゃないことに安心した。
「次に聖母教団。こいつらはオカルト集団で変態的な趣向の奴らが集まる胡散臭いところです。上位の団員は女性型のヒューマノイドを連れて歩いているのでもし見つけても絶対に近づかないでください。
それと普段は一般人に紛れており見分ける事が難しいので、陰口など気をつけて下さい、何をされるか分かりません。」
「なるほど」
どこの世界にも変わった趣味を持つ人はいるものだ。
そこに魔法も加わると危険な組織になるのか。
「それと国営のギルド!ここは世界中のクエストを取り扱っているので、情報収集やお金稼ぎに役立ちます。大体の魔法使いが登録していますね。街に行けば登録することをオススメします!」
「わかった」
「最後に魔王軍。あいつらはまだ謎が多く、私には詳しいことは分かりません。
北の大地をテリトリーとし、日に日に勢力を拡大していると耳にします。
この村から一番近いドミール街のギルドに行けばもっと詳しい情報が聞けるかもしれません。あまりお役に立てずすみません」
「いや、ありがとう。とりあえずドミール街に行ってみるよ」
「はい!ただ今日はもう遅いので、是非うちに泊まっていって下さい!」
「……それは助かる」
少し考えたが行く宛も無くお金も無いので頼ることにした。
「では食事を用意しますね!」
テーブルの上には、パンとシチューが並んだ。
食べ物は前世とあまり変わらないようだった。
転生者が多いから元の世界の文化が流入しているようだ。
ハンスが神妙な面持ちで話しかけてきた。
「食事中にすみません、玲王さんに折り入って話があります……、魔法使いが暴れたせいでこれから村の復興作業でかなり忙しくなります。
家に帰るのも遅くなってしまうので、ドミール街の親戚の家まで、娘のルナを送り届けて貰えないでしょうか?ちゃんと報酬もお渡しします。」
考え込む玲王
「そういえばお兄ちゃんも街壊してたよね?」
ニヤリとするルナ
「ぐっ、仕方ない行くか……」
見事に丸め込まれた玲王
侮れない少女だ。
「やったーー!カッコいいお兄ちゃんとお出かけデートだ」
はしゃぐルナ
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