第8話 1stダンジョン Ⅶ


 いよいよ地下10階だ。

 ここは中層階のスタート地点でもある。

 

 天井も浅層階から2M~3Mほど高くなって。

 エネミーも強い敵が多くなってくる。


 構造的なトラップが用意されてたり。

 スタンダードな洞窟タイプの地形から変化があったり。

 

(どうやらこの階は荒野タイプみたい)


 その通路の奥に。

 自動機兵ドレイクの群れが見える。


 いわゆるドラゴンもどきだ。


(ぜんぶで5体か)


 ただ、もどきって言ってもなかなか侮れない。


 探索者を自動で追尾して攻撃を仕掛けてくる特殊な武装を身につけてるし。

 様々な戦況に対応してくる。

 

 ドラゴンには劣るものの、ブレス攻撃も要注意だったりする。


:自動機兵ドレイクおるやんw

:うわああああああ

:いよいよ修羅場やな

:言わんこっちゃないw

:(注)この通路は一本道です

:ヤバいヤバい

:どうすんのこれ

:詰んだw


 悲観的なコメントで溢れるボディコンソール。


(まあそうだよね)


 でも。

 僕にはまったく不安はなかった。


 姿、って。

 そう知ってるから。


「先へ進んでいきます」


 自動機兵ドレイクが群がる一本道へ向けて足を進める。


:ちょww

:終わった

:いや引き返せよw

:特攻厨www

:まじで死ぬ気かこいつ?

:LV1じゃどうやっても勝てないぞー

:自業自得で草

:事故配信くるぅぅぅ

:事故見たくないんで去りまーす

:逃げて~


 人ひとり通れるくらいの隙間があればいい。

 

(大丈夫そうだな)


 タイミングを見計らって。


「よっと」


 集団の隙間を抜けてく。

 もちろん敵がこっちに気づくことはない。


:!?

:なんでw

:???

:えええええ

:やっべww

:なにが起こった?

:やっぱり敵襲ってこないね

:危なっw


 追えないくらい大量に流れてくるコメント。

 同接数はそろそろ150人に迫る勢いだ。


 そっか。

 リスナーさんにはまだ言ってなかったっけ?


(ちゃんと伝えておかないと)


 この先混乱させるだけだし。


「皆さん、いろいろとご心配いただきありがとうございます。でも大丈夫です。僕の姿はエネミーには視えないんで」


:は?

:見えないの?

:なんじゃそりゃww

:えぐっw

:だと思ったw

:どういうこと?

:おおおおおおお

:イミフw


「僕のスタイルは暗殺者アサシンってやつで。体が透明になってるんで、敵から姿を視られないんです」


:おいおいw

:体が透明? は??

:透明とか無敵やんww

:舐めてんの?

:アサシンってなんや?

:チートwww

:ひええええ

:そんなスタイルあったか?

:もうなにがなんだか

:とんでもねぇw

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