第4話 霧の真実

 美月が静かにページをめくる手は、震えていた。彼女が見つけた日記は、屋敷の住人たちが一体どのような運命に見舞われたのかを詳細に記していた。日記には、ある霧深い夜、家族全員が忽然と姿を消し、その後二度と戻らなかったと記されていた。そして、その霧はただの自然現象ではなく、彼らの魂を閉じ込め、永遠にこの世を彷徨わせる呪いであるという。


 美月はその言葉を読み進めるにつれ、屋敷が微かに震え始めるのを感じた。彼女は周囲を見渡し、何かが起こりつつあることを悟った。そして、その瞬間、屋敷の古い時計が急にカチカチと音を立て始めた。時計は長い間止まっていたはずだが、まるで何かに呼応するかのように動き出した。


 美月は時計の方へと歩み寄り、その針が真夜中を指すのを見た。その瞬間、屋敷はさらに激しく揺れ、壁にかけられた肖像画が落ち、床板がきしむ音が響いた。美月はバランスを崩し、床に転げ落ちた。彼女は頭を打ち、一瞬意識が遠のいたが、すぐに我に返った。部屋は暗く、外の霧が窓から流れ込んできていた。


 美月は立ち上がり、日記を握りしめた。彼女は知っていた。この屋敷にはまだ解き明かされていない真実がある。そして、その真実を探求することが、彼女の使命であると。霧の中で囁く声は、彼女に何を伝えようとしているのか。美月はその答えを見つけるため、霧の中へと一歩踏み出した。

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