凶器のπ
俺は改めて街の中をよく見てみる。胸がブルンブルンの姉ちゃんに、尻がたゆんたゆんのお嬢様。その瞳の全てが俺を凝視していた。
いや、こえーよ。…なんか、こういうトリックアートあったよなぁ。ではなく、live2dとはいえ不気味すぎる容姿の女共とはここでおさらばだ、ひとまず距離を置こう。と、思った矢先マッチョが女共に手を振った。
「ちょ、お前何してっ!」
「マコト、何も無いさ。手を振っただけだろ?」
「あーもう、お前は何もすん…な……」
その時、地鳴りがした。女共が全力疾走で俺の方へ向かってきている音だ。気づいた俺はすぐさま逃げる。マッチョを置いて全力疾走で逃げる。
しかし俺の足は早くない、早々に追いつかれる。めちゃくちゃ()にされると身構えだ俺だったがそれは杞憂に終わった。
女共は勇者パーティさながらに、俺の後ろにびったりと並んだ。少し歩くと女共も少し歩く、走ると女共はふわふわ浮いて着いてくる。
RPGなツクールに既視感を感じた俺は街角をギリギリで曲がった。すると女共は壁に突っかかり、虚無に向かって突進をし続ける。
「はっ、ざま見ろキショ女共が!!」
そう吐き捨てて俺は1人で街を抜けた。
マッチョが着いてきた。
想定内だ。
俺は無視してふかふかな草原に足を踏み入れる。
地鳴りがした。
振り返ると女共が後ろにずらっと並んでいる。
「ひぇっ………」
…あったよ、あったよこういうの。エリア移動すると初期状態に戻されるやつ。剣構えてても解除されるし、自転車は降りてるし、どんなに撒いたパーティメンバーもしれっと居るやつ。
確かにあったけど、これ現実だとこんな怖いんだ。こんなこと普通に生きてたら知らなかったよ、俺は機会に恵まれてるなぁ。…っと?
現実逃避にふけっている俺の前にマッチョの手が伸びた。進むな、そう言われているようで若干の緊張が走る。俺はマッチョの目線を辿っていく。
──最後尾の女の挙動がおかしい。
「バクか?……いやでも小説原作でバクなんてあるのか?」
「 ッマコト!!! 」
マッチョが叫ぶと最後尾にいたはずの女が目の前まで迫る。俺はマッチョに腕を引っ張られて後方まで下がらされた。俺の腕は深刻なダメージを負った。
ぶるぶると震える女…の乳は次第に挙動がおかしくなっていき、瞬間的に伸びた乳からは風を切る音がする。
しばらく眺めていると女の乳は強烈な攻撃になっていた。女は巨大な鞭を振るかのように乳をブンブン振り回し、その辺の大岩が粉々に砕かれる。
「ひぇ、バグった乳アタック強い(笑)……というか、俺あれに当たったら死ぬんじゃ……」
「マコト!あれは魔王の手先だわさ!」
「は、え?…誰?!」
と、言った瞬間に俺の体は地面とグッバイしてマッチョに抱えあげられた。
「逃げるぞ!!」
「は、お前、何…」
マッチョは俺を抱きながらも流石の跳躍力で空高く飛んだ。今度は腕を痛めずに済んだが、高所恐怖症の俺にかかる精神的ダメージは計り知れない。俺はマッチョを恨む。
かなり離れた土地まで来て俺を下ろしたマッチョは俺……とパーティメンバーの女共に真剣な顔をする
「あれは666四天王の内の一人だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます