第4話 星花女子学園落語研究会 プチ打ち上げ
高齢者施設での落語会を終えた私たち星花女子学園落語研究会は、学校近くの食堂でちょっとした打ち上げを開催していた。少し遅めのお昼ご飯といったところか。りなりーには夕方までには帰るって言ってしまったが、もう少し早く帰れそうだ。
「はーい、天ざるうどんのお客様~」
料理を出してくれるのは私らと同年代の女の子。ここ、月見屋食堂には星花女子学園の生徒も足しげく通ってるらしいし、さっきの女の子は高等部二年の法月みのり先輩のはずだ。同じ料理部に所属しているりなりーから聞いたことがある。もちろん料理も上手だけど、配膳や後片付けがすごい先輩がいるって。
「いやぁ、舞黒の火焔太鼓よかったよ。マイクロビキニでやらせるわけにはいかなかったけど」
うどんを食べ始める私の向かいに座っているのは星花亭|琴芽樽≪きんめだる≫先輩。怪我で競技を諦めた元体育会系ということもあって私とは気が合う先輩で、当代の副部長でもある。
「まったく、舞黒はことあるたびに艶話や間男の話をやろうとするんだから……」
豚の生姜焼き定食を食べる琴芽樽先輩の横でミックスフライ定食を食べるのは星花亭|紫蝶≪しちょう≫先輩。紫蝶先輩が入部した時、蝶の名前を持つ先輩から一字もらったらしい。部長の紫蝶、ふふふ。
「艶話とかちょっとえっちなやつを制限された上に簡単なやつは中学生に譲れって言うし、挙句に死神はNGだっていうし。ちゃんと誉れの幇間で演じるってのに」
「まぁ、その辺はなんだ、伝統っていうか永久欠番みたいなもんだと思ってくれよ」
落語にもいろんなジャンルがあるが、とりわけ私が好んでいるのはちょっとえっちな話だ。これは私が落語を入院中に落語好きなおじさんたちから教わったというのもあるが、思えばなかなかにセクハラまがいのおじさんたちだったなぁ。
「せんぱーい、こっちで腕相撲しましょうよー」
「あ、待ってよ、うどん伸びちゃうから~」
先輩たちと話していると別のテーブルで既に食べ終えている後輩たちからお呼びがかかった。落語以外の私の数少ない趣味が腕相撲だ。上半身のとりわけ腕周りの筋肉はそこまで衰えなかったから、けっこう好んでやっているし、そこそこ強い。
私はずるるぅっとうどんを食べると、後輩たちのテーブルへと向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます