第14話 魚料理 揚げ物です
私アサツは、今日も朝早くに起きて身支度を整えたらカリゼルの部屋に向かった。カルゼルは朝に弱く私よりも早く起きたことはない。
歳を取ると早く起きるなんて言われていたけど今のカリゼルを見ているとそんなのは迷信にしか聞こえない。まあカルゼル自身、口調だったり行動がどうも若く見えるし、魔族だから普通とはちょっと違うのかもしれないけど。
ア「…」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドン
私が扉を何回も叩いた。私は基本無口なため行動で示す。
カ「ええい!寝かせんか!」
とカルゼルは出てきた。
ア「もう8時、相当遅い」
カ「いいや、違うね。8時というのはまだ一桁。一桁なんてまだまだだ。というわけで寝る」
ア「...ダメ。王女はそんな不規則な生活は」
カ「うるせえ、今は違う。というわけで今は不規則に生きろ」
ア「...と言っても慣れた生活は元に戻せない。暇」
カ「じゃあてきとうに観光でも飯でも食ってろ。ほら金。いいから寝さしてくれ」
そういって袋を投げて扉を閉めた。
袋をしっかりキャッチして、本当に朝は機嫌悪いな〜と思いながら出かけた。
誰も護衛いないけど大丈夫だよね?確かそこまで治安悪くないはずだし。
というわけでてきとうにぶらぶらぶらついた。
王女の時は他の街や王都とか行けないところをこうやって、しかも一人で楽しむなんてとても不思議。
そんなことを考えていたら、見たことのある顔を見た。普通なら声をかける場面。しかし今の私は朝ごはんを食べるために行動をしている。
ア「...朝からあれは無理」
昨日の夕食を思い出して嫌な気分になり適当に食事処を探した。
袋の中をみる。どっさり金貨が入っていて多分50万ぐらいはある。カルゼルって昔何してたんだろうなと思いながら探した。
というわけでやってきました〜。ここはサクラ子爵の所でも有名なお店。値段は他のお店よりも少しお高めですがそれに見合う魚料理を提供してくれます。
ここサクラ子爵は近くに海があるため新鮮な魚を毎日取り寄せれるのが魚好きには嬉しいところですね。
となんか急に喋りたくなった。しかしそれぐらい今日は期待している。
そして少し時間が経ち料理がやってきた。油で揚げられた魚をパンに挟んでいる。油は高いため料理で使うなんて贅沢だなあと思いながら食べる。
ア「上手い」
口の中でコッテリした魚とさっぱりしたパンが絡み合いとても合う。このちょうどいい味わい。
最後にスープを飲んでいる時に
チ「おや、君は確か」
昨日出会ったお医者さんが話しかけてきた。
ア「…あー昨日はどうも、というか覚えてたんですね」
チ「ええ、ムニサツさんのお連れの方の」
そしてその医者は私にしか聞こえないぐらいのボリュームで
チ「それに今のあなたは有名ですよ。フードをかぶっていても私の目は誤魔化せませんよ」
私はこの医者を睨んだ。
チ「おっと、失礼。まあ今の情勢的にはフードをしていたほうがよろしいですね。とりあえず席に着いてもよろしいですか?」
ア「...もう食べ終わりますけどどうぞ?」
チ「それでは改めまして、チナミラフと申します」
ア「...チナミラフさんはどうして私に?」
近くにいた店員に紅茶を注文する。
チ「いえいえ昨日もらったあれに関しては本当に助かったんです。それについて改めてお礼をと」
ア「...あの人とは一緒に旅をしているわけではなくたまたま行動していたわけではないので」
チ「おや、そうだったんですか?」
ア「...先ほど下町でお見かけしたので会うならそこで」
チ「そうですか、ではあなた様はあのお爺さんと一緒にお出かけしているのですかな?」
ア「...まあそうですね」
チ「そうでしたか、では余程お強いかたなのでしょうね」
ア「...?いいえ。別に強くはないですよ」
チ「おや?そうですか」
ア「...なんで急にそんなことを?」
チ「...いえ、お近くに居る人なら強いのかなと」
チナミラフは当たり障りの無い答えをしている気がしたが私は不自然に思えたため警戒を強めた。
ア「...要件はそれだけですか?」
チ「あー最後に一つ、いつまでここに滞在しておりますかな?」
ア「なるべく早くここを出て私は王国に戻ります」
私は常に反応遅く答えたがら急に早く反応したためにチナミラフは多少驚いていた。
チ「そ、そうですか。ではここを出る時は私にお声がけください。その時は力になりますので」
ア「...まあその時の気分で考えます」
チ「...わかりました」
私は席を立ち上がり宿に戻った。
ーーーーーーーーーー
私はカルゼルの扉を開けようとした。しかし鍵がかかっていた。つまりまだ寝ている。
ドンドンドンドンドンドンドンドンドン
カ「うう、もうそんなに時間経ったのか」
ア「...カルゼル、寝過ぎ」
カ「正直持ったら眠いけどまあ起きるか。とりあえず予定立てるから入ってこい」
そうして私は部屋に入った。カルゼルは寝起きは少ししか食事をしないためパンを食べながら色々と準備をしていた。
カ「すきるはつどう、服装チェンジ」
そうしてカルゼルの服はいつもの服装になった。
カ「で、何か面白そうなものあったか?」
ア「...まあ美味しい魚料理のお店は見つけたけど。それぐらい。特にここは面白みがない。もう行こう」
カ「まあまあ待て待て。私の協力者なんだが連絡は取れたが少し遠いところにいるらしくてな。次の裁断の壁で一度会うのだけどな、まだまだ時間あるのよだよ」
ア「...わかった。でも何するの?ここは景色は綺麗だけど一日楽しいぐらいだよ?後は魚料理もだけど」
カルゼルは考える素振りを見せて
カ「明後日...ふーむ」
なにやらボソボソ言ってる。
カ「よし、明後日に花見をしに行くぞ」
ア「...花見って花を見ながらお酒を嗜むこと?」
カ「まあ、そうだな、綺麗な風景を見ながら食を楽しんだり麻雀...遊んだり、懐かしいなあ。私も一回しかしたことないんだけどあの時の酒のうまさは別の意味でよかったな」
ア「...私はお酒飲めないけど、それは楽しそう」
私は楽しそうなイベントを前に今少し王国のことについて忘れてしまった。
カ「よし、そうと決まれば今日、明日で色々と準備をするぞ」
ア「うん!」
ーーーーーーーーーー
カルゼルとアサツが二日間準備をしている間、また別のところでとある準備をしている者がいた。
チ「とうとう叶う。これで完成だ」
チナミラフは薬品を棚に置いて機械に触れた。
チ「師匠、あなたの願いは充分やった。一旦その願いからは離れさしてくれ」
そして機械...アーティファクトを握りしめて、
チ「待っていてくれ息子よ」
ーーーーーーーーーー
魔王はチナミラフの家が見える森の中でワインを嗜んでいた。
「絶大な力かとある異端な能力、不可思議を可能にするそれがアーティファクト。果たしてチナミラフが持っているのは一体どんな能力なのか。それはすぐにわかる」
そして月に赤ワインを合わして
「ただ今言えるのはアーティファクトはどんな物でもやばいことしか起きない。それが間違いではないのには変わらない」
かっこよさげな独り言を述べながらワインを飲んだ。
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