全身(してない)

これからどうするか、目算がない訳でもない。今俺の元にいる美少女は1人(当たり前だがマッチョはカウントしない)だが俺に着いてくる美少女は最終的に13人まで増えるはずだ。つまりここは最序盤、このまま小説のストーリーに沿ってボスを倒せばこの生き地獄から抜け出せるかもしれない。


「お前ら、とりあえず町目指すぞ町」


「オーケーだマコト!ひと狩りいこうぜ!」


「え〜、これから行くのぉ?足が疲れちゃうよ〜……」


行く気満々のマッチョと反対に第1美少女がごねたのでマッチョが肩車をしてやった。第1美少女が紙っぺらなので何かのギャグかと思ったがもう俺は突っ込まなかった。


現代でこんな奴らと歩いていたら恥ずか死ぬが、この世界自体が黒歴史なのでもはや関係がない。しばらく町に向かう道に沿って歩いているとこいつらにも多少慣れてくる、風邪に飛ばされそうになった美少女をマッチョが破きそうになった時はどうなるもんかと思ったが。


もうすぐ町に着くという時、俺はふと思う。


「あれ、俺これ黒歴史を全て遡ることになるのか?」


「どうしたマコト」


マッチョが心配してくる


「ごめん、ちょっとお前は黙ってて」


マッチョが頭を撫でてこようとしたので俺はしゃがんで避ける。そのままうずくまって考えた「………え?…俺、え??……………どこまで……え、いやっ、まって」俺が混乱していたので不安に思ったのだろう、美少女も頭を撫でてこようとした。


「マコト?大丈…」


「ごめん、お前も黙ってて」


俺は美少女の手を振り払おうとした。だが俺の手は美少女の手ではなく体を破いてしまっていた。


「あ」


「あ」


俺とマッチョは目が点になりながら美少女を見つめる。どうしようか、「希望の花〜♪」とか流してみようか。いや、CDがないじゃないか。それは無理だな。


ボケっとしていると美少女が何かを言っている、遺言として愛の告白でもするのか。こんな落書きに告られても虚しいだけだが、好意を向けられるのは嫌いじゃない。俺は美少女に近づき、悲しみと期待を胸に小さく話す声を聞きとった。


「マコト、イキクッサイシ、カオガタンジュンニ…ブス」




そして俺は美少女を埋葬した。マッチョに穴を掘らせて地下深くに埋めた。あのセリフは俺が小学5年生の時に言われたものだ、トラウマとも言う。もうあの第1美少女…いや、あのカス女の事は忘れよう。


空を見るともう日が暮れそうだ。道を逸れ、俺たちは仕方なく野宿をする事になった。



──────────────────────



朝が来た、2人旅である。ファンタジー世界まで来て何故男2人で旅をしているのか、理由は聞かないでくれるとありがたい。


それからは何の異変もなく、平穏無事に町に着いた。そこで俺は驚きのものを目にする。


「live2d…だと……おいマッチョ!なんで?住民がlive2dと落書きの2種類に分かれてるんだけど!!」


俺は興奮のあまりテンション爆アゲでマッチョに話しかけた。だがマッチョに見えてる世界は俺と違うようで冷静に諭してくる


「どうしたマコト、あまり大声を出すと…」


「な、なんだよ」


「周りに迷惑がかかるぞ」


「いや、変な付け足し方すんなよ」


………付け足し???

そっか、そうだよな。急なlive2dの理由がわかった、…加筆修正だ。


中学生か高校生か、成長した俺が最初の方を修正したんだ。

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