第42話 3rdダンジョン XIV


「轟音が天空を覆い尽くし、雷霆らいていを司る神々が怒り謳う――熱界雷ケラヴノス魔導書スペルブック


 ドドドウッ!


 災影さいえいデーモンロードの群れを稲妻が焼き尽くす。


【経験値292を獲得しました。閃光の最終旋律エデンのLVが7から8に上がりました。】


 魔導書を下ろしつつ、後方に目を向ける。


「ハァ、ハァ・・・」


 ワデアさんは息も切れ切れ。

 ついて来るのがやっとって感じだ。 


 エネミーとの戦闘もさっきからずっと僕が担当してる。


(さすがにこのあたりで潮時かな)




 そのあと。


 地下11階を少し進んだところで。

 

「も、申し訳ございません・・・エデンさま。もう一度休憩してもよろしいかしら・・・ハァ、ハァ」


 ぴたりと。

 ワデアさんの足が止まってしまう。


:もう限界やろ

:息切れまくってるやんw

:ワデア嬢がんばってー

:さすがに無理か

:かなり降りてきた方だろ

:B11到達とかワデアの配信で初じゃね?


 もともと。

 こっちが無理言って付き合わせちゃってたわけだし。


「ワデアさん。今日はこのあたりでやめておきませんか?」


「いえっ! 少しだけお休みいただけましたら、すぐに体力も回復しますわっ! わたくし、まだまだやれますのよっ?」


 ぐっと親指を上げて笑顔を見せるワデアさん。


 完全に気を遣わせちゃってるな。

 ほんと申し訳ない。


「僕、けっこう疲れちゃってて。ごめんなさい。ちょっとこれ以上先へは進めそうにないんです。はは・・・」


「へ? そうなんですの?」


「深層階へ行くとか偉そうなこと言っておいて。すみません」


:さすがにエデンもバテたか

:これは仕方ない

:よくやった方でしょ?

:すごいもん見させてもらった

:B11だもんなwふつうにエグいw

:いや、エデンはまだぜんぜん余裕だろ


「そ、そうでしたの。おほほほ・・・。実はわたくしも。かなり限界まできておりまして・・・」


 ぺたり、と。

 いよいよワデアさんは通路の真ん中で座り込んでしまう。


「もう無理ですわぁぁ・・・。お腹がすいて体も動きませんのぉぉ・・・」


:でたww

:いつものやつww

:この安心感w

:バテるまでがお約束ww

:尊いわぁ~

:腹ペコワデアww

:ぎゃんかわなんよ

:そりゃそうw

:このワデアすきw


 そこで。

 ドローンに向けてゆっくりと手を振るワデアさん。


「というわけですわ、皆さん。本日の配信はこのへんで終わりにさせていただきたいと思いますの。ゲリラ配信にもかかわらず、多くの方にお越しいただきまして感謝しておりますわ。おコラボ楽しんでいただけたかしら? エデンさまの配信ともども、今後もサポートよろしくお願いいたしますわ~~♪」


「皆さん、お邪魔しました。最後までご視聴ありがとうございます」


 ワデアさんに倣って。

 僕も一礼する。


:おつかれ!

:おつかれさまー♪

:おっつ

:楽しかった

:ワデアおつかれーw

:お疲れさまでした

:終わるの突然すぎw

:お疲れさま~

:なんだかんだ面白かったw

:ワデア嬢最高♪

:楽しかったよワデア

:けっこう相性よかったわw

:次のコラボも楽しみにしてる

:エデンもお疲れ

:楽しかったです!

:ばいばい~

:ワデアのおかげでとんでもない逸材が発見されたなw

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