第5話 短い旅路

夜が明けてまだ薄暗い早朝にハジコ村発→ドミール街行きの馬車に乗った。ハンスは玲王に報酬を渡し、二人を見送ってそのまま村の復興作業に出かけた。


村を出て少ししたら頭の中で急に女神の声が響いた。

「ごめんレベルアップしてたの気付かなくて遅くなっちゃった!説明もちゃんと出来なくてごめんね!

エクスカリバーも使えたみたいで良かったよ!!」

「肝心な時に使えないクソ女神だ」

ルナに聞こえないように小声で喋る玲王

「そんなこと言っちゃやだやだやだー!

あ、そういえば魔法のこと教えてなかったね!

玲王の固有魔法は【ディスペル】要は相手の魔法や呪いを無効化できちゃうってわけ!

手をかざしてディスペルって唱えるだけだから超簡単!」

「そういうことはクソ恥ずかしいエクスカリバーの前に教えろ…」

「おーい!おにいちゃんおにいちゃーーん!何ぼーっとしてんの?話聞いてる?」

ルナが腕にしがみつきながら拗ねた表情をする。

「すまない、聞いてなかった」

「もーだからーお兄ちゃんフルネームを教えてよー!」

「レオ……神宮寺    玲王だ」

きゅーん

「レお兄ちゃん!って呼ぶね!!」

純粋な笑顔が眩しい

道中はルナの質問攻めにあった。

「お兄ちゃん好きな食べ物は?」

「肉、魚、野菜」

「じゃあ好きな色はー?」

「黒」

「好きな人いるのー?」

「……いない」

「じゃあ好きなタイプは?」

「…………忘れた」

「えーじゃあまだチャンスがあるってことじゃん!!」

目を輝かせているルナに気圧される玲王は慌てて会話を反らした。

「そ、そんなことより街までは後どのくらいだ」

「んーとねあと半日くらい?」

また質問攻めに合うのを恐れて、玲王は眠ることにした。

「そうか、そしたら少し眠る」

朝早く起きていたこともあり、すぐに眠りについた。


「レお兄ちゃんが寝ちゃったからつまんないなぁー!」

独り言を言いながらチラッと横目で見る。

腕と足を組みながら寝る玲王をマジマジと見つめるルナ

「はわわわわー、めっちゃ横顔カッコいいよぉぉ。まつ毛長いし鼻も高くて唇とかぷるぷるだよぉぉ、なんか刺激が強すぎるかもぉー……」

1人でテンションが上がるルナ

旅の途中で魔獣に襲われちゃったらどうしよっ!!

※妄想の世界

大きいイノシシが襲ってくる。

「危ない!俺のルナに傷一つつけさせねぇ!」

「レお兄ちゃん!」

ガシャーン

イノシシの体当りで馬車が大破する

「街までは到底歩けそうに無いな……今日はここで野宿だ」

「ええぇー、二人きりで一緒に寝るなんてダメだよぉぉ!」

そんな妄想をしながら眠りに落ちるルナだった。


*****

「お客さーん着きましたよー!」

運転手に起こされ目を覚ます玲王

玲王の膝で眠るルナを起こす

「おい起きろルナ」

「むにゃむにゃ…お兄ちゃん私にはまだ早いよぉ…」

(どんな夢を見ているのかは触れないでおこう…)

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