第13話 凄腕の医者

ム「じゃあ俺も一緒に着いて行きましょう!俺もそっちは用事...ではないですけどそっちに行きたいので」


そう言われたため、二人旅が急に三人になった。


こう言うのってもっと可愛い女の子と一緒に行くもんじゃないの?どうせの異世界ならモテモテハーレムもやりたいのに...あっそうか今爺だからそれだと孫いっぱいか。


急に現れたムニサツは金髪の短髪で容姿はいい方なのかもしれないが、どこかチャラい匂いがする。悪いやつじゃなさそうだけどとても知的とは思えんな。それと魔人だな。


と、初対面のムニサツをいきなり査定するゴミみたいなことをしていたら


ム「お二人はどこか悪いところでもあるんですか?」


ムニサツが話しかけてきた。


爺「いやそんなことはないぞ、ただの旅だ。ムニサツも旅か?」


ム「いやいや、俺は冒険者で稼がせてもらってますね。さっきの魔物だってギルドからの依頼ですし」


爺「へー、じゃあその依頼を次の街に持ってくのか」


ム「まあそんなことっす、あーでもこれに関しては直接渡すんですよ」


爺「だからサクラ子爵の街へと?」


ム「?そうっすよ」


爺「世間じゃそれを用事というんだがな」


ム「あー確かに」


と言ってポンと手を叩く。


それよりも気になったことがあるためまた話す。


爺「おいムニサツ、さっきどこか悪いとか聞いてきたがなんでそんなことを聞いてきてんだ?」


ム「あーそれはですね。今サクラ子爵の街に凄腕の医者がいるんですよ」


爺「凄腕ねえ、回復魔法がすごいのか?」


ム「それもあるっすね。でも普通に知識としても医療に関してはなんでも知ってるって感じなんですよ」


爺「それはすごいな」


ム「世界最高峰の腕を持つと言われているぐらいの本当に幅広くできる医者なんですよね」


爺「そんなやつ人間国とか魔王国が欲しがりそうな人材に聞こえるな」


魔王の私の耳に入らなかったってことは多分、医者本人が自由にさせてほしかいから、私の耳には通達が来なかったんだろうな。まあ拒否決定なのに耳に入れさせてもしょうがないし。


ム「なんでも、その医者さんが昔助けられた人に『命を大切に』みたいな感じで教えられたらしくて世界中の人を助けたいから拒否したらしいんですよね」


爺「なるほどね〜」


よーし合ってた。


爺「それはそうと随分といろんな情報を持ってるな。おっとこれは深入りしないほうがいいかな?」


するとムニサツは


ム「ふっふっふ、爺さん」


急に静かに笑い


ム「これ冒険者の中じゃ、有名っすよ?」


爺「...」


冒険者としてそんな答えを言わされて微妙な反応をしてしまう。



ーーーーーーーーーー



ム「はっ!」


ムニサツが剣を使い魔物を討伐する。鮮やかに討伐していくのはとても楽でいい。


ム「困ったなあ、こいつはいらねえんだよな」


ア「...だったら埋めればいい」


アサツがムニサツと会ってから初めて喋ったため、驚いていたがすくに切り替えて


ム「お、おおう。そうだね」


アサツが魔法で粉々に燃やした。


ム「結構火力高いね...」


粉々に灰にしすぎて骨かどうかわからないぐらいに燃やしていた。


ム(埋めるとか言うわりにはここまで燃やすとか優しいのか優しくないのか変なやつだな)


ムニサツはそう思いながら一緒に街へと向かった。



ーーーーーーーーーー



ム「着いたー!」


ここに来るまで何泊かしてから着いた。旅の途中までの話はつまらないため特に話すことはない。いや話したくない。まあ着いたころには昼過ぎ、いや夕方直前の時間だった。


爺「ほう、初めて来たが悪くないな」


街にはここの領主の名前と同じの桜が満開になっていた。


ム「あれ?医者どこにいるんだ?」


爺「まあ護衛してくれたしアサツ、一緒にその医者を探すぞ」


ア「...はーい」


というわけで三人で探した。時間かかるかなと思ったがそこそこに長い行列を見つけた。そこは医療をしている所。要するにそこに医者は居た。


医者「はいはい、次どうぞ。ってうん?」


三人で行列を無視して横入りをした。目の前の男は緑目で優しそうな顔つきをしていたおじさんだった。


...こいつなんだ?人間でも魔人でもないぞ。多分〇〇○〇〇だと思うんだが見た目が全然違うぞ。


医「君た...ちは、依頼主かな?」


ム「はい、冒険者のムニサツです。ギルドカー」医「すまない、今忙しくてね。夜に来てくれないかな?」


ム「まあいいですけど」


医「ごめんね。こっちの用事で押し付けて。ただまだまだ見てほしい方々がいっぱいいるから見ておきたいんだ」


あっちの勝手な都合で夜に来いとか迷惑な話ではあるが患者のために優しさを尽くしているこの人に対して強く出れるわけもなく


ム「あっはい、いいですよ」


ここにいてもしょうがないため、


爺「昼も食べてないしどっか食事にでもいくか」


アサツは親指を立ててジェスチャーをした。


ム「おっ、それならよ。ここいらで有名な行列のできるお店に行かねえか?どうせ時間余ってるしついでにでよ」


爺「となるとそこそこ遅くなりそうだし、観光とか明日でいいか?」


ア「...そもそも私は観光は別に」


そんなことを言うアサツの口を押さえて


爺「観光じゃないと怪しまれるでしょうが」


ア「...失礼」


ムニサツは飯のことを考えていたのかぼーっとしていた。



ーーーーーーーーーー



ム「いやー旨かったな」


爺、ア「...」


私とアサツは気分がよくなかった。なぜならムニサツの食い方だった。


旅の途中で思っていた。こいつ食べ方汚ねえなと。


ただ、後ろを振り返ったりあいつが食事をしてる時にこっちは調理開始で離れたりしたため、そこまで思ってなかった。


ただ食べ始めるとどうだろうか。忘れていた記憶を思い出す。私とアサツはお互い見ながら真顔になった。そして下を向いて食事をした。


美味しかった気がする。なんかあんまり記憶にない。


ム「ごちそっさん!」


ムニサツが食べ終わって前を向くと汚かったはずの服装が、ボロボロこぼしていたはずの食べ物がなぜか綺麗さっぱりなくなっていた。


またアサツとお互い見ながら二人で首を傾けた。


といった経緯があり、二人はもやもやしていた。


爺「えっと宿に戻るので」 


ム「あっどうぞ、それでは。あっ一緒に旅ができて楽しかったです!」


爺「ああ、こちらも...楽しかった」


楽しかった。ただ良い思い出ではなかった。


そうしてアサツは部屋に戻り、私は部屋に入ると魔王に戻って夜に消えた。



ーーーーーーーーーー



とある場所、


?「とうとう見つけたぞ。素晴らしい材料」


フラスコをゆらゆら揺らしながら何かしらの実験をしている物がいた。


雲が晴れて月明かりでその男が見える。その男は医者のチナミラフだった。


チ「これでようやく助けられる。待っていてくれ息子よ」


チナミラフは外を見て、窓を開けた。


チ「...美しい」


美しい月明かりを見ながら今後起こることに胸を高めた。


すると突風が襲ってきた。


チ「風がすごいな。...桜が舞っている。運命が動くのだな。なるほどなるほど」


不敵な笑みが浮かべながら実験に戻った。


その近くで


魔「...」


そしてその独り言を聞く男が近くでまた何かしらの策を練っていた。

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