第3話 二度あることは三度ある
ルナに先導されて村の中に入ってみると人集りが出来ていて何やら騒がしい。
近づいてみると20代前半くらいの男女が揉めていた。
男性は真っ赤な髪色に襟足が長い髪型が印象的だ。
女性はルナと同じようなシンプルな服装をしている。服装から見て村人であろう。
恐らく転生者であろう男が、村の女性へ強引に迫っていているようだった。
そして女性を助けようとして仲裁に入ってきた警備兵らしき人が見えた。
見た目は30代半ば頃、体は転生者よりも一回り大きく威圧感があった。
「やめなさい、嫌がっているだろう!」
「魔法使い相手におっさんが勝てると思ってんのかよ?」
そう言うと警備兵の眼の前で爆発が起こり吹っ飛ばされる警備兵
「うわっ」
すると玲王の横にいたルナが駆け寄る。
「お父さんっ!!」
「ルナ!?来るんじゃない!!」
「あーあ、うざってーー、逆らう奴みんな燃やしちゃおうかなーー!」
右手を上げて火の玉を出した魔法使い
「お兄ちゃんお願い助けて!!!」
ルナが玲王に向かって涙目で叫ぶ。
「やれやれ、今日は何度巻き込まれたら気が済むんだ…」
そう言いながらも魔法使いに向かって勢いをつけて走る。
「迷惑行為はやめてくださーい」
そう言いながら魔法使いの後頭部目掛けて思い切りドロップキックをする玲王
ぶっ飛ぶ魔法使い
「うべぇっ!!」
ガシャーン!!
ふっ飛ばされた勢いで近くにあった物置小屋が大破する。
「てめぇ、俺様のこのイケてる顔面に何してくれとんじゃい!!」
木の破片を退けながら立ち上がる転生者
「お前こそ何をしている」
「俺はこの世界で、今度こそDTを卒業するんだよ!!女神様にもらったこの容姿と魔法があれば俺でもDTを卒業できるんだぁぁ!!」
「……やれやれ、だからお前はDTなんだよ」
呆れる玲王
「は!?ふざけた事いいやがって!!消し炭にしてやるっっ!!くらえ!ファイヤヴォォォル!」
右手をかざしそこから火の玉が発射される。
軽く避ける玲王
近づいて殴ろうとする玲王の前に炎の壁が現れる。
「ファイヤーウォォールだぁ!!イキってたくせに手も足も出ねぇみてーだな!死んどけ!!ファイヤヴォォォル×3」
なんとか避ける玲王
「これじゃあラチが明かねぇ、おいクソ女神でてこい……!」
頭の中で女神の声が響く
「ピーー、只今留守にしております。」
「マジで使えねぇ…!!」
辺りを見渡すと避けたファイヤヴォォォルで家が燃えていた。
これ以上長引いてしまうと取り返しがつかなくなるかもしれない。
あの恥ずかしい武器を使うしか無いようだ……。
「くっ、エクスカリバーー!!」
すると両手が光り輝いた。
そして玲王の顔と耳は恥ずかしさのせいで真っ赤になっていた。
玲王がイメージして出した武器はボクシンググローブだった。
「ククッ、そんな武器を出したところで、俺に勝てると思ってるのか?」
火球を打ち込む魔法使い
今度は避けずにグローブで振り払う玲王
メリケンサックに当たった火球は瞬時に消え去った。
「なんだとっ!!!?」
そして懐に入り込んだ玲王は、思いっきりボディーブローを炸裂させる。
ドゴォン!!
かなり鈍い音が響き渡る。
「がはぁぁっ!!」
膝を付き崩れ落ちる魔法使い
「お、お前も同じ魔法使いなら俺らDTの気持ちはわかるはずだろぉ……」
エクスカリバーを解除した。
そして左手で襟元を掴み、右手で鋭いビンタを繰り出す玲王。
パシンッ!
「クッ、俺の事を相手にしなかった女達に復讐するんだぁ!!」
パシンッ!
また右ビンタが炸裂する。
「いてぇよ!!てかお前も魔法使いの時点で同レベルのDTだろうがよぉ!!」
パシンッ!
またも右ビンタ
「同じだと?お前は誰のも相手をされず、ただ売れ残った底辺DTだ。
最後まで守り抜いた俺のDTと一緒にするな」
パシンッ!
右ビンタ
「え!?」
困惑する魔法使い
「DTのくせに力を持ったからと調子に乗るな、いくら容姿が変わろうが中身が腐ってたら意味はない」
そこから怒涛のビンタラッシュ
「ちょ、」
「おま、」
「やめ、」
「ゆるじでぇ…」
号泣しながら土下座をする魔法使い
「もうゆるじでぐだじゃい……」
魔法使いの左顔面は腫れすぎて見る影も無い
「次調子に乗ったら命はないと思え」
「ハイッ゙…」
魔法使いが泣きながら村の外に逃げていった。
警備兵と少女が近寄ってくる。
「本当にありがとうございました、おかげで助かりました」
「お兄ちゃん、DTってなぁにー??」
「子どもは知らなくていい……」
「あの、失礼ですがあなたのそのエクスカリバー、もしや聖剣騎士団の方ですか?」
「聖剣騎士団?いや、違う」
「ではどうやってエクスカリバーを!?」
「女神に押し付けられた物だ」
「そ、そうだったんですね!あの、詳しく……」
「もうお父さん話長いよ!助けてくれたんだから早く家に案内して!」
「あぁ、そうだった、申し訳ない。」
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