第9話 この旅の締め

ラツカが一人で剣を握りしめていた。


ラ「お前何者だ?」


魔「我の顔を見たことはないかな?」


ラ「いや洞窟の中だから暗くてよく見えんのだが」


魔「あっすまん」


私はラツカが見える位置まで移動して


魔「仕切り直し。我の顔を見たことはないかな?」


ラ「その顔...どうゆうことだ?死んだはずの英雄が何故こんなところで」


乗ってくれる辺りこいつそんなに緊張してないな?というかカルゼルということバレてそう。


というか英雄とは嬉しいこと言ってくれるじゃねえか。


魔「我にも色々とやるべきことがあるんだ」


ラ「くっ俺じゃあんたには勝てない。だが私は信じる!神の奇跡というものを!」


魔「その威勢と正義感悪くない。だが相手の力量を見抜いてなお突っかかるのはただのアホだ」


私は近くにある死体の方を指さして


魔「真犯人はそいつだ」


ラ「ん?」


暗くてよく見えないのか死体の方に近づく」


ラ「な!?アサハカ!」


ラツカは真の黒幕がアサハカだとわかったのかさっきのどこか余裕のある雰囲気から一転。声が一切でていなかった。


ラ「…その話は本当なのか?」


魔「お前さん、たしか犯人とは毎回会えずに遠くで事件が起こるとか言われていたな。もちろんスキルを使えばわかるのもあるがそんな物を使えば魔力感知が鋭いあんたならわかるはずだ」


ラ「てことは、まさか!」


魔「そいつが近くで監視していたんだろうな。そうすれば魔力なんか使わずにいいしな。魔道具で連絡通信をすればいい。何回か使ったところ見てないか?」


ラ「うったしかになんか多かった気がするが、だがそれが犯人とは絶対に」


魔「まあ証拠...今回の犯人と言える物が奥に進めばあるはずだ。じゃないとここにわざわざ寄るはずがない。まあそこらは私のやるべきことじゃない」


ラ「そうか...」


魔「さあ我は今戦う理由はない」


ここで戦ったら私の噂を誰が広めるんだ。


ラ「そうだな、私も今は忙しくなりそうだ。だが最後にこれだけは聞こうか。お前カルゼルだな?」


魔「...ふふ、隠せないよな」


煙を撒き散らしてスキルを発動しカルゼルに戻る。


カ「ま、バレちまうよな」


ラ「私の事情を知ってて私より強いやつなんてあんたしかいらなかったからな。ちょっとした意趣返しだ」


カ「上手くはいかんなあ。まあ殺さない代わりに噂を流しといてくれよ」


ラ「噂?」


カ「私の正体を隠したうえで魔王が現れたとでも言ってくれ」


ラ「別にいいけど、それに何の徳があるんだ?」


カ「そりゃもちろん噂として流れた方が吟遊詩人みたいでいいじゃないか」


ラ「裏の吟遊詩人だねえ、まあいいんですけどね」


カ「とりあえずここに捕まってるやつを助けに行くぞ」


私もラツカは奥の方へ進んで行った。


一緒に歩いている最中に少しだけ聞きたいことがあったので聞いた。


カ「そういえば、私の...魔王の姿を見た時にちょっと好奇心というかワクワクが芽生えていたのはなんだったんだ?」


ラ「あーあれですか?そりゃこの世界の英雄と呼ばれていた魔王と初めて会えたんですから」


カ「いやいや、魔王死んだって聞いてないの?」


ラ「あーなんか無惨な死に方とか言われていましたけど、あの魔王がそんな簡単に死ぬとは思ってなかったので魔王以外のことをしたいから嘘の情報を流しているのかなと」


なんでそこまでわかるんだよ。こいつもなかなかの洞察力だこと。


ラ「まあアサハカが黒幕なのは驚きましたけどね」


でも近くのアサハカぎ黒幕とは気づかない...洞察力ないかもな。


カ「あっそうだ。後でもう一人の共犯者の死体も近くに置いておくから」


ラ「あー了解です」


そんな風にてきとうに話していると扉が見えた。


扉を開けると檻に入ってる子供たちと人の死体の山があり、他にも机や棚など色々と物も置いてあった。


カ「子供しかいないねえ。しかも容姿が優れているねえ。てことはムイに関してはあの男の独断かな?」


鍵を探さないとな。


カ「おいラツカ。私はこっちを...何してんだ?」


何故かぼーっとしているラツカ。


ラ「はっ!いけないいけない」


カ「おい大丈夫か?」


ラ「ええ、大丈夫ですよ」


カ「じゃあ私はこっちから鍵を探しておくから」


ラ「あーお願いします」


適当に棚をいじっていると


子1「お爺さん助けにきたの?」


カ「ん?そうだよ」


するとプルプル震えて


子1「うゎぁぁぁぁぁぁあん!」


助けが来たからなのか女の子は大泣きして、他の子たちも大泣きした。


その中で唯一一人だけ泣かなかった女の子がいた。


他の子が4〜9ぐらいのなか、15ぐらいと一人だけ大人びていた。


今は鍵のほうが大事なので無視していると


ラ「みんなみんな落ち着いて、ちょっと待っててね。今、お兄さんとお爺さんで探すから」


ラツカが子供たちを見てくれていた。


カ「面倒見がいいやつだな」


前世じゃ仕事が忙しくてイベントとか参加がまちまちだったからな。あいつらには迷惑をかけたな。その分孫には優しくしたけど、今思うと後悔だな。


ちょっとばかり昔のことを気にしていると。


カ「あった」


鍵が見つかったので全員の檻を開けた。


カ「お前さんたち、もう大丈夫だ」


全員の扉を開けると一切に出てきた。そこまで衰弱してなくてよかったと思っていたが、急に嫌な予感がした。


ラツカの方を見ると顔が気持ち悪かった。心配の意味ではない。怪しいやつという意味だ。


ラ「へっ、へへ」


それは前世でも見たことがあった。子供たちを前にして顔がデレデレになり気持ち悪そうな顔にしてるそれはまさに


カ「ロ、ロリコン」


ラ「君たちさ、体調やら何やらが優れていないっぽいしとりあえずお兄さんの家に来ようか。さあここは危険だ。ねえ?」


どう見ても新たな誘拐が始まろうとしている絵図にしか見えない。


カ「やめんか、馬鹿者が!」


私はすぐさまラツカにラリアットをした。


カ「今すぐにその目をやめろ!お前もこの檻に入りたいのか!」


ラ「はっ!それはダメだ。お嬢様に会えないのは私にとって死を意味する」


ラツカは起き上がると


ラ「カルゼルすまなかった。普段は平気なんだが最近忙しいうえにこんなにも美しい方々がいたら自制できなくなってしまった」


とりあえずラツカが落ち着いたようでよかったがさっきのお嬢様の発言が気になるな。


こいつたしかここの領主の雇われだろ?ってことはパラリー伯爵の娘か。たしか娘は一人だから...


思い出そうとするが


カ「知らねえな」


とりあえず新たな犯罪を防げだだけでも良しとするか。



ーーーーーーーーーー



その後子供たちをパラリー伯爵のところまで送りそのまま宿に向かった。


カ「ちゃんとロリお嬢様だったな」


回想〜回想〜回想


パラリー伯爵のところで魔王が現れたという噂をメイドや兵士たちに流しているとパラリー家の当主グラブリッチ・パラリーと対面した。


グ「おーラツカ、今回の事件、良くぞ解決してくれた


ラ「いえいえ今回の事件は私は拉致された子供たちを発見したまでです」


グ「そうであったか。ではそこの爺さんが解決してくれたのだな」


カ「いえ、私とラツカさんで探してそこに着いたら魔王がいたんです」


グ「魔王だと!?どうゆうことだ」


カ「私としましてもその時は不思議に思いました。死んだはずの魔王が何故かいたのです。ですが特に何かしてくるわけでもなくむしろ今回の黒幕を片付けていました」


グ「そうか魔王か...その件については一旦保留にして黒幕はアサハカだったのか」


ラ「ええ、私としましてもとても悲しい限りでごさいます。ですが悪いことをしたのです。ちゃんと割り切るのでご安心を」


グ「別にそこまで真剣にならなくはいいがな。それと君たち今日は私たちの家に泊まりなさい。君たちは明日にでも家に帰してあげよう」


するとラツカは下を向いて手を目に押さえた。


グ「やはりラツカにとってもきつかったんだな」


そんなことをボソッっと言っているがラツカをよーく観察してみればわかるがこいつは多分子供たちを見ないようにしているだけだぞ。


子供たちを見ていて少し気になることがあったが、すぐさま自分で解決した。


グ「とりあえずカルゼル殿、此度の事件の解決の協力誠に感謝する。褒美でもやろう」


カ「いえいえ、それには及びません。それよりも魔王の件なんですが...」


グ「それもあったな。それに関しては死んだ魔王を利用して名を広げようとする偽物であろう。特に悪者ってわけでもなさそうであるからそんなに気にしなくていいであろう」


こいつ、使えねえな。まあ勝手に広めておくか。


カ「拉致された子供たちは任せます。それでは私はこの辺で」


グ「うむ、ありがとう」


グラブリッチが今日子供たちを返さないのが変だと思ったが今の姿でそこまで首を突っ込むわけにもいかないのでここを後にした。


...お嬢様見てみたかったな。


宿に向かう途中で次にどこの目的地にしようか考えていたら、後をつけらいたので振り返った。


カ「どうしたのかな?お嬢さん」 


先ほどまで捕まっていて一人だけ歳を取っていた女の子が付いてきていた。


女の子「...話がある」


カ「グラブリッチ家にはバレたくないのか?人間よ」


女の子「...そうだね」


カ「面白そうだし付き合ってやろう」


そうしてその女の子と宿に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る