第9話 1stダンジョン Ⅷ

 遺物キューブを使ってエネミーと対等に戦うには、『スタイル』と呼ばれる職業が必要で。


 どういうわけか。

 高校生だけがその『スタイル』を所持することができるんだよね。


 髪型、衣服や装飾など。

 ダンジョンに入った瞬間、自分がイメージする形で容姿が変化する。


 わかりやすく言えば、ゲームのアバターみたいなものかな。


 それで。

 リスナーさんがなんでこんな驚いてるのかっていうと。


 暗殺者に聞き馴染みがないからで。


 現状、判明してるスタイルは8種類。


 ============================


[戦士職]

 〇剣士セイヴァー

 〇重騎士クラッシャー

 〇弓士アーチャー

 〇槍士ランサー


 [魔術職]

 〇魔術士マジシャン

 〇回復術士ヒーラー

 〇付与術士エンチャンター

 〇召喚士サモナー


 ============================


 暗殺者はこのどこにも属さない。

 

 個人的にこれは、隠しスタイルだって思ってる。

 その方がなんとなくかっこいいし。


 ちなみに。

 スタイルはひとりひとつが固定で。


 だから剣士の人は魔術士のスタイルを所持することはできない。




 ということもあって。

 僕はエネミーに見つかる心配がないんだよね。


 敵に接触しなければ、透明状態はずっと続いて。

 ダンジョン攻略にはうってつけのスタイルと言える。


:姿が視えないとかせっこw

:体が透明だからメガネカメラ使ってんのな。把握した。

:うらやましー

:すげええ

:当たりだわ、この配信

:透明ならやりたい放題じゃんw


「いえ。実際、やりたい放題ってわけでもないんですよ。暗殺者は適性が無いんで。ほとんどのキューブが使えないんです」


 スタイルには、遺物適性ってのがあって。


 たとえば、重騎士なら[斧]。

 回復術士なら[回復]。

 付与術士なら[バブ]など。


 基本的に適性のあるキューブ以外は使用することができない。


 だから、キューブを運よく拾ったとしても。

 適性がないと無駄になっちゃう。


 遺物適性の無い暗殺者が使えるキューブといえば。


(道具アイテムキューブくらいかな)


 でも。

 アイテムキューブには、敵を攻撃するようなものは存在しないから。

 

 エネミーとの戦闘は極力避けるようにする。


 暗殺者としてダンジョンに挑む場合、自然とそうなってしまうんだよね。

 

(まあ戦わなくていいから。だいぶ楽なんだけどね)




 そうこうしているうちに。

 

 よし。

 青魔法陣を見つけたぞ。


「それじゃ下の階へ降りますね」


 リスナーさんに断りを入れると。

 魔法陣を踏んで、僕は地下11階へと降りた。

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