第11話 憧れと嫉妬

俺の名前はアサハカ・ラシジェー。


俺は昔から目立ちたかった。ただし生まれは平民。ただ平凡に生きていちゃきっと何にも残らない。


じゃあどうすればいいんだろうか。そして考えた結果、強くなって名声を広げればいい。


というわけで特訓をして大人になる頃には何人かの友人も一緒に冒険者をしていた。


本当は一人で冒険者をしてSSランクに行きたかったが、天才と言われるほどの才能はなかったために仲間と一緒に頑張る道を選んだ。


色々と苦労をしたが楽しかった。仲間と頑張りながら共に実力を高めていった。目標はもちろん一番上のSSランク。この世界で僅かと言われているランクだ。


今はCランク、順調に進めていった。


今日は近くにBランクの魔物がいると言われている場所に向かう予定だ。これさえ倒せればBランク入りだ。まだ100歳いってないのにBランクは順調だな。


呑気にそんなことを考えていたら悲劇は起こった。


仲間のパーティが一人いなくなった。


なんとギャンブルにハマっていたようで借金をしていたためか、暗殺の手伝いをしていたらしい。


しかもそれがバレて牢屋に入れられてしまった。それだけならまだ良かったと思えるほどの悲劇がさらに起こった。


その後冒険者ギルドに行くと仲間の不祥事はみんなの不祥事とか言う訳のわからん制度のせいで我々は一時停止の処分を喰らった。まあ正直四人いないし一旦休憩も兼ねてそれはいいと思っていた。


しかし仲間の二人はそれが気に食わなかったのかギルド内で暴れた。剣を振いスキルを使うという危険な行為はもちろん牢行き。


なんでこいつら全員自分勝手なんだ。


そうして長いこと一緒にいたパーティメンバーはあっという間に崩壊した。一人で高ランク魔物をどうにかできるほどの力を持ってなかった俺はてきとうに職を探した。


なんで俺があいつらの罰金を払わなくてはいけないんだ...


そうして職を求めてギルドで色々と見ているとパラリー家が兵士の募集をしていた。戦うことしか習わなかった俺にはこれしかなかったが不満はなかった。


今は一旦休養ってことで強さを目指すのは一度放棄した。だが諦めてはない!必ずいつか全世界に名を轟かせる。



ーーーーーーーーーー



俺はパラリー家で仕事の内容についてを聞き、先輩と組まされた。俺はよくわからんやつと組むのは嫌だなと思っていたけど、この後に胸の高鳴りがするとは思いもしなかった。


目の前にいる男...ラツカ・カマンドゥは最初の印象はただの兵士のようにしか見えなかった。それぐらい俺にとってはどうでもよかったのだ。


ただの衛兵。危険なこともなければ戦闘もない。


毎日同じ街を周ったり、門の前で突っ立ったり、とにかく刺激がなかった。


刺激がないのはまだよくても戦闘なども一切ないつまらない仕事をしていた。


しかし俺のそんなぼーっとする仕事に転機が訪れた。


ある日ひったくりが起きた。そいつは逃げ足も早く避けるのも上手いためスキルが全く当たらなかった。


こんなにも手こずるとはと悔やんでいたらラツカが颯爽と現れた。


ひったくり「くっ俺について来れるとはなかなかだな」


ラ「君のような人がなぜこんなしょうもないことを?」


ひ「スキル発動!影分身」


ラ「今聞きたかったのにね。スキル発動、長刀」


ひったくりが複数人を出す一方でラツカは剣を長くした。


ひ「スキル発動!報火顔ほうかがん


複数の分身から火の玉を一才に魔法が出るというとんでもない魔力消費量を使うひったくり。


しかし


ラ「ほほう、これはすごいね」


ラツカ華麗に全て避けていった。そして目を瞑った。


1秒か2秒ほどで


ラ「そこか」


剣を祓い斬撃で分身の一体に当てた。


ひ「がはっ」


その分身が本物だったのかひったくりは気絶した。


俺はその時の光景を見て俺よりも強いやつがうじゃうじゃいるのだなと思った。こんな兵士でも鮮やかに動き、実力を見せていく姿に俺は目が入った。


その後俺はラツカに興味を持つようになった。しかし残念なことにこいつは子供好きだった。イケメンで頭も切れて戦闘能力も高いのに残念なところを持っていた。


というかこいつがここに居る理由はどうやらここのお嬢様が好きだから居るらしい。


なんでこんなやつが俺よりも強いんだ?こいつは全部俺の上をいってる。俺よりも何もかも優秀なやつ。不思議とここに一緒に居ると周りから見比べられてる気がする。俺のほうが苦労してるはずなのに、なのに...


俺の憧れが嫉妬に変わるのは時間の問題だった。


そして時間が経ち俺はあいつのことばかり考えていた。


はは、まるでヤンデレみたいだ。...ヤンデレってなんだ?


苦労を知らない、苦痛を知らないあいつに見せてやりたい。何かしら落ち込んで欲しい。でもあの戦闘...また見たい


そうして俺は一つの考えにたどり着いた。


あいつの苦痛を与えられて、金も稼げて、戦闘も見られてと。



ーーーーーーーーーー



マルタタ「では、それで行きましょう」


俺は暗殺者と密会していた。


マ「しかし個人の依頼とは珍しいですね」


ア「なんだっていいでしょう」


俺はある作戦を思いついた。子供を拉致してそれが見つかったらそいつも拉致or殺しでいく。そうしてそれを売買すれば儲け。


この事件が解決しないならあいつは苦痛を。


もしバレたとしてもまたあの戦闘を。


暗殺者への依頼として私に関することは一切話さないため契約料は高かったが金儲けよりも大事だからなんでもよかった。


ア「あは、あは、あははは」

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