第17話 サユの心の入れ替わり

カ「お久しぶりですね。チナミラフさんと娘さんよ」


ムニサツに代わってカルゼルが二人の前に立ちはだかった。



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時は少しさかのぼりアサツが倒れた時だった。


カ「あれが心を奪い感動の涙を流すといわれている花に育つのか」


今のところでかい葉っぱにしか見えんな。まああれだけでかいはっぱなんて今後みれなそうだしな。


私は懐にある魔道具、切り取る君を取り出した。長い説明は面倒なので簡潔に言うとカメラ。そうして大きい葉っぱを撮る。


いやーしかし花見をしながらこの世で一番美しいといわれている花を今日拝められるとは、私はなんてついていているんだ。おっとっと、忘れてた。


カ「スキル発動「荒れ地の加護」


これでアサツは大丈夫だな。


すると倒れた人たちの中から青い煙のようなものが浮かび上がってきた。


カ「あれが人の魂か。精神なのかその人そのものなのか魂の定義についてはよくわからないけど、こういったのを出せるとは不思議なものだ、古代の力というものは」


どこか感慨深いなと頭の中にまとわりついていた。


カ「というかアサツもう少しで死ぬところだったな。危ない危ない」


アサツが死ぬといろいろと今後の計画に支障が出るというか計画破綻だしな。口だけ王女様の護衛は面倒なものだ。


カ「おっ魂がアーティファクトに集まるのか。ということはそろそろだな」


私はカメラもどきを構えた。


そして


カ「おいおい...美しすぎんだろ」


美しい花が咲いた。私の心は奪われてしまった。2000年以上生きてきて、この世界の絶景というのは見てきた。しかしそれがかすむくらい私の前にある花は美しかった。


ツー


カ「おいおい、私は泣いているのか。まじかよ」


私の目からは涙が出ていた。感動し震えるほどの美しさに涙を流すほどとは。あまりの美しさに私はカメラを使えなかった。


人は本当に美しいと思うものにはただただ心を奪われるのだと改めて感じた。


花から人が出てきたとき私は我に返った。


カ「カメラ...」


私はこの光景を収めようとした。しかし撮ろうとしたときシャッターボタンに手がいかなかった。なぜだかこの光景はカメラに収めるんじゃなくて自分の目で最初に確認するほうがいいと思った。


カ「伝説の花として噂にされたほうがいいな」


私はカメラを収めた時、少女がムニサツから何かしらを吸い取られていることが分かった。多分あいつの意識は消えるだろうな。


私は姿を変えずに

カ「さあ始めようか」


ムニサツのいるところに私は駆け抜けていった。



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私はチナミラフと少女の前に立ちはだかった。


チ「おや、随分と身軽に動けるんだな。さすがは高魔力の保持者、これぐらいなら耐えれるか」


カ「まあな。私ぐらいになればな」


チ「しかし、もう遅い!娘は覚醒して治った。ここであった出来事はすべて闇に葬らさせてもらうぞ」


カ「いくつか質問していいか?」


チ「断る」


カ「言い方が悪かったな。いくつか質問させてもらおう」


私は笑いながら、チナミラフはにらみながら、少女は無表情でいた。


カ「こんなにも大勢の命を奪うのは医者として悲しくないのか」


チ「...」


カ「お前のことはすこしは知っている。昔とある優しい人に保護されてその人の願いがすべての人を助けるとかだったな」


チ「サユ!こいつを殺せ」


その少女の名前はサユか。


サ「スキル発動「30の茨」


サユは何もためらわずに私に攻撃をしてきた。30本の茨が私に向かって攻撃をしてくる。私はすべてそれを避けながら


カ「なぜ医者のお前がこんな大事件を起こすかなんて、まあ見ればわかる」


チ「スキル発動「回転の針」


チナミラフの針攻撃が私の周りに出てきて狙ってくる。だが避ける。そしてチナミラフにだけ聞こえるように。


カ「で、なんだ。今だけ心を悪魔にしているのか。大変な奴だな。まあ気持ちはわからんでもないけどな。だが人の世界で生きるから情がわいてしまうんだ。直物はおとなしく自然の世界に住むべきなのにな。じゃないと自然の厳しさを覚えれないぞ。スキル発動「フラッシュ・ボール」


光の玉が針と茨を消した。


カ「なあサユよ。お前はどう思うんだ?」


サユに問いかけると初めて口を開いた。


サ「私にはこの世界が全然わからない。ただ父が私を助けてくれたなら カ「その助けにはあらゆる人たちが死んでしまったんだぞ」


私はサユの言葉を遮りながら言う。


チ「そいつの言葉には惑わされるな!」


カ「お前は今生きていることが罪だ」


私がそういうとサユははっとした顔をした。


カ「お前がいなければ罪のない人たちが巻き込まれることはなかった。お前のほかにも家族を大切にしていた人たちが、犠牲になったんだ!」


強く言うとサユは泣きそうな顔をしていた。


サ「私はそんな大変なことを」


チ「おい、サユ。そんな奴の言葉を聞くな」


チナミラフが強く言うがサユの耳には届かなかった。


サ「私は、私は」


顔を抑えながらサユは考え込んでいた。


カ「だがな、サユ。本当の罪はお前ではない。この事件の発端者にしてお前の父親のチナミラフが悪い」


サ「え?でも父さんは...」


カ「お前の父親は、サユの父親の本当の狙いはな、世界征服だ」


そう発言すると、サユとチナミラフは驚いた顔をしてこちらを見た。


チ「貴様、何をそんな嘘を」


カ「嘘ではない。サユの力をすがって、こんな事件を起こしたんだ。考えてみろ。もしチナミラフが本当に娘のことを思うならこのような手は使わないはずだ。もしそうなら家族の気持ちがわかるはずだ」


チ「違う、ほかにも考えたがこれしか手が」


カ「スキル発動「アイスブロック」


私はチナミラフの足と手を固めた。そしてサユに近づきサユを抱きしめた。


サ「!」


カ「大丈夫だ。サユ、君が問題を抱えることはない。確かに君の生まれは大きな犠牲を払った。だからこそその人たちの分まで生きろ。


サ「うう...」


サユは私に抱きしめられてから大泣きした。


サ「私はこれからも生きていいの?」


チ「おい、そいつから離れろ!くそっ」


チナミラフが手を地面に充てて割ろうとする。だが強度はそこそこ入れた。


カ「ああ、だからまずあの父さんを捕縛するぞ。あいつは悪いことした。だから罪を償わなくてはいけない。いいな?」


サ「...うん」


大きく息を吸って覚悟を決めたのか、手を上げて


チ「おい、サユやめてくれ!」


チナミラフが足と手についた氷をたたきあいながら言う。


サ「さようなら、スキル発動」


私は時間通りに進んだことにわくわくした。こんなにもきれいに時間通りに進むとは」


サ「生命のへん」


サユがスキルを発動しようとした瞬間にサユは倒れ、同時にチナミラフの氷が割れた。


チ「え?」


サ「あ、あ、痛いなに、こ、れ」


サユがいきなり倒れる。


サ「だ、だれ、か。たす、け、て」


私を見ながらそんなことを言う。


カ「ふふ、ふふふ」


チ「おい、サユ。しっかりしろ」


私がにやけているのをみて、私が何か知っているのかを察したのか


チ「貴様、何をした!」


カ「はっはっは!」


私は大笑いをしながらサユのほうに指を刺した。


カ「おいおい、今は私にかまうよりも自分の娘を心配しなさいよ。顔も体も心もボロボロになっているぞ」


チナミラフはサユのほうに目を向けた。そこには先ほどの美しい少女の姿はなく、体の半分ほどが紫色に代わっており、涙を流しながら疲れ切った顔をしていた。


チ「おいサユ!回復したいなら土の養分を吸い取れ」


サ「う、うん」


サユは犯人が私だとさすがに思っているためチナミラフの発言を信じ切っていた。そうしてサユの体から枝が出てきて地面に突き刺していった。


カ「そんな栄養の取り方があるのか」


チ「人にはわからんだろうな。衰退の煙」


チナミラフの特殊攻撃が私に直撃した。


私はあえて何もしなかった。だってまさかの展開に私の興奮が高まっていったからだ。ここは手を出さないほうがいい。


私の体はピリピリしたがそれだけだった。麻痺薬かな?とにかくここからは華麗な演技をせんとな!


カ「ひえーー(棒)」


チ「ゆっくり、落ち着いて少しずつでいい!」


チナミラフは煙が私にあたったことがわかったのか演技を見向きもせずにサユのもとへ向かった。


サユの体がみるみると


チ「な、なんで?」


サユの体がよくなることはなく、むしろ悪化し


サ「あ、ああ」


サユは苦しそうな顔をして死亡した。

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