第37話 3rdダンジョン Ⅸ
地下5階に足を踏み入れた瞬間。
空気感が変わったことに気づいた。
これはひょっとすると。
「ワデアさん。さっきの戦闘でレベルいくつになりましたっけ?」
「LV6ですわ。あの、ずっとわたくしばかりがレベルを上げてしまっててよろしいのかしら?」
「それはぜんぜん問題ないんですけど。ちょっとこの階は注意してください」
「?」
ワデアさんはまだ気づいてないみたいだ。
ふだんは地下1階とか2階を周回するだけって話だし。
ここまで降りてくるのもほとんどはじめてのことらしい。
(だから、知らなくて当然なんだけど)
僕は経験から知ってた。
地下5階からは〝試練の間〟って呼ばれるエネミーが大量に発生するフロアに遭遇することがあるんだよね。
経験上、その確率は低い。
でも。
運の悪いことにたぶんこの階にはそれがある。
(そのフロアを通過しない限り、青魔法陣まではたどり着けない構造になってるんだよな)
この1時間のうちに拾った
中身はすべて解放済みで。
ひとつはさっきリライトした反魔の
残りのふたつはどちらも
もちろんリライトの力を使えば、ジェムを魔導書に書き換えることだって可能なんだろうけど。
今の僕はまだLV1。
魔導書も星3のレアリティまでしか扱えない。
もちろん、星3でもいくつか強力な魔導書は存在する。
(ただ、LV1の状態で大勢のエネミーを相手にするってなると、若干の不安が残るんだよね)
ましてや。
ワデアさんを危険な目に遭わせないように注意しながら戦うってのは、けっこうハードが高い。
「ひとまず先へ進みましょう」
「ええ、はい。承知しましたわ」
青魔法陣のあるフロアの位置をボディコンソールで確認しつつ。
ふたりで通路を進んでいく。
(この先かな?)
突き当りを曲がった先のフロアがたぶん試練の間だ。
「エデンさま。なにか注意しなくちゃいけないことがありますの? とくにこれまでの階と違いはないようですけど」
「そこの通路を右に折れると、言ってる意味を理解していただけると思います」
「? そちらの先になにかあると?」
「はい」
そのまま慎重にふたりで通路を曲がると。
ビンゴ。
やっぱりそうだ。
:なんか見える?
:あれ?
:え?
:おおおおおおお!?
:は??
:ん?
:ちょww
:キターーーー!!
:うぎゃあああああああ
:試練の間やんw
:まじか
:ええええええww
:運悪すぎ
:ここで試練の間か
:きついぞこれ
一気にザワつくコメント欄。
リスナーさんも気づいたみたい。
「う、うそっ!? エネミーがこんなに!? たくさんいらっしゃいますわぁぁっ~~!?」
ガーゴイル、メガプテラ、シャドーハウンド。
マンティコア、ガルーダ、ダークバイソン、コカトリス。
キラーハーピー、マンイーター、スカルグール・・・etc。
わかる範囲だけでも相当数いる。
「エッエッ、エェエッ」「ドゥッハッハッハッハアアア!」
「ヒィーーフフン!」「カァカァッカーー」
「ホァ゛ァ゛ァ゛ッ!」
目の前のフロアはまさに阿鼻叫喚の図。
いたるところにエネミーがひしめき合ってて。
僕ら獲物が飛び込んで来るのを今か今かと待ち構えてた。
「ど、ど、どうしましょうエデンさまぁっ!?」
:おちつけw
:いつものワデアw
:ガチでどうするんだ?
:ワデア嬢っぽさ出てきたw
:大丈夫かこれ?
:焦ってるワデアちゃんかわいいw
:敵キモすぎて吐きそう
:頼んだぞエデン!
:悠長にコメントしてる場合じゃねええ
「心配しないでください。あのフロアに足を踏み入れない限り、エネミーが攻撃を仕掛けてくることはないんで」
「で、ですけどぉっ! 青魔法陣はこの先にありましてよっ!?」
慌てながらボディコンソールのマップを見せてくるワデアさん。
たしかに。
このフロアを横切らないとゴールにはたどり着けないんだけど。
「ひとつ考えがあります」
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